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岩波文庫2007年2月の新刊。
各界の人々の「岩波文庫」にまつわる話を集めたもの。
これを読むといかに岩波文庫がこれまで愛され続けてきたか少し分かるような気がした。
本書の中に岩波文庫のさまざまな分野の本が紹介されているのだけれど、外国文学が多く、ぼくの好きな日本文学(緑帯)、日本の古典文学(黄帯)が少なかったのが残念。
岩波書店さん、古典だで、あるいは日本文学だけで書かれた「読書という体験」出して頂けないでしょうか。(無理ですね)
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著名人が影響を受けた本を紹介する作品。他人がどんな本を読んでいるのかを知ることは面白い。もちろんこのサイトも
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都市生活のよさはムラ社会と違っていつでも一人になれること。本を読まない人は教師になる資格はない。本を読み、勉強し続け、知識を得る喜びを常に味わい続けているものからは知識に対する憧れの熱気が発散される。
読書は最重要の文化である。
文庫本のような優れた本は海外にはない。これは日本が世界に誇る本の種類だ。
読書以外に文学、歴史、思想といった教養を身に付ける方法はほとんどない。
教養がなくても日常生活をつつがなく送り、幸せな人生を全うすることができる。
教養がどうしても必要なのは、長期的視野や大局観を得たいと思うときである。長期的視野や大局観を持つとは時流に流されず、いったん自分を高みにおき、現象や物事を俯瞰しつつ考察すること。
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「読書のすすめ」に掲載されたうち有名な34人のエッセイが収録された本。
読書という体験がその人の人生に何をもたらした(ている)のか。34人が書いたならば、当然、34通りの体験があるわけだが、本を読み進むにつれ体験には多くの共通点があることに気づく。若い頃、主に学生時代に多くの本を夢中になって読んだこと、そして誰もが知っているような古典や名作が読まれていることである。
彼ら彼女らが本を読んでいた時代とは違い、インターネットが普及し、電子書籍というものまで現れた。著作権の切れた古典は青空文庫で読めるし、お金があればオンラインショップで本を注文できるなど、本は比較的楽に手に入るようになった。
この本を読んでいると、まず本を手に入れるところから始まり、渇望して手に入れた本をボロボロになるまで読み込む34人の姿が思い浮かぶ。若き頃のあの人たちのような読書体験をしているのか、考えさせられる本であった。
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読書だって、体験だ。
岩波文庫は少し遠いけど、岩波少年文庫は小さい頃からの友達だ。岩波には、折り目正しく付き合う相手、という気がする。岩波少年文庫にもハチャメチャな話はあるけど、どんだけハチャメチャでも相手は由緒正しき名家の子どもというような。
角田光代「本のリズム、暮らしのテンポ」、斉藤美奈子「オマケ集めでもいいじゃない」、多和田葉子「本は麻薬」あたりに共感。
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内容的には「岩波文庫という体験」になっているので、少々偏りがあるような気が。自分の岩波文庫体験だが、学生時代に20~30冊読んだ程度。それも読みたいからではなく、授業で必要だからというのが主な理由だったような。だから岩波文庫にはあまりいいイメージはない。読みたくて買って印象に残ってるのは「いきの構造」かな。(あの立方体に興味がわいて「表紙買い」した)
サラリーマン時代には岩波文庫を読んだ記憶はない。最近やっと少しずつ読み始めて、この年になって古典の面白さもわかってきたような気もするが、死ぬまでにどれぐらい読めるのだろうかと考えるとちょっと憂鬱になる。基本的に岩波文庫を読む人というのは時間に余裕のある人なんだろうなとは思う。
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誰かに紹介されて読んでみた一冊。本を読むということの楽しみ、奥深さ、スタイル、、を多くの識者が語った短編集。正直内容が難しすぎる哲学的な人もいれば、すんなり入ってくる物語みたいな文章の人もいて読んでいてそんな比較も楽しかったし、自分が書くなら何を書こうかな、とか考えてみたりしながら読めました。読書が好きな人に読んで欲しい一冊ですね。
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2007年刊行(初出2003~2006年)。やや岩波文庫の宣伝臭さを感じなくはないが、読書好きの識者が、読書の楽しさ、影響された書籍、その時感じた想いを語るエッセイが面白くないはずがない。まぁ、テーマが「読書」ということで、ある人は啓蒙的読書論、個人的読書経験談、好みの書の書評、演劇や映画との関係で、ある意味多彩だが、雑駁とも…。
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34名の豪華メンバーによる、「読書」についてのエッセイ集。
岩波文庫でフェアがあると、『読書のすすめ』という小冊子(PR誌『図書』の番外編みたいなもの)が発行されることがあり、それに掲載されたエッセイをまとめたもの。
なので、本書以外にも何冊か出ています。
私はその小冊子を読むのも好きだったので、こうして文庫にまとめられるのはうれしい限り。
ふとした合間にちょこちょこ読んでいたのだが、今回改めて通読した。
著者によってずいぶんと色が違っていて、まさしく色とりどり、とっても楽しく読めた。
著者が専門にしていることについて語られるとちょっと退屈に思うこともあったが、読書体験については興味深く、共感することも多くてうれしくなる。
香山リカさんの「読書だって“人生経験”」では、共感のあまり「ホントそうなんだよ‼︎」と叫びたくなったし、齋藤孝さんの「読書欲のすすめ」は、私の読書バイブル『読書力』をギュッと凝縮した簡易版のようだし、斎藤美奈子さんの「オマケ集めでもいいじゃない」は、肩肘張らずにコレクションとして読破していく楽しみに大共感だし、柴田元幸さんの「岩波文庫は怪異譚の宝庫」では、柴田さんほどの大翻訳家が〈大学三年くらいまでほとんど本を読まなかった〉ことに驚くとともに、ここに書かれた怪奇小説をめっちゃ読みたくなったし、ああキリがない。
他に、池澤夏樹さん、池田香代子さん、角田光代さん、多和田葉子さん、筑紫哲也さん、中村文則さん、平野啓一郎さん、藤原正彦さん、堀江敏幸さん、山根基世さんなどなど、とにかく錚々たる34名なのであります。
複数の方々がエッセイで挙げていたのは、『濹東綺譚』と『忘れられた日本人』。
この2冊はちょくちょく出てきた。
作家では、ドストエフスキー、川端康成、魯迅が多かったかな。
恥ずかしながら、未読のものばかりです。
ここ最近、文学(純文学)というものをずっと考えていて、いろいろ調べているうちに(本書を今回通読したのもその一環)、読みたい本が続々と出てきて困っちゃうほど。
日本、海外を問わず、有名な文学作品はもちろん、現代文学も、今さらだけど、どんなに時間がかかろうと、読んでいきます。
読んでないなら読めばいい。
読書欲と食欲が尽きません。
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岩波文庫のフェアの際に発行する小冊子『読書のすすめ』の特別版(2003年8月)・第9集(2004年5月)・第10集(2005年5月)・第11集(2006年5月)に掲載されたエッセイから34篇を収録。
池内恵「書物の運命」
池澤夏樹「いちばん恐ろしい本」
池田香代子「文学と映画の相克」
岩淵達治「私と岩波文庫」
奥本大三郎「蜂になった人間」
おすぎ「『野菊の墓』こそ純愛の極致」
角田光代「本のリズム、暮らしのテンポ」
加藤千洋「書を持って街に出よう」
鎌田慧「大世間師・宮本常一を読む」
香山リカ「読書だって“人生経験”」
川本三郎「隠れ里のような本」
姜尚中「マックス・ウェーバーという『苦行』」
齋藤孝「読書欲のすすめ」
斎藤美奈子「オマケ集めでもいいじゃない」
佐伯彰一「岩波文庫『赤帯』に寄せる思い」
坂元ひろ子「批判する魂のリレー、あるいは伴走」
柴田元幸「岩波文庫は怪異譚の宝庫」
田中優子「未来を考える古典の本」
多和田葉子「本は麻薬」
筑紫哲也「私の<盗み読み>時代」
中村文則「読書とともに」
南木佳士「歩いてから読む牧水」
西川祐子「旅の日記ではなく、旅の道中に読んだ日記たちのこと」
平野啓一郎「作者として、読者として」
藤原正彦「教養を培う」
船橋洋一「再び、『代表的日本人』を書こう」
堀江敏幸「門と壁のあいだで汗ばむこと」
三島憲一「時代の核の数珠つなぎの楽しみ」
宮田毱栄「読書とささやかな空間」
山崎剛太郎「フランスと映画と原作」
山根基世「読書は身体の喜び」
リービ英雄「書かれた風景の中へ」
渡辺えり子「『伊豆の踊子』と私」
渡辺守章「身体性のある言葉」
大いに共感したのは角田氏の「本のリズム、暮らしのテンポ」。時と場所によって本の内容と己が合う/合わないことがあることや、書店で目当ての一冊ではなく偶然見つけた一冊をつい買ってしまうことは誰にでも起こることらしい。齋藤孝氏や藤原氏が主催する読書活動には興味をそそられる。ブッキッシュな内容のエッセイもあった。