紙の本
ふうちゃん、あなたがいちばんの「なぞ」だったのですね。
2008/06/26 00:21
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙のイラストを見て読むことを決めました。お父さんと手をつないでいる小さな女の子。その黄色地のチェックの服は、なんとシャーロックホームズ仕様ではないですか! しかもその手には虫眼鏡も握られています。「お、これは幼稚園児探偵という新しいジャンルかもしれない」と早とちり。しかし、時にはこんな早とちりもいいのでしょう。そんな思いにさせられるやさしい物語です。
瑠璃子さんが亡くなって、お父さんのハルさんとふうちゃんは父娘二人きり。物語は、そんなふうちゃんが結婚式に至るまでの成長とともに、5つの謎をめぐるエピソードで構成されています。幼稚園での「玉子焼き消失事件」、小学4年生のときの「夏休みの失踪」、中学生の時のふうちゃんがふと見せた「涙の理由」、高校生3年生の冬休み、思わぬ入院をしてしまったときの「サンタが指輪をもってくる」、大学生になって初めて帰省してきた時に起きた人形すり替え(?)事件の「人形の家」。
人形作家というハルさんはたよりなげで、読んでいる方がはらはらします。「もっとしっかり、ふうちゃんのことを見てないと」とつい思ってしまいます。幼稚園のふうちゃんはちょっと「いい子」すぎる気もするのですが、それぞれの年代で、元気がよかったり、ちょっと反発気味だったり、それぞれの成長中の顔を見せてくれます。また、よく読めばふうちゃんがどういう興味・関心を育てていったのかもちゃんとわかります。
そして、これらの5つの謎を解くのは、ふうちゃんでも、ハルさんでもなく、天国の瑠璃子さんです。じっさいにふうちゃんが直接にかかわっている「事件」は、最初の三つまでです。しかし、それぞれのエピソードに盛り込まれているハルさんとふうちゃんのやりとりが、なんらかの伏線になっているわけです。
ところで、「5つ」といいましたが、実はもうひとつ「謎」があります。新婦の父たるハルさんが本書の冒頭につい漏らしてしまう「どうして、ふうちゃんは、結婚を(するんだろう)」ということばに象徴されるように、「ふうちゃん」自身です。本編はすべて「ハルさん」目線で書かれているため、ふうちゃんの内面は書かれていません。まだ小さい時にお母さんをなくして、頼りない(?)お父さんと二人で、心細かったり泣きたいことも多かったかもしれません。読む方ももどかしいです。でも、それが謎解きなのですね。いや、この謎は「解く」ものではないのでしょう。ぜひじっくり味わってみてください。
紙の本
いつまでも手をつないでいて。
2007/07/13 22:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙に描かれた父娘の後ろ姿がほほえましい。
物語は父・ハルさんが娘・ふうちゃんの結婚式の日に数々の思い出の日々を回想する場面から始まる。
男手ひとつで育てた一人娘の結婚式。感慨もひとしおだろう。
人形作家のハルさんは若かったし、頼りなかった。でもふうちゃんのことを一生懸命に考えて育ててきた。
あまり表立って来ない「父の愛情」というものに触れられた作品だと思う。
1話完結の物語は、ふうちゃんの成長とともに続いていく。
父と娘の関係も徐々に変化していき、目に見えるように大人になったふうちゃんの姿。
ラストは私がハルさんみたいな心境になった。
父と娘の、そして見守っていたもう一人の、やさしい時間を描いた1冊だった。
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娘が嫁ぐ日。幼き頃〜現在までの回想の中で綴られる日常の謎。やわらかな文体で綴られる素敵なミステリでした。ひとつひとつの思い出がラストできれいに繋がり、オムニバス・ミステリの醍醐味を味わうことができました。
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妻の瑠璃子さんに先立たれてしまったハルさんと、娘のふうちゃんのお話。
ふうちゃんは今日結婚する。妻の墓前に報告に行き、式場に向かう間、ハルさんは幼かった頃のふうちゃんを思い出す…。
ミステリー小説らしいけれども、「ほのぼのミステリ」と書いてある通り、ハルさんの人柄がとても穏やかで、ハルさんが困ったときにしゃべりかけてくる瑠璃子さんにも怖さがない。
ただミステリーというのが、死んだはずの瑠璃子さんの声がするからミステリーと言っているんだとしたら、なんじゃそれ、という感想。
とここまで書いててミステリーが何たるか、わからなくなってきた。
5つの謎もあっさりと瑠璃子さんが全部説明しちゃうから全然謎じゃなく、こちらが謎解きしようにもなんじゃそれ、といったものばかり。うーむ。
ただハルさんとふうちゃんのやりとりとか、人のほんわかさはとってもおもしろかったんです。ミステリー小説としては認めないけれど、普通の小説としてはとてもよかったのです。中学生向けっぽくて嫌な感じがなくて。最後にふうちゃんのことを思うハルさんの場面では泣けたし。
ただどうしてふうちゃんが長谷さんを選んだかは、わからないのです。ハルさんは「そうだったのか」って気づくんだけども。
だからもやもやした部分が残ってはいるんだけども、うーん、目をつぶろうか、いや、やめた、やっぱり4つ。
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日常の謎に市井の人が挑む「空飛ぶ馬」型の一変形で、ちょっと手垢が付きまくった感じがする、なんて書くつもりだったよ、最初は。でも、「こんなやつぁいねぇよ。断固として存在しません」とわかってはいても、この優しさはやっぱり否定できない。ミステリーとしては評価できないけど、ハートウォーミングなメルヘンとしては及第点をあげてもいいと思う。
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今日は、一人娘のフウちゃんの結婚式。父であるハルさんは、結婚式が始まるまでに今までフウちゃんと過ごしてきた数十年間と小さな謎について思い出し…。「日常の小さな謎」のような短編集です。この本はとても暖かくて、何の心配もなくさらさらと読めてしまいます。読書の楽しさを改めて思い起こさせてくれる本です。こういう感じの話は大好きです。また出会えると良いなあ。(2007/9/13読了)
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日常ミステリー系。ちょっと変わっているのは、事件が全て回想であるという点でしょうか。
一人娘の結婚式、父であるハルさんは、いろいろなことを思い出す。ミステリとしては弱いかもしれませんが、親子の愛情にとても和みました。やさしい物語。
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お父さん(ハルさん)と娘(フウちゃん)の子どもの頃からお嫁さんに行くまでの話。
ほっこりさせられます。
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妻・瑠璃子さんに先立たれた人形作家のハルさんと、一人娘のふぅちゃんの日常ミステリー。ハルさんがふぅちゃんの結婚式に向う場面から、ふぅちゃんの子ども時代を回想する形で物語が進んでいきます。
幼稚園生の頃はとても素直だったふぅちゃんが、中学・高校にあがるとハルさんに対してちょっぴり反抗的になり、大学生になると一人立ちして立派な女性に成長している様子が各話ごとに感じられました。
全体的にほのぼの、ほんわかした作品です。
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終始優しい雰囲気のお話でした。ハルさんを取り巻く人たちが優しくていいですね。でも何だかハルさんの頼りなさにイラっとくるんですよねぇ(笑)心が狭いな、私;
最後の結婚式のくだりはうるっときました。素敵です。
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娘が嫁ぐ日
妻を早くに失って幼子を育ててきた中での
ちょっとした事件やナゾをあれこれ思い返すハルさん。
ふと目に留まって借りてみたらこれがヒット。
北村薫さんの作風に似た感じかも。
【図書館・初読・7/23読了】
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お嫁に行くふうちゃんを回想するハルさん。
ラストでグッときた人は多いはず…。
素敵なミステリでした。
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ほのぼのとした日常の謎ミステリ。ネタは小粒だけれど、ほんわかした読み心地が魅力の一冊。穏やかな気分になれます。
「ハルさん」ってなんか頼りないなあ、という印象があるのだけれど。考え方がしっかりしていたりして、こういうお父さんはいいよなあ、という感じ。それでも「そんなことに気づかないのか~!」と突っ込みたくはなりますが。
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人形作家のハルさん、奥さんの瑠璃子さんが亡くなってからは
男手ひとつで一人娘のふうちゃんを育てる。
ふうちゃんの結婚式に思い出す5つのエピソード
無くなった卵焼き、ふうちゃん家出?幼稚園の時、小学生のふうちゃん
中学、高校と大きくなるふうちゃん。
父と娘のほのぼのとあたたかい物語。
読みながら、自分の子育てを振り返ってました。
あまりにも純粋なハルさんのようにはなれないけれど
どこの親子にもこういった思い出はあるのかも…
特に、父と娘には、ね。
ふんわりと優しい気持ちになれる小説です。
最後はじんわりと涙が出ました。
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愛娘、ふぅちゃんの結婚式当日。
人形作家である父親のハルさんは、過去を彩る5つの謎を思い出す・・・。
うーん、可もなく不可もなくといったところ。
辛口だけど、これをミステリ・フロンティアで出すのはちょっとどうかと思った。
でも愛情深いハルさんは、とっても好きです。
ホームズのお洋服、私も作ってほしい!!