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痛々しい。「自意識」という怪物のなれの果てを見る思いがする。
中国やインドの経済成長が叫ばれる中、日本が提示できる「哲学」は、経済成長を終えた日本における、人生をめぐる自意識の物語である。
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新聞小説のせいか、淡々とした印象。ディテールの書き込みがリアルなのがさすが桐野。それがストーリーに向かって有機的に機能しているとは言いがたいところが惜しい。この人はオンナを描いて一番力が発揮される人だと思うんだけどなー…。
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6/23 ズミズミ,上等.
愛情は変質する.家族は消滅する.人は死んでいく.空も海も毎日違い,この世に絶対変わらないものなんてない.
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「すんきゃーびびったさ、まっじ、はごかったー」「ズミズミ、上等」
沖縄を舞台に記憶喪失のギンジ、宮古島出身のジェイクという二人の若者が出会い、それぞれ生きる道を探って彷徨っていく。二人のサバイバル、ギンジの過去、沖縄の社会の現状など、隙のない圧倒的な展開力と人物造型で、一気読みするしかない。う〜〜む、もうさすが桐野夏生、である。あばっ、〜べき?、オゴエっ、あっがいー、うわり、だいず、〜さいが、なんとなんと、なーんとなしに……正確なニュアンスは分からないが、宮古島の方言がチャーミングでそれだけでも読んでいてうわり楽しい。しかしながら、いかにもロードノベルというか、やっぱり桐野作品だからというか、あのラストしかなかったのか……主人公二人が桐野作品の主人公にしては健気なだけに救いがなくて、2、3日後味の悪さを引きずった。
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天才・桐野夏生の新たな一面を見た感じ。
今までは女性が主人公となる話が多かった。
途中まではすんぎゃーおもしろかったよ。
だいずーおもしろかった。
最後の方、ちょっと失速・・・
それでも、この人の文章には惹かれるわ。
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桐野夏生の描く主人公やそれを取り巻く環境は、その時々に点在する日本の見過ごしてはならないが、そっと目の外に置かれているようなことが多い。それゆえに説得力があり、読んでいて辛く思えるところがある。DV、離散、崩壊、ニート、底辺。ただ今回の作品は、宮古島の方言を多用し、そこになんとなしに救いがあるような。終わり方も、ちょっと意外というか、桐野作品にしては失速気味というか。しかし、面白い。一気に読んだ。
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すっごく面白く、どんどん読めて
続きが気になる、おもしろ本。
新聞連載の小説ってことで、ややいろんなことを詰め込みすぎのきらいがあり、
終わり方も唐突で、えっ?これで終わっっちゃうん?感がかなりあり、ちょっと苦しげ。
ギンジの性格にバラつきがあり、育った境遇に同情はすれど、姑息で嫌な性格モードの時は、読んでてかなり鬱々する。
時事ねたも多いけど、すっごく面白い本であるってのは、間違いないです。
「細胞は生まれ変わる。夕方の僕は、朝の僕ではない。」
「あたしたちって、ヨルサクハナだなって。もうこの入り口入ると出られないって」
「だから、ここで死ぬまでヨルサクハナなのかな、と思うと悲しくなる時があるさーよ。」
「言葉を尽くして語ったとしても、どうしてそんなことで、と言われるかもしれない。人が死を選ぶ理由は様々で、レベルでも軽重でもない。あるのは、まさに個人的としか言いようのない理由なのだから、それを他人にわかって貰おうと思うこと、そして他人がわかろうとすること、双方共、錯覚に過ぎないのだ。僕の逡巡はそこにある。」
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07年8月。
沖縄で記憶を失った青年と、森の中で彼に最初に会った昭光が主人公。
家庭崩壊、就職難、ニート、ホストクラブ、政治などの話題を絡ませ、一気に読ませる。
青年は記憶を取り戻せるのか?苦労知らずの昭光はどうなっていくのか?
夢のある者と未来に光を見出せない者たちが次々に登場し、自分勝手に行動していく様が、現代日本の暗部を示していて怖かった。
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記憶喪失になった主人公。
ジャングルを必死で逃げ惑う内にであった青年は名前も忘れた自分を「ギンジ」と名づける。
沖縄モノはどうもスキです。でも、尻切れ感が否めません。
なんとなんと。
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破壊されつくした僕たちは、\"自分殺し\"の旅に出る。なぜ\"僕\"の記憶は失われたのか?世界から搾取され、漂流するしかない若者は、日々の記憶を塗りかえる。孤独な魂の冒険を描く、まったく新しいロードフィクション。
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集団ネット自殺、環境問題、ワーキングプアなど現在問題になっているものをたくさん集めて小説にし、それを一気に読ませる力はさすがです。
心が痛くなりました。
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あまりの分厚さに借りるのを躊躇したけど、帯の羅列したキーワードで借りた。
持ち歩くにはズッシリなので、自宅で一気読み。
厚さや救いのない内容の割には、飽きることも疲れることもなく一気に読めた。
ラストはなんらかの決着は見たかったが、それ以外は満足な1冊。 〔図書館・初読・12/2読了〕
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去年あたりに新聞連載でちょこちょこ見てたのだけど
抜けた部分を補完の意味を込めて購入。
名前も生きていた場所も空白状態の主人公。
まっさらのの主人公に重ねられる記憶。
その主人公の実の自分探しな旅でもあるのだが、
彼に絡む脇役達もさまよいながら自分探しを続ける。
見つかるかどうかはさておき、ラストは苦しいの
一言につきるのかもしれない。
人生はたのくるしい。
でも、絶望の中にも何かはある。
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昭光、磯村ギンジこと香月雄太、そしてその家族、銀治と愛、過酷な労働に耐えながらも明るい中国人。息つく暇もないほど、この本に引き込まれてゆく。終わる事のない心の葛藤を抱えながら、自分の道を切り開き、強く生きてゆく者、最後、死を選ぶ者、決断のタイミングがもう少しずれていれば、また、違ったかもしれない。家族崩壊、ネット自殺、DV(ドメスティックバイオレンス)、同性愛、ホストなど飽きる事ない題材を散りばめられた、まさに、現代を象徴するかのような作品であった。これほど、勢いよく読み進めたのは実に久しぶりである。
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2007.12. 桐野さんは、こうでなくっちゃ。記憶喪失の男が、陽気な宮古弁(これが楽しい)をしゃべる男と出会い沖縄でどうにか暮らしていく・・・。途方もない暗い過去を抱えて。この、過去を一気に思い出して語るシーンが、しんどいけれど好き。嫌だけど、好き。人間の黒い面やどうしようもなく染み出してしまう毒を、見事に描ききるその筆力。圧倒される。人間ってどうしようもない。でも、生きていけると思えるラストは、スカッと爽快なくらい。ズミズミ、上等だ。