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作れてしまうこと、作ってしまうことの、いびつさを感じる。まずは「自分が作れる」という幻想を抱かないことからかなぁ、
以下引用
作るという人間の振る舞いは、自然の中で生じ、これにかたちを与え、自然はこのかたちを通して人間に触れる。近代以降目覚ましく展開したテクノロジーは、このかたちを人間の側に著しく引き寄せたのである
作ることを通して作られざるものに触れる
★自然の命ずるところにしたがって作る生き物は、ビーバーやハチのように、教えられることもないのに、その生産物にまちがいなく、精巧で美しいかたちを与えるが、人間の場合、ともすると、いびつで醜い産物を残してしまう
作品において己を示しているただのものは、いってみればヒューレのさらなる語源を辿り、木材が切り出されている以前の森、あるいはさらにそれが生い出てた「大地」であり、己のもとにあるものとしての自然
作る事のわずかな痕跡しかない聖地に身を置き、己がとってきた芸術的志向の虚しさを感じ
私たちは、人材として手段化されてはいるものの、その漂流に戻してみれば、目的でも手段でもない、何ものかとして、ものとひとびととともに揺れている
あらゆるものを役立つものに変えてきた
制作(ポイエーシス)は、古来、人間存在の根本規定の一つ
繰り返し画面を作っていくことを通じて、「内なる響き」がより響いてくるのを待つ者
★戦略を練っていく過程・美的・神秘的かたちを芸術家の主観が意志的に産出していく過程といったものではなく、繰り返し描くことによって、むしろ意図的・主観的操作が消失していくのに寄り添う旅
内なる響きは、繰り返されるスケッチのなかで彼に呼びかけ、彼はそれにしたがい、対象をデフォルメし、単純化し、配置を変えていった
きわめて意志的に見えるカンディンスキーの、受動性
ものからくる‹響き›の体験
★あらかじめ目的が開示されていて、あとから色やかたちが持ち込まれて手段の位置に立たされるというのではなく、色、かたちへのなんらかの接触、しかも必然的かつ内的な接触がまずあり、それを通して、あとから目的が開示されてくる
顔料の輝きに出会って、初めて、現出させるべき当の何ものかを見る
★手段を内から規定するとは、色やかたちに黙示録的意味合いを付与することではない。
色いう手段の目的は色でしかない
手段に内在している目的
ものがただそこにあるという出来事。内なる響きとは、実はそうしたきわめて単純な事態
ものがただものとして出現するという出来事
意味化されがたいもの、命名をこばむもの
★内面の表出というニュアンスから離れ、むしろあらゆるかたちに活き活きとした響きを認め、それを聞きとるという受動的姿勢をあらわにしていく
作品を自己同一的な存在として思い描くことは、ものの現出ではなく‹価値›へと焦点を合わせた欲望から生じている
★作家��、自分の独創的なイデアを素材としてのものに託すのではなく、ものの出現に可能性を向け、そのための場所を開くことに力を費やす
★創作ることはできない、われわれができうることは、ものの表面に付着するホコリを払いのけて、それとその含まれる世界を顕わにすることである
後期セザンヌ-画家が模写した対象は消え失せ、それに代わって、きわめて差異に富んだ濃淡とリズムをもつ生き生きとした小さな色班
ものがあるというただそれだけのこと
作品が存在するとは、世界を開きたてること
裂け目は世界の構造に還しめられないし、自然のなかに自体的にひそんでもいない
作品に置いて大地は、他と取り換えようのないその固有性に置いて、凌駕出来ないものとして、漸次の「かたち」をとって、世界のうちに屹立し、開かれた世界を支える
素材が示す、有用性の外部への開け
工芸においては、素材がイニシアティブをとる
器が材料を選ぶというより、材料が器をまねく
全ての形も、模様も、原料にまねかれる
柳の言う自然は、素材として役立てられながら、土の重さとして、あるいは木のぬくもりとして、有用性の外部へと開けつつ、