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1986年にイギリス人経済学者である著者によって書かれた経済書。投資の増大等によって不安定になった実物経済を「カジノ資本主義」と批判し、貨幣の信認の重要性と市場に大きく影響を与えている国家の政治力の重要性を強調している。内容が専門的であるのと、訳が悪いためなかなか読み進められなかった。印象に残った箇所を記す。
「アメリカは、いささか特殊な意味で「弱い国家」であった。これはアメリカ政府は圧力団体に浸潤され、実際の政策に対して各々が拒否権を有する特殊な利害関係者に取り囲まれている。その結果、一般的な国益を強力にあるいは一貫して追及できなかった。この状況は「協力な国家」のように見える革命後の中国やソ連とは対照的である」
「国際機関は各国政府によって作られ、永遠に各国政府に従属しているのである。貨幣・金融を取り扱う国際機関では、アメリカが最大の拒否権を持っている。(各国政府は)国連が戦争を行う決定をする権限を禁じ、国連が税金を徴収し財政的に加盟国から独立するのも認めないであろう」
「アメリカだけが、USドルを無限に供給できるのであり、そして市場もできると認識しているのである。(アメリカだけが基軸通貨をコントロールできる)」