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予約したのがちょっと遅かったので図書館で3ヶ月ぐらいの順番待ち。
期待していたよりもよかった!
というか、暗い話なので、嫌いな人はまったくダメかも。
私は以前この人の本を読んで文章の感じが好みじゃなくて読むのをやめてしまったのですが、今回は一気読み。
雰囲気が東野圭吾さんのくら〜い作品に似てます
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殺人事件が起こった。それをめぐり「本当の悪とは?」を考えさせられる。
失うものがないということは決して強いということではない。大切な人がいる、これはとても素敵なことであると改めて思った。
この本の舞台は長崎、佐賀、福岡。話の中で殺人現場とされている場所などほとんど車で走ったことがある。「あの道かぁ」なんて思い浮かべながら読めてとても楽しかった。
これはおすすめ。描写もうまい。
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朝日新聞に連載された新聞小説。かなりの厚さだが一気に読んでしまった。長崎・佐賀・福岡が舞台になっていてさらに興味深く読んだ。元々の「悪人」なんていないのだが、罪を犯して後悔しても遅い。人間の弱さ・儚さを感じた。現代の若者を取り巻く複雑で悲しい環境に対しての警鐘にも感じた。教訓→「一瞬の気の迷いでも出会い系に手を出すべからず^^!」
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力作にして傑作。時折表現が軽くなるときがあるけれど、それもわざとなのか。読みながら、中上健次や青山真治もことを思い出した。「みなが被害者になるわけにはいかない」――。泣けた。
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この作品で今まで
誤解していた事を後悔する。
グングン読めて最後はグッと胸つまる。
↓
川上弘美の書評から流れで
芥川『薮の中』も読んだ
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読み始めはなかなか取っ付けなくて、先に進むのに時間がかかったんだけど
だんだんはまって行ってしまった。
色々な登場人物の視点で書かれていて、ちょこちょこと変わるので飽きずに読めた。
この物語の中では一体誰が悪人なのか。。
それも読む人によって違うのかもしれない。
号泣ってことはないけど、ジワジワ悲しかった・・・
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やっと読めた。
やっぱ吉田修一好きだー。
標準語より方言を多用して喋らせてるのも結果的に成功してる気がする。
まだまだ不安定だけど、人間として好きなので,今後の成長が楽しみ。
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ABCで吉田修一のサイン入りの本を購入。
峠を越えるスポーツカーのように、始めはゆっくりのぼっていき、突然急なカーブを曲がり、どこまでも一気に下っていくお話。
新聞小説のせいなのか、説明多き文章と犯罪者という言葉ではなく「悪人」という言葉を使うところ、少し疲れる。
保険外交員の女の父親の言葉が響く。
「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人間がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うものがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。」
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人間の心の動きが、悲しかった。
「アンタ、大切な人はおるね?。。。その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい。。。今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものがなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を、馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ」
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玄関、大きな鍋、ごちゃついた台所と食卓、車の中、車から右手に見える夜景。
暗い先行き。
強い本田と思う。作家のイメージが変わる。
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ダカーポの「今年最高の本」、ダヴィンチの「プラチナ本OF THE YEAR」に選ばれるなどの大絶賛。
ということで読んでみた。
「悲しい」の連続。とんでもない極悪人が登場するわけではなくて、ちょっとずつ悪に見えてしまう面を幾人もの登場人物に背負わせる。
ほんとうの悪人なんて滅多にいるもんじゃないし、見る角度によって悪にも捉えられるし、そうでもないようにも捉えられる。そんなことは分かり切った事じゃないか。
殺人は絶対に悪だ。しかし殺人犯にも共感できる要素があって、人間性の善悪ははっきりしていない。
そう言うことを書いている本だから、読後感はけしてスッキリしたものじゃない。
だけど、小説ではなくて、きっと本当の事件の当事者もそうなんだろう。
決めつけるな、考えろ。人間は色んな見方が出来る。善悪だけじゃない。たった一つの言葉も行動も、状況や思考の積み重ねじゃないか。
そう言う思いが、一層強くなる。
同時にダヴィンチ編集長のコメントにあった「誰もが被害者でいたい時代、すなわち責任を引き受けない時代の中で、自分は加害者なのだと自覚し、引き受ける者は、こんなにも傷だらけになる」ということを改めて感じた。
でも絶賛されすぎじゃねえかな。。
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1/4 おもしろかった。吉田修一らしい人間の捉え方だなあと最後らへんは特に思った。「どっちも被害者にはなれんけん」新聞連載で読んでたらもっとおもしろかったかも。
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2007年の話題作だったが、これまで吉田修一という作家をなぜか敬遠していたこともあって、刊行当初にも話題作と聞いていたのだが、実際に手にするのが遅れてしまった。
読んだ感想としては、非常に面白かった。こういう、一つの事件から社会や人間性を論じる作品は僕好みである。しかし、この分野では宮部みゆきという第一人者がいる。宮部みゆきを読み続けてきたファンの一人としては、宮部みゆきぽい作品だなぁと思いながらページを捲ってしまった。殺人事件から社会とその事件に関わる人達へのアプローチが宮部みゆきの諸作品をひっくるめて纏めたような感じを受けながら読んでいた。
宮部みゆきの亜流という一言で片付ける程、ツマラナイ作品ではなく、むしろ非常に面白い。結論自体も宮部みゆきでは書けない結論だとも思う。こういう作品が純文学から発生してきたというところにも意義があると思う。しかし、それゆえ、宮部みゆきを始めとするエンターテイメント側の質の高さや人材の豊富さに感じさせられてしまった。純文学畑であるならば、もう少し違ったやり方があったんじゃないかと、少々残念に思った。それに『悪人』というタイトルをつけるのであれば、もう少し『悪人』ということ部分に主題を持ってきたほうが良いんじゃないかとも思った。(本当はジャンル分ってあんまり好きじゃないんですが、未だにエンターテイメント側が低く思われることが多いと思い、あえて書いてみました。もちろん僕の思い込みですよ。)
と批判めいたことも書きましたが、一人称と三人称が入り乱れる割にはかなり文章は読みやすいし、構成も面白く、それに登場人物個々人も上手く描けていて、のめり込んで一日で一気読みしました。
吉田修一の作品は初めて読んだのですが、これからボチボチと遡って過去の著作を読んでみたいと思いました。
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今の世の中 ほんとにこんなことはありえるんだろうなぁ
と感じさせる内容。
なだけに、なんともやりきれない。
ずっと負の雰囲気のまま、救われる部分がない。
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ずっと気になりつつも、内容がかなり重そうで躊躇していた一冊。
確かに重かったが、420頁を一気に読破させてしまう筆力であった。特に後半〜ラスト、頁を捲る手を止める事が出来なかった。
凄い。
この読後感は何なんだろうか・・・。
これまでの吉田修一のカラーであった、つかみどころの無さ。から一転。
圧倒的な生々しさを感じさせる小説。やるせない孤独感を抱えながら地方に在住する登場人物たちの行動が、セリフが、心象が、おそろしくなってしまうほどに生々しい。一件の殺人事件が軸になるのだが、犯人は前半で既に示唆されており、事件を回想するかのように事件に関わった人間たちの、それぞれの視点からの情景が淡々と描かれる。その視点(チャンネル)の切り替えの多さと、前半〜中盤まで漂う閉塞感に、途中で投げ出しそうになってしまったが、中盤以降の展開が怒濤。家族、親友、同僚、知人、メル友。誰もが相手の本当の気持ちを知る由も無い・・・。いつのまにか、祐一の気持ちを、行動の理由を知りたくて頁を捲る自分がおりました。タイトルの「悪人」が示唆するところは最後の最後の一文に表れている。そこに全てが集約されている。
火サスと恋愛小説と夏目漱石を一緒に読んだような感覚でした。