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紙の本
「教育」って何なんでしょうか。そう突き付けられました。
2008/10/06 12:58
18人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今や、世界的に教育レベルの高さで知られているフィンランドで、単身現地の高校に入学し、卒業を目指した日本人女子高校生の奮闘記。
あちらの高校や授業の仕組み、高校生の生活についてだけでなく、フィンランドでの普通の生活にも触れられていて、非常に興味深く楽しく読む事ができた。
と同時に、何故彼の国が教育でトップなのか、嫌というほど納得してしまった。
いくつか本文から引用させてもらうと。
例えば、丸暗記一夜漬けでは決してクリア出来ない試験。
何しろ「問題が1行の文で書かれていて」、「授業で学んだことだけでなく、自分が持っている知識をすべて使った答えを、(中略)…答案に書けるだけの文章を書いて表現しなくてはならない」のだ。
そして、卒業するにはとてつもなく厳しく難しい卒業試験が待ち受けている。
「他の人の意見に合わせる必要はない。ただ自分の考えはきちんと持って、問われた時は、感情的にならずに、説明できるように」という目的を持った授業。
何より驚かされたのは、校則についてのくだり。
国の法律がイコール校則で、生徒の自由と権利を保障する……日本で考えられるだろうか。
だがそれは逆に、生徒たちが同じだけの責任と義務も求められているのだと、ふと気づいた。
何年で高校を卒業するか、そしてカリキュラムも自分で決めるという、徹底した生徒個人の意思の尊重は、同時に、生徒が自分自身を自分で的確に把握し判断し、自分で決定を下さなくてはならない事に通じる。そこに、教師たちのきめ細やかで親身なサポートを付け加えることで、フィンランドは、著者の言うところの「自分の頭で考える事が出来る大人」を育てているのだろう。
そういう人間を育てていく事こそが教育という、フィンランドの徹底した教育へのこだわりは、今、目の前にいる生徒たちのありのままの姿を暖かく認めながら、5年後、10年後、そして50年後のフィンランドを支える「人」を育てていると強く感じた。真の意味での「教育」がここにあると。そこからは、「人」を決して使い捨ての駒とは見ず、「人」あってこその「国」という、彼の国の筋の通った姿勢が垣間見えるようだ。
この本を読んで、二つほど心に深く残った著者の言葉がある。
一つは、フィンランドの高校生が大変「想像力」に溢れており、それが授業によって培われている、という考え。
慣れない言葉や授業に悪戦苦闘する著者に、生徒達は暖かく接する。それは、「ひとりで外国に行ったらどんなことで困るだろう。(中略)…私の立場で考えて、全部理解してくれているよう」というほど。
そこには、生徒達を競わせないことで、生徒自身が自然とお互いに助け合うという環境や、個性的な教師達の存在もあった。
何かの折にフィンランドでは教師になるのは非常に困難で、それこそ国民の憧れの職業だと聞いた事があるが、この本に出てくる「先生」の姿をみると、成程と頷けた。
もう一つは、「やりたいことがたくさんあって選ぶのに困ることはあっても、やりたいことがみつからない生徒はほとんどいない」という、将来に夢を持ち続ける若者たちの姿。
思わず嘆息してしまったのは……、日本の現状を思い浮かべてしまったからか。
最後に。
この話は、中学時代、学校で大変辛い思いをし、傷ついた心を抱えフィンランドに向かった著者の、心の再生の物語でもある。暖かい人々に囲まれ、真の教育に触れ、自分を取り戻していく著者。それは著者自身が自分の写真を見て驚いたように、各章の冒頭にある、クラスの集合写真の彼女の笑顔に何より顕著に表れている。
そして折に触れ出てくる彼女のグローバルな視点からの意見には、ハッとさせられる事も。
人間のありのままの姿を当たり前のように認め、人と違う事も当たり前と肯定する……。
それだけのことが、どれほど人間を救い、輝かせるものなのか。
楽しんで読みながらも、とにかく深く考えさせられた一冊だった。
紙の本
ありのままを取り戻す
2007/12/28 19:40
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マンダリン - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィンランドが好きな方、もしくは感性みずみずしい十代の方にお勧めしたい本です。実際に高校生活を過ごした人が書いただけあって、フィンランドの教育や文化について、表面のみならずその心にまで迫る内容になっています。もちろん同じものを見ても感じ方は人それぞれ違いますし、それは素晴らしいことなのですが、ここまで素直にありのままの姿を表現できる人は、そういないように思えます。
難関である高校卒業を目指して留学いうのは本当にすごいチャレンジです。いくら長年の夢だったとはいえ、最初は不安でいっぱいだったはずの著者も、現地では周りの人々の温かさに支えられ、成長し、ついには目標を達成します。卒業試験合格のシーンでは、「よくやった! おめでとう!」と心の中で叫ぶこと請け合いです。読んだ自分までも感動を追体験し、心が温かくなりました。また、フィンランドで自分を取り戻し、生き生きと輝いていく過程もよく描かれています。私もなんだか人に優しくしたくなりました。人を成長させるのは厳しさやコントロールではなく、その人のあるがままを認める優しさなのかもしれません。そして、夢と希望を忘れないこと。視野を広く持つこと。
ちなみに読後、思わずムーミンの本も買ってしまいました。
紙の本
koska nain sinisen valon
2016/12/25 16:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:肋骨痛男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
10代半ばで単身海外移住して馴染んでしまう行動力と大胆さに脱帽です。社会と本人の移り変わりをふまえて、是非続編を出して欲しい。