サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

テロル みんなのレビュー

2006年フランス書店組合賞 受賞作品

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー16件

みんなの評価4.7

評価内訳

  • 星 5 (11件)
  • 星 4 (4件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
16 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

イスラム原理主義者の「自爆テロ」が「カミカゼ」と呼ばれているのか——それを知らされ、ズキリときた。自爆テロに一種の華やかさや昂揚感を付与する、その言葉の国の民として何をどうあがなえるものなのか。

2007/05/03 22:53

11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この小説は「かなり踏み込んだ内容」で、イスラム原理主義の過激派グループによる聖戦(ジハード)がどういうものなのか、その本質がよく描かれている。
 米国がふりかざす「正義の制裁」は、グローバル化の流れのなかで国家権力が及ぶ領域を巨大化する大国の自己表現である。これに対するテロリズムは少数の集団、突き詰めていけば個人的な信仰による「肉体を張った戦い」なのである。したがって「帝国主義VSテロ」という図式で情況が語られることには不自然さがある。そう書くと、いかにも大きなものと大きなものが戦っているような印象を与えてしまうが、その内実は大きなものに対する小さなものの抵抗だ。具体的に言うなら、組織化された最新鋭の武器を持つ軍隊に対する、堅い信仰に突き動かされた一個人の信仰の表現ということになる。
 信仰の表現の一番聖なるものとしての「自爆テロ」が「カミカゼ」と呼ばれているとは、私たちにとって何と酷い事実であろう。武器を持って相手に体当たりするのだから、それが「カミカゼ」と称されるのは考えてみれば当然のことだ。しかし、古代から数え切れないぐらい多くの自爆があり、その犠牲者が歴史の部分部分を形成してきたなかで、よりによって使われてしまう「カミカゼ」という言葉のインパクト——そこに、カミカゼの国の民である私は、非常に苦いものを感じる。それは恥ずかしさであり申し訳なさであり、また怒りでもある。何をどうしたらよいのか分からない忸怩たる思いも重なる。このように使われる言葉、概念を生み出したという理由で、いつか国家元首が「彼ら」に謝らなければならない日が来てもおかしくない。
 テロに踏み込んだこの小説は、1つのテロのエピソードをプロローグに置き、本文に入ったところでまた1つのテロで口火を切る。物語の展開だけを取れば、ハリウッド映画のジェットコースター式娯楽作品に似ている。息つぐ隙を与えず、次から次への動きや進展があるのだ。しかし、テロの本質を露わにしようという創作意図の下に書かれた作品は「娯楽」ではない、無論。
 このテロは「米帝国主義」への聖戦という形はとっていない。イスラエルのユダヤ人に対する、イスラエル国家建国前の元々の住民であったアラブ人によるテロという形になっている。ただ、現場は「ハンバーガーショップ」という極めて米国的な場所である。
 本のカバーに紹介された程度の筋を追って紹介するなら、テロの首謀者は、イスラエルのセレブリティの妻だったのである。成功した外科医である夫には、その事実が全く理解できない。夫婦生活は幸福で安定したものであり、西洋風の生活スタイルを好む妻がイスラム原理主義者であったとは信じられない。物語は、真相を突き止めようとする夫の葛藤を道連れにミステリ仕立てで進む。
 この夫が誇り高きアラブの民族「ベドウィン」であることが、大きなポイントとなっている。アラブという出自が外科医としてのキャリアを積むことに障害となってきた彼が、イスラエルに帰化した者として、アラブとユダヤのバランスを取りながら生きてきたこと、そして、彼の妻が、そのはざまでどうバランスを取りながら生きてきたかということが小説の核となっている。
 この設定と展開の見事さ、テーマへの肉迫具合に引き摺られて読み進めた。そのため、文学性、芸術性、それは主に詩情という面での魅力にいまひとつという気もしていたのだが、その物足りなかった詩情はエピローグで一気にあふれ出た。プロローグと呼応する結びの内容に、ジハードを受け継ぐ民族の「血統」を認めたとき、これは傑作の評判に違わない小説だと納得した。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

日常の風景であることの悲しさ。

2007/12/15 09:25

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:四月の旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「レストランを爆発させた犯人はきみの奥さんだとしか思えないんだよ」。

なぜ? 
妻とふたり、ユダヤ人もうらやむ幸福な家庭をつくり上げたと
信じて疑わなかったアラブ系イスラエル人のエリート医師が、
その答えを探すところから物語は動き始める。

60年以上も前に、一瞬にしてすべてを奪われる恐怖から解放された日本人には、
アルジャジーラが日々伝えるパレスチナ+イスラエルの映像は
あまりに遠い出来事と映るだろう。
そして、ややあって、その悲惨な景色の周囲にも
私たちと同じように日々の暮らしに喜びや悲しみを育む
人びとの生活があることに思いいたる。

主人公の大叔父が、アラビアのロレンスについて語った言葉。
「あの蒼白い顔をした悪魔は霧の晴れぬ国から来て、
オスマン帝国に対してベドウィンを蜂起させ、
イスラム教徒のあいだに反目の種を植えつけた」。
そう、これは2000年にわたる宗教対立などではなく、第1次大戦のときの
英国のいわゆる“三枚舌外交”に端を発していたことを思い出す。

欧米が勝手につくり、変更を認めない20世紀以降の世界──。
アフリカ大陸に引かれたほぼ直線の国境線を思い浮かべれば十分だろう。
日本政府が国際社会というとき、いったいどの国を想定しているだろうか・・・。
そこには、そのまま私自身の認識も投影されているのだろう。
だからこそ、
書物や映像を通して可能な限り多くの国の文化にふれたいと考えている。

たとえば、ドキュメンタリー映画「プロミス」はうかつにして怠惰な私に、
イスラエルとパレスチナの7人の子どもたちの声を通して、
憎しみの連鎖の中に生まれつつある希望を伝えてくれる。

同じ頃、書店に並んでいた作品のリスト──。
北朝鮮の精鋭部隊が福岡ドームを占拠する村上龍著『半島を出よ』、
東京と地球の未来をかけて闘う反政府ゲリラを描いた池上永一著『シャングリ・ラ』、
お台場を徹底的に破壊して爽快な(?)福井晴敏著『Op.ローズダスト』、
日系二世の米兵が原爆投下阻止のために太平洋を渡る建倉圭介著『デッドライン』、
日本人作家によるこれらの作品はいずれもスリリングな展開で、
最後まで一気に読ませてくれる。

それでも、それは小説の世界だ(当たり前か・・・)。
『テロル』の舞台となった国でも、特異な舞台設定がなければ
こうした物語が成立しなくなる日が来ることを願ってやまない。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2008/04/08 23:57

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/02/20 09:46

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/06/13 08:27

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2010/09/16 18:11

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/02/27 22:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/06/11 11:51

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2011/10/05 12:39

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/02/11 20:00

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/03/08 04:30

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2012/08/08 13:24

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2013/07/16 16:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2016/09/16 14:33

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2018/01/08 12:15

投稿元:ブクログ

レビューを見る

16 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。