- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |
紙の本
「じゃじゃ馬」は誰?
2009/10/16 23:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:斜麓駆 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エロイザ・ジェームズのエセックス姉妹4部作の第2弾ですが,邦訳はこちらの方が先に出ています。
時代は1817年。絶世の美女であるヒロインのアナベル・エセックスは社交界デビューを果たしますが,子爵であった父親が全財産を馬につぎ込んで亡くなったため,4人姉妹(長女テス,次女アナベル,三女イモジェン,四女ジョージー)の持参金はそれぞれに一頭の馬だけでした。スコットランドの厳しい自然と貧しい生活の中で,一家の中での切り詰めた家計をやりくりする役目を任されていたアナベルは,裕福なイングランド貴族を結婚相手に選ぼうと考えていました。しかし,結局,スコットランドから来たばかりの,そう裕福そうにも見えないアードモア伯爵ユアン・ポーリーからのプロポーズを受け,自分の理想とは違うものの,結婚を承諾します。結婚式をスコットランドの領地で挙げるための,前編の半分以上を占めるこの旅の物語は,互いに愛し合った二人の旅というよりは,互いのことをよく知るための旅になるのでした。
その途中で,貧しい農家に立ち寄った二人は,牛と鶏だけの,食べるものや寒さを防ぐ薪すら自分たちで準備しなければならない,極貧生活を経験することになります。数日間のこの生活の体験が,結婚に必要なのは,財産や社会的地位など,アナベルが求めていたものではなく,愛だということに気づかせてくれるのでしょうか。読者としては,そんな展開を望むところですが,まだまだどうして,スコットランドまでの旅には,ヤジキタ珍道中のような,かなりの紆余曲折が用意されています。
そして,アードモア伯爵の城に着いたとき,アナベルは貧乏貴族と結婚するのではなく,とてつもない大富豪が相手だということを実感するのでした。
作者のエロイザ・ジェームズは現役のシェークスピア学者。どの作品にも,ひねりの効いた会話が作者の魅力ですが,本作では,ご想像のとおり,「じゃじゃ馬ならし」がもじられています。しかも,じゃじゃ馬はヒロインのほうではなく・・・というところに,もじりのもじりという,一味も二味もひねった楽しみが隠されています。絶世の美女でありながら,自分を常に美しく見せようと幼い頃から訓練と工夫を凝らす生活をしてきたアナベルが,自分の見せかけではない姿と内面の美しさに気づくのでしょうか,そして,ヒーローに伝えられるのでしょうか。「見つめあう旅(たび)」の途中で,「見つめあう度(たび)」に二人の愛が深まる,愛の物語です。
3 件中 1 件~ 3 件を表示 |