紙の本
頭の中の遊び
2009/06/26 02:33
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:helmet-books - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前アメリカに住んでいたとき
何かそこに異世界を感じた
しかし、数年経つとそこは
異世界でもなんでもなくて
ただの自分を取り巻くノーマルな世界になった
そして、日本に帰国したとき
そこは異世界になったが、それもすぐに戻った
今は
お店とアパートを行ったり来たりしているが
そこだってはじめは異世界を感じた 今はそうでもない
過去を振り返ると
案外スッと次から次へと異世界に
行ったり来たりする身近な存在なんだなと感じた
来年はどこで何をやっているのだろう
と考えると、来年もどこか違う異世界に
もぐりこんでいるに違いない
そんな感覚を本書から受けた
何かこうスッと
意外と簡単に異世界に入って
いける感じというかなんというか
物語の序盤は大抵その異世界観に戸惑いを感じるのだが
物語が終わる頃にはそれはノーマルな世界へと
変化していく その異世界に無感動にまでなったりする
こういうものありだ
こういうものありだ
と、異世界との線引きを
曖昧にしていくと今自分が存在する空間から
異世界を感じたり感じなかったり
頭の中で遊ぶと言うのは
こういうことか
helmet-books
紙の本
SF漫画の巨匠諸星大二郎の短編集
2015/08/19 16:11
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オキシジェン - この投稿者のレビュー一覧を見る
収録されているどの作品も、少し不思議な諸星先生独特のSF作品。
後に、いろんな作品に影響を与えたと思われる作品も収録されている。
個人的には「蒼い群れ」が考えさせられる内容だが、おすすめです。
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諸星さんの作品はどれも不思議でどれも大好き。すべてオススメしたいのですが、特に表題のお話が好きです。読んでいる間、いつもどこかへ連れてってくれます。
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この漫画を紹介してる文章を読んで気になってた。
1980年の前半の短編ばかりなので、
絵のタッチが劇画調です。
最初の2話は、SFっぽい感じです。
「城」は、TV「世にも奇妙な物語」で
映像化されてました。
どう見ても、「城」(カフカ)なんですけどね。
「蒼い群れ」は、あいりん地区(西成区・大阪市)の
一角を思い起こさせます。
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幻想譚を集めた短編集。ハズレなし。
世界観の構築が秀抜。
例えば、国家による無目的な臓器売買の恐怖を描く『蒼い群れ』という短編の冒頭で、主人公を乗せたバスの中で臓器売買常連同士の次のような会話が見られる。
「腎臓(ジン)の相場が上がってるってな。今が売り時だってよ」
「最近できた医研の人工肺(ジンパイ)はやめたほうがいいぜ。モクがまずくってよォ」
(中略)
「おれたちゃ移植(ウエツケ)や人工器官(トッカエ)の実験台なのさ」
かぎカッコ内の()はルビを示す。
物語の必然性から考えると、これらにルビを振る必要はない。別に「腎臓」で話は通るだろう。
しかし、このルビを振って隠語化することは、この物語世界内での臓器売買の日常性や臓器売買常習者の粗野さを簡潔に表現している。
そして、この臓器売買の日常性や臓器売買常習者の社会的地位の低さは、この短編の世界観をがっちり構築しているのである。
む〜、お見事。
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諸星大二郎作品のなかでも白眉な短編集。諸星ワールド全開です。「影の街」の一場面がエヴァ暴走シーンの元ネタらしい。
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素晴らしく気持ちが悪い諸星大二郎先生の漫画。
SFですよ不気味で気持ちが悪いですよ。
子どものときに読んでいたらトラウマものです。
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しんみりした表題作も素敵ですが、
「黒石島殺人事件」の恐怖感や「城」の不条理テイストも
素晴らしい。
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諸星大二郎って、何となく、いいです。日本の神話や伝承を素材にした作品には、ときに哲学的なものも感じさせるね。西遊妖猿伝の新刊早く出ないかね?
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「方舟が来た日」
ノアのギャグ短編。
「難破船」
宇宙でうらめしやの幽霊にとりつかれるギャグ短編。
「鎮守の森」
私が幼いころに遊んだ鎮守の森で、鬼ごっこをしている子供たちに交じっているうちに、なぜか逃げている。
捕まって監禁される。
過去の村の生贄にされるためらしい。
逃亡して洞窟で隠れ暮らし、人を食う。
現在に戻る。
「ぼくとフリオと校庭で」
転校生のフリオは宇宙人のUFOを待っていたり夕焼けの土手にいたり防空壕に入ってビニ本を読んだり。
僕はついていく。
翌日フリオは転校、というかUFOにさらわれたのかも。
ぼくは待つ。
「沼の子供」
南米の荒地奥の沼に子供ふたり。
しばらくすると成人になって性交をしている。
セニョールが声をかけると、女だけ出ていった。
残された男を下男として雇うが、数年して自殺。
ハリウッド女優がどうもあの女に見える。
「流砂」
砂の星での労働に満足できない少年少女が流砂を超えようとするが、大人たちが妨害する。
大人たちも置いていかないでくれと訴える。
「黒石島殺人事件」
孤島で殺人事件が起き、刑事が捜査するが、進まない。
被害者が島民ではないと判明すると、島民たちはなかったことにしてくれないかと頼んでくる。
「城」
城下町を形成するグループ会社へのお使いに来た青年は、何日もたらいまわしにされ待ちぼうけを食らう。
事務員の女とでき、ファックスを待っているうちに老人。
「蒼い群れ」
貧困で臓器を売る青年が主役。
病院で臓器取り出しの待機をするが、少年や女が医者は無意味に臓器を取って人体実験をしていると警告してくる。
「影の街」
路地を抜けた街では、巨人は人を食っている。
実は少年自身の学校も塾も家も食っちまえという願望からできた、少年自身の顔をしている。