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後味の悪さが癖になる
2015/09/30 01:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこまねき - この投稿者のレビュー一覧を見る
先に『記憶破断者』を読み、前向性健忘症の主人公・二吉がこちらの作品にも登場していると知って読んでみました。
3作品収録の連作短編集ですが、それぞれ違った印象ながらも共通するのは後味の悪さ。
怖いもの見たさのような、後味の悪さを楽しめる方にオススメです。
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収録されています奇憶は既に他者出版の本で読了していたのですが、今回はその奇憶に纏わる人たちのサイドストーリ的な連作集でした。
相変わらず作品にちりばめられた理性と邪神との絡みがやめられません。
今回は二話目の器憶がクリティカルヒット。
やっぱり、小林泰三、大好きですv
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小林泰三の最新単行本です。三編の短編からなる単行本です。
奇妙な記憶に悩まされる男の物語『奇憶』
腹話術の人形を購入した男の物語『器憶』
前向性健忘症に罹患した男の物語『キ憶』
この三編はいずれも人間の記憶に焦点を当てた物語で、いずれも奇怪な味が印象的な作品です。三編には登場人物のつながりという意味で、関連性はありますが、それが何か一つの大きな流れとなっている訳ではないですね。
今作でもクトゥルフ関連の単語が出てきます。『ショゴス』ですね^^
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小林泰三さんにしては難しくなかったです。
すらすらーと読めてアッという間でした。
三編の短編。
個人的には「奇憶」が一番好きです。
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「奇憶」「器憶」「キ憶(キは土遍に危)」の3作品を収録。
連作短編小説と銘打ってますが、繋がりはほとんどないのでどこからでも読めます。以下、それぞれの感想↓
『奇憶』
直人のダメ人間描写っぷりが素晴しい。こんな風になる前にちゃんとしよう、と決意させてくれる。
平行世界についての説明が詳しくなされている事により、ただの不思議で怖い体験ではなくなり、論理立てられたこの世の真理として誰もが巻き込まれる可能性のある怖さ、となっている。
「ショゴス」「シュレディンガーの猫」「ブラックホール」などの単語に反応できる人は読むと良いと思う。
『器憶』
「腹話術師」と「腹話術人形」の話。
とくればある程度予想は付くわけで、いわばそれをどう魅せるか、というのが作者の力量となる。
で、小林泰三である。
その一。
発音についてやたら詳しく解説してみせる。マニアックな感じで面白い。
その二。
意識をコンピュータのプロセスに例えて論理的に説明してみせる。なんか思わず納得されかける。
その三。
なんだか妙なところで頭の良い主人公が逆転劇をしようとする。ハラハラ。
その四。
最後はさらっとブラック。このさらっと具合が素晴しい。
というわけで、とても面白い。
『キ憶』
初読時は「え、これで終わり?」と思ったが、読み返すと底が抜けるような恐怖がある。
そもそも、主人公の状態を考えると謎が解決されたところで意味がないのだ。ただの繰り返しである。
後味は一番悪い。
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アイディアが凄く好きで、人間の記憶の持つ怖さというか…常識と認識の狭間というか…
怖いです。
難解なテーマだと思うけど、とても面白くてスイスイ読めました(笑)
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素敵。記憶なんていつもギリギリ。年を重ねれば重ねるほど、うっすらぼんやりとしてゆく。
そんな中にいつ狂気が入り込んでくるなんて誰にでもありうる。その一人になるかもしれない期待・・不安・・恐・
常に私達は壁ぎわにいるのだ。
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子供のころ、蟻を潰して喜んでた人が読めばまぁたのしいかと思う。
邪悪というか黒い世界観を理詰めで構築してくれるのは個人的には好み。そうすることでより一層、逃げ場の無さの恐怖を増幅してくれていると思う。
個人的には3話目が好み。メメントにインスピレーションを受けて書かれてたもののなかでも相当レベルが高い部類じゃないかと思う。流石、小林泰三先生!!
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「記憶」テーマの連作。とはいえ繋がり方は曖昧で、それぞれ一つの作品として充分楽しめるつくり。
お気に入りは「危憶(本当は「危」に土偏があるのだけれど、出ない……)」。前向性健忘症という、もろに「記憶」テーマで危うさを感じさせる一作。こういう記憶障害にかかったら。その恐怖は想像もつかないぞ。
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連作短編とはなっているけれども、3編の登場人物が互いに知人というだけでそう絡んでいるわけでもない(多少はあるにせよ)。巻頭作以外は書き下ろしだそうだが、わざわざ連作とする意味があったんだろうか……。
内2作は「記憶」がテーマとなっている。この著者ならではの、次第に軽い酩酊感を覚えるような読書感覚が味わえる。
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2010年4月30日読了。混乱した記憶にまつわる3つの短編集。既発表の表題作に書き下ろしの2作品を合わせた本のようだ。量子力学や並行世界をテーマとして「奇憶」、人の意識の流れをマルチプロセスに例える「器憶」、前向性健忘を扱った「垝憶」と作中の登場人物が延々とメタ議論を繰り返す独特な雰囲気も楽しい。独立した短編として考えるとまあ大した話ではないのだが、通して読むと「事故の同一性とは何なのか?」と考えさせられる。記憶こそが過去=世界であり、記憶を上書きすることはすなわち歴史、その人にとっての世界を上書きすることに他ならないのでは?そうすると、現実とは人格とは何か?などとぐるぐると考えてみたり。
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小林さん初の連作短編だそうです。
そういえば小林さんの連作って読んだことなかったなーと言われて気付く。
で、良かったかどうかは……まぁ以下に。
簡単な粗筋「奇憶」(他2作)。
大学を中退し、アルバイトでさえもままならない青年。
いつしか過去の思い出に浸るようになるが、その記憶の中には現実のものとは思えないものが存在した。
夢なのか現実なのか分からない中で青年は――。
個人的には1つ目の「奇憶」、好きでした。いかにもな小林さん調で。笑
夢なのか現実なのか分からない世界は結構他のモノでも見るけれど、
小林さんの世界観はいつも秀逸だと思ってます。
が。
正直な所感としては、総合的にそこまで面白くなかったです(毒)。
いや、何ていうんだろ……連作といえば連作なんだが、なんか中途半端というか。
作り的には、あせごのまんの『エピタフ』を思い出しました。
……それが良いか悪いかは他の人の判断に任せます。笑
そして気になる所がひとつ。
同じ「記憶」テーマでもう一度出したりするのでしょうか。
というかむしろ出してくれなきゃ後味悪いんですが……。
最後の話が「次回、最終回!」みたいな終わり方だった気がする。
ちょっとアレで終わるのは反則だろう。
出されたら出されたで微妙かもしれないが、ちょーっと出てほしいという気持ちが、ね。
まぁ楽しめたといえば楽しめたので、小林さん好きの方はどうぞ。
小林さんの作品を初めて読む!って方はやめておいた方が賢明です。笑
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読みやすい文体で、一気に読むことが出来ました。
私は「ホラー」が苦手で普段はあまり読まないのですが、この本は変に怖すぎず、面白かったです。
色々な思想が出てきて、それが、普段自分が考えていたことと共通する部分があり、面白かったです。「自分の意思はどこに存在するのか?」関連の話題が多かったように思います。
ただ、極端に不潔な描写や、数ページですがグロテスクな描写があり、話として必要だったのかな、と思いました。
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あなたの記憶はほんとうにただしいか。
あなたの記憶はうしなっていないのか。
あなたの記憶はこわいか。
あなたの記憶はちぎれていないか。
あなたの記憶はいつわっていないか。
あなたの記憶はながされていないか。
あなたの記憶はたべられていないか。
あなたの記憶はほんとうにただしいか。
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3作の連作ホラー。最初の2作は特筆すべき点がないが、最後の1作は「メメント」のオマージュで、「メメント」ファンの私は非常に楽しんで読んだ。小林泰三が「メメント」を書くとこうなるのか、と思った。