紙の本
物理からはいいね!
2012/09/25 21:33
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投稿者:ジュン - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間を物理学の相対論、量子論から考えていますが、大変わかりやすくなっています。さらにカント、マクタガード、ハイデガーなどの哲学者を交えて考察しています。ただ、マクタガードの本は日本語に訳したものはなく、紹介された本になっていましたのでもう少し解説が欲しかったです。それから、カントは純粋理性批判から引用していますがさらりと言っているので普通の読者ではわからないと思います。
それから、「われわれの祖先は一万年前までは、時間という概念を持っていなったと思われる。」と欄外に記述されていますがこれの根拠が示されていませんでした。たしかに、氷河時代以降に農耕が始まったことは確かですが、いつ頃、このような概念を持ったのかは今後の研究課題なのではないでしょうか?
この本は面白く、すぐに読めました。
紙の本
刹那刹那に創造される時間
2007/03/16 11:28
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ時間には過去から現在へ、あるいは未来から現在へという「流れ」があるのか。つまり、「今現在」に依存する主観的な時間(マクタガートのA系列)はどこで生まれたのか。また、なぜ時間には先後関係という「向き」があるのか。つまり、歴史年表のような客観的な時間(B系列)はどうやって成り立ったのか。
これらのことを解明するため、著者は、相対論と量子論の成果をもとに、次の前提条件を導き出す。ミクロな量子系に時間は実在しない。時間はマクロな相対論的世界のどこかで生まれている。そこでは、事象は、過去・現在・未来といった様相や時系列のうちにあるのではなく、数列のように一覧表として並んでいる(C系列)。
このような「C系列一覧表世界」にあって、エントロピー増大の法則に反し、自らの秩序を維持するものが存在する。生命である。主観的時間は、この生命の進化を通じて、刹那刹那──「生命個体が外部世界からの干渉を受けて、自らの行動を決断する、その刹那刹那」──において秩序を維持しようとする生命の「意思」の力によって、創り出される。
まず、エントロピー増大の法則による外の世界からの干渉(秩序を壊そうとする外部の圧力)が、すでにそこにある変更不可能な過去である。それに対して、「意思」をもって、多くの選択肢の中から秩序維持という唯一の解を選ぼうとするのが生命である。「こうして、[結晶や竜巻のような]単なる自己増殖機械にすぎなかった初期の生命は、やがて本当に生きることになるのである。」また、明確な「意思」の存在が生命に、外圧に逆らって秩序を維持する自由、つまり未来をもたらす。
もし、この主観的時間を創造している刹那刹那の「意思」が、自分の意思決定を「記録」する手段をもつならば、一連の「意思」は、あたかも川の流れのように一つにつがることになる。「こうした記憶を得た生命は、誕生から死へとつながる一連の自己という意識をもつようになるだろう。」実際、人間の脳の記憶領域には、これまでの「意思」の「記録」が順番に配列されている。この配列こそが、B系列の時間にほかならない。
面白い本だった。第一章から第五章までの物理学を中心とした議論と、付録によるその補強、とりわけエントロピーの法則をめぐる叙述は、自然科学の啓蒙書として抜群の面白さだった。参考文献解説も読みごたえがあった。ただ、本書のキモとなる第六章と第七章の議論での、C系列からA系列へ、A系列からB系列へという時間誕生の理論は、なるほどと思わせられはしたけれども、心底説得されなかった。
たとえば、刹那刹那の「意思」の力によって主観的時間(A系列)が創り出されるというとき、そのようなことを(自らに生じた体験として)語りうるのはいったい誰なのだろう。「意思」の「記録」がもたらす「自己という意識」がそれである、というのでは答えにならない。なぜなら、それはB系列の時間のうちにあるものなのだから。
本書後半の議論は間違っているとか、欠陥があるといいたいのではない。時間の謎は、本書でもついに解明されなかった。謎は謎のまま残った。でも、時間の謎がはらんでいた「驚異」の実質はより鮮明にされたのではないか、といいたいのある。
途中の説明と論証抜きに極論を述べると、世界を説明する言葉の生成(自己意識)と、その言葉によって説明される世界の創造(記録)が切り離せない、そのような世界の実相(意思としての世界)に迫る途方もない議論が、ここから始まるかもしれない。
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現代物理学を踏まえたうえでの時間論を論じている本。まず、時間という切り口から物理現象をマクロ、ミクロに見た時の違いを明らかにし、さらにニュートン力学、相対性理論、量子力学における時間とは何かをわかりやすく説明している。その上で、時間はどこで生まれどうして過去から未来へ流れているのかという疑問に答えている。様々な物理現象をわかりやすく解説している点も良かったし、科学哲学に対する興味も刺激された。
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正直、あまり読まなかった。
ぺらぺらめくってじっくりと理解を進めながら読む必要があると感じた。
興味があるのでリトライ。
2007/02
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人間の感じる時間てものを物理学の立場から、できるだけ平たい言葉で教えてくれる。それでもちょっとウーンと理解に苦しみながら読むんだけどね。ただ、時間があること、生きるってことはそういうことなんだってちょっと違う目で理解できたりして爽快。
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<07/3/5読了>「時間とは何なのか」ではなく「時間はどこで生まれるのか」というタイトルからして斬新です。時間は「在る」ものではない「生まれる」ものだということを暗示していて。時間に関する新しい理論の展開が期待されます。そしてその期待は裏切られませんでした◆結論に至るまでに「時空は時間を実数、空間を虚数とした複素数で表される」「万有引力はなぜ『引力』でないといけないのか?」「『多次元並行宇宙理論』の真偽は?」「タイムマシンは可能か?」などの面白い話題が展開され、本題の時間論とともに知的興奮をおおいに掻き立てられました。そして、本書の示す「時間」の姿には人生観が変わるほどの衝撃を受けました。時間がこんなものだったなんて、あんな風に生まれるなんて。もう呆然とするしかありません◆言うまでもないことですが、本書で時間の本質のすべてが明らかになるわけではありません。ホンのとば口が示されるだけです。分からないことの方が多く、それらも含めて時間の全体像が明らかになるのはいつのことでしょうか? あるいは永遠に明らかにならないかも知れず、あるいはその方が人間にとっては幸せかもしれません。
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物理学的な解説が多くあるものの、やっぱり奸悪的な部分が多く、ほんの趣旨からしてそれは当然だが、しかし感覚の違いからかあまり理解できない。
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物理学的な見地から書かれた作品。時間は秩序を維持させることが出来る、「意思」を持つ生命から創造される。また、過去は「記録」から生まれる。時間は存在しないが、秩序により存在するもの、という見方がなるほど、と思った。
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量子力学やらエントロピーの法則やら難しい話がいっぱい。時間論の話より、エントロピーの法則の方が面白かった。なぜエントロピーが増大するのかをわかりやすく図解で説明しているのがよい。
時間論については、あまり覚えていない(読んでから数日経ってから書いてます。)
時間とはC系列であり、ただの配列にすぎないとだけ覚えている。
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特に日本では哲学と科学を無為に分けて扱う傾向があるが、元々これらには区別はなく、お互いに影響し合ってきた。過去の例を見れば優れた科学者は優れた哲学者であり、逆もまた然りである。
筆者は本書の中で時間とは何かという時間論を論じていく中で、再びこれらの融合をはかっているようにも見える。結論はこれから手に取る方に申し訳ないので書かないが、時間とは一般的な感覚で言うところのおよそ科学的ではない物なのだ。(少なくとも物理学的ではない)
それには時間を感じる私とは何であるかという、哲学上の古く、そして永遠のテーマについても向き合わなくてはならない。
まぁ、私の考えはおいておくとして、本書は時間に対して考えるきっかけとしては大変優れた本であると思います。筆者が書いているようにこれが呼び水となり、時間に対する論説が活発になることを願います。
まぁ、その議論には僕の頭はついて行けないんだろうけどね。
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素粒子(ミクロ)の世界では時間というものは存在せず、光子から見たら(?)時間も空間も存在しない、という指摘に、そういえばそうだな、と思う。「時間」の中に生きていることが生物の存在のあり方そのもの、という発想は偶然だろうが最近読んだ「生物と無生物のあいだ」と共通している。
ここではハイデガーの「世界内存在」と「現存在」との関わりで説明されたりしているが。
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物理学って、時間/空間って、深い。読み終わって、相対性理論や量子論をもうちょっと勉強してみようと思った。2007/09/05読了
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時間ってなんだろうか? 過去・現在・未来の性質はどうして異なるのか? そもそも時間の存在をどのように定義すべきなのか? 哲学的な観念によってではなく物理学の理論に従って展開する時間論。門外漢の私でも、ちょっとわかった気にさせてくれるやさしい構成で好感が持てる。いや持てます。
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文系の私にはちんぷんかんぷんなところが多かったのですがぎりぎり理解できるレベルまで噛み砕いて書いていただいていると思います。「物理学的には時間はない」「生物の中にある」。なるほど。
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???時間は実数で空間は虚数???
ミクロの世界では我々が当然のものとして知覚する時間、空間というものは
存在しない??
この宇宙は過去も現在も未来もなく、ただそこに「存在する」だけ
とのこと。
無秩序も秩序も人間がこの世界を理解するために便宜上創り出した
概念にすぎず、実体としての「無秩序」や「秩序」などは存在しない。
この世界が少し違って見えました。