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紙の本
人権と民主主義の思想から現代倫理と憲法を検討した力作
2007/05/20 08:07
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生命倫理や環境倫理など、現代倫理の課題を検討し続けている著者ならではの整理された論稿である。現代倫理を考えるうえで重要な視点が示されている。
前半のロールズの正義論やノージックやコミュタアリズムやアマルティア・セン、ハーバーマスなどの理論展開と、その理論の意義と問題点の検討には少々てこずるが、現代の新自由主義などに時には利用され、時には批判の根拠とされる思想との関連から考えた時、後半の環境倫理や生命倫理との関係がわかりやすく整理されている。
以前から、問題をいっぱい抱えたロールズの正義論がいろいろなところで取り上げられるのはなぜなのか、ずっと疑問に感じていたが、本書を読んでわかったような気がしてきた。
また、最近アマルティア・センがよく取りあげられ、私も幾冊かの本を読んだが、結局のところ理想論的な観念に留まっていると感じていたことの原因が氷解したような気がした。
「センの問題提起は先鋭ではあるが、倫理学理論としての体系的展開は見られない。もっとも、それは彼が経済学者であって経済学の分野でその倫理的問題提起を行っているからとも言えるであろう」
これらの現代注目されている思想の意義と問題点を検討することにより、現代倫理の問題と民主主義との関係が浮き彫りになっている。
最終章の「人間の尊厳」と日本国憲法との関わりの検討は、もっとも重要な問題の整理であり、同時に日本国憲法がいかに先駆的な内容をもっているかを浮き彫りにしている。
日本国憲法については、他の書評で何度も何度も主張してきた。その私の視点を裏付ける論点であった。
前半の様々な現代思想の検討については、なじみのない人には難解かもしれないが、現代を考えるうえでとても参考になるものがあるので、ぜひ一読してみて欲しい。
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