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ドイツ現代戯曲選 25 ゴミ、都市そして死 みんなのレビュー
- ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー (著), 渋谷 哲也 (訳)
- 税込価格:1,540円(14pt)
- 出版社:論創社
- 発行年月:2006.12
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紙の本
愛は死よりも冷たい。
2007/11/03 13:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のファスビンダーは1945年ドイツ生まれの劇作家、演出家、映画監督、俳優で、37年の生涯で40本を越える長編劇映画を監督した人。メロドラマ仕立ての強烈なブラック・コメディを得意とし、その絶望と狂気の濃密な作風は多くの熱狂的なファンを生んだが、最近は一般でも再評価の声が高まっている。
本書はその最後の戯曲であり、また後述するスキャンダルによってもっとも知られた作品となった。
内容は、娼婦とヒモと金持ちのユダヤ人の三角関係を軸に社会の力学をメロドラマとノワールに抽象してみせたような騒々しい芝居で、著者が「あと二年も経てば、役を置き換えることも可能だ、ファシストがヒモになり、ユダヤ人がファシストを演じるだろう」と語っているように、戦後ユダヤ人問題をタブーにした偽善的なドイツ社会を嘲笑的に皮肉る内容になっていて、もちろんアイロニーやユーモアというのは通じない人にはまったく通じないものであって、当然のように激しい物議を醸した。スイスの映画作家ダニュエル・シュミットが映画化(『天使の影』)した際には反ユダヤ的だとして上映禁止運動まで起こったという。「愛は死より冷たい」とその処女作となる映画に名づけたファスビンダーらしい結末が、不思議にセンチメンタルな涙を誘う皮肉な作品で、折り重なるようにして不具合が不具合を呼び、登場人物同士の愛憎が増幅して雪崩れ込んでいく構成はとても絢爛としてチープで、その矛盾が面白い。嫌な時代に生きているなあと思わせられる傑作。
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