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個人的にはこの著者の小説(実話系ではないもの)は、どうも独自路線が強過ぎて好みに合わないことも時折あるのだけれど、今作は初の時代系怪談―旧い文献をもとに書き下ろしたものを集めたということで、やはりお得意の聞き語り風で書かれているせいか馴染みやすい。
故杉浦日向子女史の傑作『百物語』(新潮文庫刊)に心酔していたとのことで、その辺を目指したということだが……やはりこの著者の味。乾いたユーモア、しんみりとした味わい―そして背筋に極細の針を差し込まれるような恐ろしさは、江戸市井の人々を描いていても変わらない。
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現在のように幽霊という幽霊は出ず、ギャーやウワァなどのリアクションもなく、狸や狐が当り前とされており、なんか曖昧なのが江戸怪談ではないかと思うのだが、こうなんというかはっきりした定義はあまりない。そんな江戸怪談に挑戦した平山夢明は果たして成功したのだろうか? 成功したのである。テイストをちゃんと残しつつ怖がらせて、なおかつ何か教訓めいたことも思わせる。なんともゾクゾクッと来る一冊である。
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2006/12/post_3f7e.html