紙の本
孔明火のない所に煙を立たす
2007/03/25 11:32
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さて、実に二年三ヶ月ぶりの酒見版『三国志』第二弾の登場である。本書に書かれているのは、年号で言えば、二○七年〜二○八年の出来事である。実はこの期間、二年という短いスパンであるが、孔明の『出廬』『博望坡の戦い』『長板坡の戦い』など、蜀ファンが泣いて喜ぶ名場面がズラリと揃っている。そしてまた、書生あがりの頼りな気な孔明が、関羽・張飛・趙雲の武勇と劉備の人柄で保っていた集団に、知略という異質の存在を持ち込み、戦績により地歩を固めてゆく過程が描かれる。孔明ファンが、来る赤壁の大舞台に向けて次々と打たれる布石-彼の活躍-を見んと、目を輝かせて見守る様が、目に浮かぶようだ。
ところがそんな読者の瞳は、輝くどころか一挙に大きくなったまんま、戻らないかもしれない。まあ、第一作を読了した方達は、「軍師としての階段を駆け上っていく孔明」などという、従来のイメージを踏襲するなどとは、もう期待していないだろうが、そうでない方にはあらかじめご警告申し上げる。
ここにいるのは「弱者を守るためにいつも割を食う義の劉備軍団」ではなく、「いきあたりばったりにやった事が、結果として後世に高評価を受けてしまったヘンな集団」である。孔明はやたら火をつけたがるし、張飛は「気は優しくて力持ち」という可愛いレベルではなく、自らの中の暴力を抑えられないコワイ人だし、劉備も調子いいだけの無策者。新野からの脱出行で、劉備が民衆に呼びかける場面は、伝説のTV番組『アメリカ縦断ウルトラクイズ』そのものだ(p261)。「民衆心理は今も昔も変わらないという事か」と変な所で納得してしまうが、閑話休題。庶民や他国のエライ人(曹操も含め)が、こんなヘンな集団のとばっちりを受けて右往左往する…という、「歴史ってこんなものでいいのか?」と言いたげな事象ばかりが展開される。しかし、これだけ活躍が「描かれず」英雄が「パッとしない」にも関わらず、面白い三国志というのも稀有であろう。だが今まで氏が好んで主人公としてきたのは、見た目パッとしないキャラ、脇キャラが多い。『後宮小説』の田舎娘・銀河、『墨攻』のむさいなりで現れた軍師・革離、『陋巷に在り』の顔回…。普通の人達が、自分達がごく普通だと思われる事をして、歴史が動いていく(一部虚構もあるが)。その基本パターンが変わらないから、酒見ファンはどんな変化球が飛んでこようと、安心して見ていられるのかもしれない(本当か?)。直球好みの読者には、相当癖が強い作品だが、思いきりバカバカしく笑いたくなった時には、是非この本を手に取ってみる事をお勧めする。
だが間違っても、『三国志』の再検証には使用されませんように。
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私は……たとえば物語的な赤壁戦、とかでですね、別に孔明に風とかよんでほしく無いんですよ。ええ、孔明好きなんですけどね、好きなんですけど、だからこそなんか嫌なんだよなというのか……天候の変わり目を知ってて呼ぶフリをするとかもね、含めて。でもね、なんだろう、コレの孔明だったら、自力で風くらい呼べるだろ?風以外の物も呼べるんじゃないの?というかむしろ呼べ!という気持ちになるというか…なんだろう…こんな気持ち始めてだ!(でもそこまで到達するのはまだまだ先そうだぁ)簡潔に言えばそんな感じの小説。
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酒見節全開の第弐部。
あまりに面白く楽しく気がついたら読み終わっていた。
漫画以外はちょっとという方でも読める事間違いなし。
馬鹿馬鹿しい中にも酒見先生らしく鋭く勉強になることが含まれているのがすばらしい。
時事ネタ(ジダンの頭突きとか)を楽しむためにはやはり旬な連載をチェックすべき。
それでも面白くて抱腹絶倒ものだが。
ヒロシマヤクザな呉の連中に萌え(笑)
三国時代がホントにこんなだったらさぞかし楽しかったろうに。
ある意味三国志フリーク必読の書。
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三国志に著者が渾身のツッコミをいれ続けるシリーズ第二弾。これ、他の国の言葉に直すのは難しいでしょうねぇ(「魂のルフラン」ネタとか)。でもぜひ中国人に読んで欲しい、それくらいの力作です。真剣にぶっ続けで読んでたら、頭の疲れている自分に気がつきました(全力の著者につきあうには体力がいります)。三国志の知識はそれほどなくても十分に楽しめます。ぜひ三国志に興味ある人は読んで欲しい。
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大好きな酒見さんの待望の続編。
前作同様のハチャメチャな、史書に基づく新解釈は酒見氏の博識に改めて驚かされます。
張飛・趙雲の殺人マシーンっぷりや、作者のノリツッコミが最高です。
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諸葛孔明が一般にどう思われているかをきちんと認識して読むと面白さがさらに。はやく文庫化して。2×2で4冊は買うから!多分。
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呉の皆さんたちの特殊な自由業っぷりがたまりません。
美周LAWのモテ描写も尋常一様ではなく、今後の展開が益々楽しみ。
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やっぱり酒見賢一は素晴しい!!
これほど歴史小説を楽しく読ませてくれる人はいないであろう。
おちゃらけつつも作者の広範な三国志の知識を活かして読みごたえのある、作品となっている。
三国志好きも、そうでない人にもお勧めできる作品。
一般的には蜀が過大評価されているような印象があるが、酒見賢一の書く蜀はふざけつつもリアリティがあって、妙な説得力がある。
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孔明がやっと劉備軍団に加わったところから。
相変わらず著者の筆がすべるすべる!(笑)
私の大好きな関羽も、ボロクソに言われてます
いや〜〜、でも相変わらず面白い!
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一部は面白くて、あっという間に読了したが、この二部は随分時間がかかってしまった。
三国志のパロディであるが、この二部はパロディの乗りが悪かった。
期待はずれは否めない。
主役の孔明の活躍が今一つだ。
劉備のいい加減ぶりの方がが目立って面白い。
三部がなかなか出て来ないのもそのためか。
次回作があることだけは間違いない。
映画のレッドクリフに先を越されてしまったためか。
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引き続き笑わせていただきました。
だって無意味な所で『魂のルフラン』の歌詞が盛り込まれたりその他もろもろ時事問題なんかも入ってどうしようもなく面白いんですもん!
面白いけど内容が濃くてなかなか読み進められないのが玉に瑕かなーだからこそ読みたくなるのですが。
終盤、張飛がちょっと可哀想に見えたのは孔明マジックだろうか?
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呉が出てくるようなのでとても楽しみ。
いよいよ戦争シーンが増えてくるようだし…
そして、読みました。(2009年3月)
博望ハ〜長坂まで。これまた、すごい面白かったです。
呉の人々が、なんと広島弁ですってよ!
孫堅=“オジキ!” という、任侠物みたくなってます。
孔明はいよいよその才を発揮し、劉備、関羽、張飛の三兄弟のキャラはますます濃くなるばかり。
もうねえ、何度吹いたことか。
簡雍は完璧に下ネタ要因に…簡雍って、実は知らなかったのですが(吉川版に出てたかもしれないけど、完璧スルーしてました)、これでもう忘れられない人物と化しました…
趙雲も大活躍の長坂の戦いがとても長く、詳しく書かれてます。すごい勢いで(笑)
鮮血の貴公子…ねえ。
ここの趙雲はなんだか可愛いです。
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虚人か、巨人か―新たな孔明像を描いて大反響の酒見『三国志』堂々の第弐部発進!本書では、孔明出盧から長坂坡の戦いまでが描かれる。
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三国志はレッドクリフを見ただけで全然わからないので、この本を読んでも深くは読めないのが残念です。ただ、わかる人ならより笑えると思います。孔明の変人?ぶりに劉備のわけのわからないカリスマにぷっと笑ってしまいました。
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長坂の戦いに突入。
三顧の礼を受けて遂に劉備軍団入りした孔明。早速献策するも、のらりくらりと動かない劉備。うだうだやってるうちに袁一族を滅ぼした曹操が荊州目指して攻めてきた!劉備軍風前の灯。どうする孔明。
大本の三國志にオカルト描写が意外と多いらしく、ちょっと驚き。特にアレ、張雲が万軍の中を単騎駆けした挙句、赤い光波を纏ってエヴァ破ラストの初号機みたいになったシーンが創作じゃなくて原文通りって何事だよ。古代中国人の劉備軍補正は異常。