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人間を眼差すためのメディア・リテラシー入門?〜つっこみ入りヴァージョン
2007/05/23 22:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桃屋五郎左衛門 - この投稿者のレビュー一覧を見る
擬似科学や権威に対しては批判力も、論理力も、メディア・リテラシーも有効な批判のツールとはならない。人は必ずしも正しい言葉を必要とはしていないからだ。したがって正しさを正しさとして主張するよりも、正しさをおもしろさに転化した方が有効な場合もある。そこで愛と勇気とお笑いの三つの柱で構成された「つっこみ力」の出番となる、というのが著者の主張だ。「つっこみ力」とは場を盛り上げようとするサービス精神と自己犠牲の精神を要する。ただし、異才・奇才の業であるボケと異なり、「つっこみ」はある程度修練で鍛えられるものだ、ともいっている。(ホンマカイナ?)
では「つっこみ力」とは何か。著者は「メディア・リテラシー」とは一線を画す、しかもそれに変わる思考のツールとして「つっこみ力」を提唱していながら、なかなか一般に定着しない「メディア・リテラシー」という語の親しみやすい代替案として「つっこみ力」を提唱していたりもする。また対象があまりに広範囲にすぎる「メディア・リテラシー」によりも、統計やアンケートのデータだけに対象を限定した「リサーチ・リテラシー」の方を好んでいると述べる一方で、逆に「メディア・リテラシー」が対象をメディアだけに限定することへの不満を隠さなかったりする。(デ、結局「ツッコミ力」ッテ何ヤネン?)
本書の前半は理論編、後半が実践編となるが、残念ながら本書の中では「つっこみ力」を身につけるための具体的な修練方法が書かれているわけではない。しかし、後半部分を読めば、「つっこみ」を入れるポイントを見つけるコツはわかってくる。そのコツとは、ふたつの現象の間に因果関係が認められると主張する何らかの仮説に対し、他に有力な仮説がないか考える、ということではないだろうか。(ダカラ、ソレガ論理力トチャウンカイ)
たとえば相関関係が認められそうなふたつの現象があり、それらの現象の間に因果関係を読み取って仮説を組み立て、さらにいくつかのデータでこの仮説を裏づけようとしている言説があるとする。こうした言説に対して、ふたつの現象の間に一見したところ相関関係があるように思われるのは単なる偶然なのか、あるいはふたつの現象が共通の原因によってもたらされているのか、それとも原因と結果の関係が転倒している可能性はないかなどと吟味しながら、現象をよりうまく説明できる代替仮説を考える姿勢を身につけるということだ。(ソウイウノガめでぃあ・りてらしいチャウンカイ?)
そもそも本書が「つっこみ」を入れているタイプの本のスタイルを真似て、講演の口述筆記の文体による新書版で出版し、そこに『・・・力』というタイトルを冠した著者もおかしいが、それ以上に巻末の「好評既刊」に本書が「つっこみ」そうな本を並べるという編集部の手の込んだボケぶりはさらにおかしい。しかし著者の本意は案外真面目なもので、前半では自己目的化した社会科学に「つっこみ」を入れながら、後半でデータばかりを追うのではなく、もっと身近な人間との関わりに眼差しを向けよ、というメッセージを発している。そのために、まずは「つっこみ力」を、ということだ。いずれにせよ、本書は気軽に読めるメディア・リテラシー、あるいはリサーチ・リテラシーの入門書と言えるのではないか。
(ホナ、サッソク130ぺえじノ職別年間賃金一覧表カラ、ツッコミイレテミヨカ!)
紙の本
現代の笑いが到達した「おもしろ増幅装置」
2021/07/27 20:22
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投稿者:empath - この投稿者のレビュー一覧を見る
落語のような口語口調の語り口で、面白さを増幅させる手段としてのつっこみ力の重要性が述べられた一冊。
前半はつっこみ力が、愛と勇気と笑いで構成されていることを紹介し、一見正しいように見える論理力や批評力では世の中はよくならないことを力説しています。後半は各国の自殺率などの統計を事例に、データの方便を説く内容で、読みどころはほぼ前半に集約され、この章だけで十分に面白いと思います。
ただ、どうしたらつっこみ力がつくかについては、何も書かれていないので、ご注意ください。
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著者の経歴などぱっと見た感じではふざけきったものと感じるし、また文体もおちゃらけているものの内容はしっかりとした社会学の本。読みやすいのでオススメです。
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メディアリテラシーを言い換えて。メディアへのつっこみを推奨されているが、この本自体もつっこみを待っているようだ。
さくさく読めた。
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200702 一気に読んでしまった。つっこみ力は要は「自分の頭で考えろ」ということで、さらに「面白くする=付加価値をつける」ということ。
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とりあえず題名と著者紹介で購入してしまった一冊。
▼パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino)
日本文化に造詣の深い、自称イタリア生まれの30代。現在は千葉県民。
公式プロフィールにはイタリアン大学日本文化研究科卒とあるが、大学自体の存在が未確認。
父は九州男児で国際スパイ(もしくはマクドナルドの清掃員)、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人のはずだが、本人はイタリア語で話しかけられるとなぜか聞こえないふりをするらしい。
ジャズと立ち食いそばが好き。
新書の著者でこんな出鱈目に近いプロフィールってどんなやねん(笑)。
内容はお笑いについてではなく、主にメディアリテラシーについて。
メディアリテラシーの和訳を「つっこみ力」と命名し、話は進んでいきます。
講演会を収録したものなので、かなりくだけたカンジですが、きっと筆者が喋るから面白いモノも多いわけで……。内容はちょっと物足りなかったかな。
是非講演に行ってみたいです。
でも「つっこみ力」は非常に気に入りました。
「正しさ」を「おもしろさ」に。
「愛」と「勇気」と「お笑い」で、どんどんつっこんでいきましょう!!
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「つっこみ力」とは一体なんだったのだろうか・・・最初の方に説明はあった気はするのだが、経済学・社会学批判にページが多く割かれていてわからなくなってしまいました。
「つっこみ力」の解説書ではなく体現書として読むのが良いのでしょうね。そう考えれば楽しい読み物としてOK!
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「世の中、愛と勇気と笑いが必要!」
と著者が口をすっぱくして言うまでもなくそもそも世の中は、正しさや論理からそちらへシフトしているのではないかという気がする。
どうせ批判をするなら、「おもしろさ」へのつっこみのほうが面白かったのではないだろか。
だってねぇ。
今更学者のわかりずらさを批判されてもね。反社会学講座が痛快であっただけに残念。
※この本を読んでも、けして「つっこみ」はうまくなりません。
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「反社会学講座」が面白かったのでこちらも、と思い購入。
「反社会学講座」のように多くの事案を取り上げているものと期待していたが、ポイントを絞って語っている。購入当時はそれがちょっと残念だったが、購入して数年後にきちんと読んでみるとちゃんと面白かった。「反社会学講座」よりも、著者の主義を主張するために事案を絞って集めた印象がある。新書でここまで著者の思いが込められているものは珍しいのではないか。
著者はデータ崇拝主義的なものに異議を唱えており、データというのはあくまで主張のための手段だ、ということが言いたい。というのを、マジメに書くと堅苦しいし面白くないので、読者の心に訴えられるよう面白く表現している。結構茶化している表現も多いので煽られ耐性が無い人は読むのを止したほうがよいが、そこを笑って流せる人ならばこの文章の一見軽いが読んでて納得しやすいという巧妙さを堪能できると思う。社会学なんて知らなくても、自分の身の回りにあるなぁこんなことが、と頷きながら読める本だと思う。
正しさにこだわり主張する人は存在する。得てしてそのような人は己の正しさを主張し反対する相手を打ち負かすことが目的となり、本当に必要なことまでの議論へ行きつかないことが多い。この議論の本来の目的も達成できないし、相手にしこりを残す。こうして欲しい、と素直に言えばいいのに、何故敢えて相手を傷つけるような言葉を選んで言うかねぇ。そんなことを思い出した。
と、こんなくそマジメなレビューよりもこの本自体のほうが遥かに読みやすいので興味がある方は是非。
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「つっこみ力って、力んでるだけやん!」な感じ。詰めも内容も甘い。タイトルから想像すると、爆笑問題風にいろんな社会情勢を細かくつっこんでいくようなのかと思ったんだけど、スタイルが固まらないまま、半分は、「ツッコミの必要性」を延々と説きつつ、後半は、会話風なコーナーを交えたりで、「ヤクザ稼業」と「自殺率」について解説、批判しているだけ。それぞれは、そこそこ面白いんだけど、トータルで見ると面白くない。放送作家かリサーチャーが、テレビで使えなかったネタを流用したような印象。とはいえ、平成10年に自殺率が上がったのが、住宅金融公庫による「ゆとりローン」が原因じゃないかとする指摘は、興味深かった。
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なんとなく、なんとなく購入。
エセイタリア人同士、読まんわけにはいかんなぁと。
タイトルから想像できない内容。
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齋藤孝の『コメント力』のようなものではなくて、斜に構えた感じ。
自殺率の増加とゆとりローンを因果づけるのは興味深かったが、まあ買って読むほどじゃないよ
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タイトル想像して読むとあれ???って感じでした。
でも、嫌いじゃないな。
メディアリテラシーの話とか住宅の話とか。
ま、電車の中で読むには最適だと思う。
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もはや社会学の本ではないねw社会学を皮肉ったお笑い本の様相を呈してきているよ。それにしても、家政法経大学院生にはワロタw(意味、分かりますよね?)それにしても、1作目から徐々にパワーダウンしてきてるのが気になる…。早くもネタ切れなのか?
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作者の名前にまずはツッコんでください。
この世に必要なものは愛と勇気と笑いで、
そのためにはつっこみの力が必要不可欠。
らしいですよ。
権威とか、論理とか、難しいだけで中身のない学術用語とか、研究のための研究とか、データ至上主義とか、安易な「常識」とか、
そういうに対する疑問を、
すごく丁寧にわかりやすく解説してくれている。
グダグダなのを期待して買ったが、
どうしてなかなか面白い。
文体もテキトーで、力が抜けてて、
すごい好きなカンジ。
なによりこのツッコみどこ満載な名前で、
日本の文化や歴史、社会にすごく造詣が深い。
いやいやいや。