紙の本
妖怪とは、なんぞや?
2007/10/30 21:01
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:求羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知、三蔵法師が弟子の孫悟空、猪八戒、沙悟浄とともに、唐の都・長安から天竺へ経典を求めて旅する物語である。
子ども向けではなく、一度しっかり西遊記を読んでみたいと思っていたところ、平岩版が出たので喜んで手を伸ばした。もっとも、かわいい挿絵に惹かれたのが一番の理由だけど。物語自体おもしろいとはいえ、この挿絵がなければ、上下二段組で900ページ近くある作品を難なく読み進められなかったかもしれない。
西遊記といえば、悟空たちが次々と現れる妖怪をばったばったとやっつけていく痛快・冒険譚、というイメージが強い。「妖怪を倒す=殺す」とばかり思っていたので、ごく一部を除いて妖怪たちが死なないのは、意外だった。
なにより、妖怪が単純に「悪」と決めつけられない面を持っているのが、この作品の特徴といえる。やむにやまれぬ理由があって妖怪の身に落ちた者、自分と仲間を守るために人間に歯向かう者、育った環境が悪くてひねくれた者など、ここに登場する妖怪たちは、弱さや迷いを持ち合わせた、実に人間的な存在なのだ。
もとより退治する悟空たちも、各々過ちを犯して天界から追放された身である。師匠の三蔵とて、最初のうちは弟子を信じ切れず、自分の不徳を嘆いてばかりいる。
これまでずっと、妖怪の存在は、当時の唐から天竺までの道のりの厳しさを現しているのだと思っていた。だが、悟空たちの成長物語として描かれた本書を読むと、また違った景色が見えてくる。
思うに、妖怪を倒すことで三蔵一行は、己の弱さや不信の心をひとつひとつ打ち破っていったのではないか。妖怪はいわば、彼らを映し出す鏡である。妖怪と向き合うことで、彼らは本当に倒すべき敵が自分の中にあることに気づくのだ。妖怪の存在は、忌むべき敵ではなく、悟りの境地に至るための必要条件なのではないだろうか。
「およそ、人とは弱いものでございます。弱さ故に罪を犯し、苦しみ、悩み、傷つく。大切なのは、罪を悔悟し、乗り越えて行く強さでございましょう。」(上巻 P.384)
生きとし生けるものすべてに等しく慈愛の目が注がれた物語は、この一文に集約されていると思う。
ちなみにこの平岩版は、悟空が五行山の下に五百年間閉じ込められるまでの有名なエピソードを大胆に削り、師弟の絆に重点を置いて描いている。キャラクターの個性が光る本書に不満はないが、こうなると俄然、岩波文庫も読みたくなってくる。
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悟空が可愛い。
犯罪的に可愛い。
悟空が大好きな三蔵法師と菩薩以下天界の方々がかなりツボ。
時にお師匠様、あなたは悟空の母親ですか?
現在毎日新聞にて連載中。
下巻が夏発売とのこと。待ち遠しい。
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そういえば、西遊記ってテレビやアニメや子供向け小説なんかで知っていても、結末は知らないと言うか覚えてないと言うか、お経をもらえてそれからどうなったの?などと言うことを私は知らない。
で、私の中の悟空のイメージはテレビでみた堺悟空とかドリフがなんか人形劇みたいなんでやってたんとか(古いな^_^;)まあともかく乱暴ものでけたたましいサルというイメージが強い。
だが、この平岩版西遊記の悟空と来たら、もうもう犯罪に近いくらいに可愛い、健気。
お師匠様との絆は天下一。もうもうふたりのやりとりを読んでるだけで素敵ーとか思ってしまいます。
挿絵もむっちゃ綺麗で、悟空の愛らしき表情にモエモエしてしまう。
今毎日新聞に絶賛連載中でもうすぐ終わるらしいですが、ううっ、単行本で下巻が出るのがこれほど待ち遠しい作品もなかろう。
平岩弓枝さんのきめの細かい美しい文章にもうっとりできる一品です。
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悟空が可愛いとの評判だったので読んでみた西遊記本だったのですが、噂どおりの可愛さで、他のお供たちにもそれぞれ愛くるしさがありました。素敵な妖怪達に出会わせて下さって、平弓さんにも挿絵の蓬田さんにも感謝です。
もちろん、後編も面白かったです!
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孫悟空の前半生である天界での大暴れはカットされていて第10回の龍王が魏徴に処刑されるところからはじまる。
李世民の世(いわゆる貞観の治)で太宗皇帝とか、徐世勣っていうのはおかしいわけだが、読みやすく面白いからよしとしよう。
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敏行が・・・(違)
ぶたがねぇ・・・猪八戒が
腹立つんだよねぇぇぇぇ(笑)
そうか・・・こういうお話だったのねぇ・・・と
思いながらさくさく読めました。
下巻も読みます!
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ドラマでやっていたと言うこともあり、読んでみました。
孫悟空が、だんだん素直にけなげになるところがよかったです。
読み始めると止まりませんでした。
しかし、意外と孫悟空も神様に顔が広いなぁ・・・。
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西遊記のストーリーをやっと知りました。
孫悟空ってやんちゃで生意気で暴れん坊ってイメージだったけど、かなりお師匠さま思いのイイ子でビックリ!
ただ、三蔵法師さま、悟空を溺愛しすぎじゃない…?
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西遊記って乱暴ものの孫悟空のイメージがありますが、これで払拭されました。孫悟空皆に溺愛されすぎじゃあないですか。いい子だし。ぷうと頬を膨らませて怒ってみたり、ホント可愛い。美しい日本語ってこういうことなのだな。
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連載当時勤めていた会社が毎日新聞購読していて、日々の楽しみ化していました。特に挿し絵が素晴らしくて(こういう雰囲気の絵が大好き!)
単行本が出たら絶対欲しい。。と思いながら数年経過(苦笑)
でも、気になった本とは必然的に巡り合わせがあるのかもしれません。
ようやく手元にやってきました。。。(笑
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図書館で上下巻まとめて借りることができました。
しかし、「西遊記」を読んで、こんなに癒されるとは思っていなかった。いい意味で予想を裏切られた感じです。
はっきり言って、玄奘三蔵と孫悟空、この二人の愛と絆の物語。
妖怪退治とか苦難の旅路とか、女好きの猪八戒とか、いろいろと盛り上げてくれるんだけど、全て二人の絆を深めるため。
三蔵は清く優しく人間らしく、孫悟空はいじらしく愛らしい。
挿絵がまたイメージぴったりなんだな。
今の日本のこの状況の中で、このさわやかな慈愛の物語に出会えてよかったとしみじみ感じた一冊。
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西遊記を読んでこんなに癒されたのは初めてです。
そもそも長編の小説など、数えるほどしか読んだことがない私が止まらぬ勢いで読んでしまいました。それほどに面白く、また、挿絵が3ページに1枚ほど入っているのですが、その絵が話のイメージにぴったりで素晴らしいです。絵が好きな私は、ページを捲るのが楽しみでした。そしてやはり悟空がなんともいえずいじらしく可愛い。今まで孫悟空は手に負えない暴れん坊のイメージがあって嫌煙していたのですが、この本を読んでよかった。
悟空の活躍はくすりと笑えたり時には泣けたり、頑張れと応援したくなる。師弟の絆、それ以上に愛と優しさに溢れた西遊記。多くの人に読んで欲しい、大好きな本になりました。
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ふと、子供時代以来読んでない本が読みたくなって
思いついたのが西遊記。
図書館にあってとりあえず借りた平岩弓枝バージョン、
日本語は美しいし、悟空は可愛いし、
話も面白い。
この前に読んだ本の日本語が酷くて挫折したばっかりだったから
なおのこと染み入る日本語。
平岩弓枝をちゃんと読んだことなかったけど
他の本も読みたくなった。
まずは後編を読んでから‼︎
初めて御斎という言葉知る。
でもちゃんとアイフォーンの予測変換で出てきた‼︎\(^o^)/