紙の本
これは先が読めないっ!!!でも…ちょっと、やりすぎ?!
2011/04/18 13:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハジメマシテの作家さん。火サスや土ワイで原作としては何度も楽しませていただいた経験があるのだが、本を読むのはほんとにハジメマシテだ。
お正月の別荘で起こった、製薬会社会長殺人事件。犯人は、一族の誰からも愛される摩子という女子大生。最愛の摩子を守るため、別荘に集う一族と、たまたま居合わせた家庭教師の一条春生とが一致団結し、偽装工作を行うのだが…。
これは先が読めないっ!!!
なんとひねった――工夫を凝らした――プロットなんだろう。
クインの『Yの悲劇』に感化されて、本書を著したそうだけれど、その『Yの悲劇』もこういう展開なのかしらん?と、翻訳書強化年間なだけに、興味がむくむくとわいてきた。
とはいえ、アラが見えないわけではない。途中で登場する警察のマスコミ発表について、そんな「疑い」の段階でいろいろ発表しちゃっていいの?とか、細かい部分には突っ込みどころも――はっきり言って、数えきれないほど――あるけれども、総体的に、すごい。
ただ、「悲劇」という言葉に拘った故か、著者はラストにもうひとつの山場を用意しているのだけれど、これは蛇足かな。ここは引き算をして悲劇感を際立たせるほうが、より悲劇的で可笑しさと哀しさが深まると思う。(本家の『Yの悲劇』を模倣して…など意図があるのかもしれないけれど。)
タイトルの「W」に込められた意味も深くて、興味深かった。ひとによっては、とりたてて言及するほどのことでもないかもしれないけれど。
細部に拘らず、全体的に愉しむべき作品だろう。
ちなみに菅野美穂主演でドラマ化されているらしい。そのドラマはコメディタッチらしく、ぜひとも見てみたいと思う。
紙の本
読みながら映像がアタマに浮かんでくるミステリ
2011/05/27 22:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もしかするとネタバレになる可能性のある表現が含まれてしまうかもしれないので、未読の方はご注意いただきたい。
冒頭で女子大生である摩子が「おじいさまを殺してしまった・・・」と告白。そこは一族が集まった別荘。和辻一族が集まる中でただ一人、摩子の家庭教師である春生だけがヨソ者である。さて、そこから一族の隠蔽工作が始まる。摩子が告白した殺人を外部の人間による犯行だと見せかけようとするのだ。その仲間には被害者の主治医も含まれていたから、今まで見たこともないようなトリックを使って、死亡時刻をごまかそうとする。
時間も手間もかけてじっくり練った完璧なはずの偽装工作だった。
本作は、「倒叙ミステリ」という分野を上手く利用したミステリであると思う。「倒叙ミステリ」というのは、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などのように、冒頭部分で犯罪が行われる。読者は当然最初から犯人を知っているわけだ。それを探偵役がどうやって犯罪を暴いていくか、その過程を楽しむミステリ。この作品でも、冒頭で摩子が「私がおじいさまを殺した」と告白している。そして、それを隠すために用いたトリックを刑事が徐々に暴いていくのだけれど・・・。
ひねくれ者のミステリ読みである私は、冒頭部分から疑ってかかっていたので、ラストはあっけなく感じた。あぁ、やはり・・・といった感じ。疑いながら読むと、いろんな部分で引っかかってしまう。この辺り、もったいないと言うべきか。
摩子の殺人を隠すために和辻一族が用いたトリックは見事なものだ。これを惜しげもなく、こういう形で使うの~!と思うほど。
ミステリとして「Yの悲劇」には及ばないが、本作には別の魅力がある。女性を描いた作品として、とても面白い。つい昨年もドラマ化されたし、1984年には薬師丸ひろ子主演で映画化されている(映画のほうは劇中劇という形をとっているけれど)。読んでいても、映像化に向いている作品だと感じた。
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2010年の年頭くらいにドラマ化されていました(主演は菅野美穂、谷村美月)。
ただ、各所で指摘されているとおり、テレビドラマというよりは、舞台向きの作品という印象。
実際、本作を劇中劇として取り込んだ映画もあるようです(主演は薬師丸ひろ子)。
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共犯者にあたる人物の視点で始まります。物語が進むにつれて、隠ぺい工作が見破られていって、犯人が逮捕されて……と思ったら、そこで終わらないんですね。意外な真相に、すっかり騙されました!
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新雪に包まれた山中湖畔。日本有数の製薬会社・和辻薬品会長の別荘で、突然、悲劇の幕は開いた! 和辻家のだれからも愛されている女子大生の摩子が、大伯父に当たる当主の与兵衛を刺殺したのだ。一族は外部からの犯行に見せかけるため、摩子の家庭教師・一条春生に協力を要請し、偽装工作を・・・。名作『Yの悲劇』に挑戦する、著者会心の本格長編推理傑作。
(「BOOK」データベースより)
エラリー・クイーンの「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」はだいぶ前に読了(ブログにはまだ記事はUPしていない。再読後、UP予定)。この文庫にそのエラリー・クイーンの解説があることだけでも興味が惹かれた。
このあと、もしかするとネタバレになる可能性のある表現が含まれてしまうかもしれないので、未読の方はご注意いただきたい。
冒頭で女子大生である摩子が「おじいさまを殺してしまった・・・」と告白。そこは一族が集まった別荘。和辻一族が集まる中でただ一人、摩子の家庭教師である春生だけがヨソ者である。さて、そこから一族の隠蔽工作が始まる。摩子が告白した殺人を外部の人間による犯行だと見せかけようとするのだ。その仲間には被害者の主治医も含まれていたから、今まで見たこともないようなトリックを使って、死亡時刻をごまかそうとする。
時間も手間もかけてじっくり練った完璧なはずの偽装工作だった。
本作は、「倒叙ミステリ」という分野を上手く利用したミステリであると思う。「倒叙ミステリ」というのは、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などのように、冒頭部分で犯罪が行われる。読者は当然最初から犯人を知っているわけだ。それを探偵役がどうやって犯罪を暴いていくか、その過程を楽しむミステリ。この作品でも、冒頭で摩子が「私がおじいさまを殺した」と告白している。そして、それを隠すために用いたトリックを刑事が徐々に暴いていくのだけれど・・・。
ひねくれ者のミステリ読みである私は、冒頭部分から疑ってかかっていたので、ラストはあっけなく感じた。あぁ、やはり・・・といった感じ。疑いながら読むと、いろんな部分で引っかかってしまう。この辺り、もったいないと言うべきか。
摩子の殺人を隠すために和辻一族が用いたトリックは見事なものだ。これを惜しげもなく、こういう形で使うの~!と思うほど。
ミステリとして「Yの悲劇」には及ばないが、本作には別の魅力がある。女性を描いた作品として、とても面白い。つい昨年もドラマ化されたし、1984年には薬師丸ひろ子主演で映画化されている(映画のほうは劇中劇という形をとっているけれど)。読んでいても、映像化に向いている作品だと感じた。
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学生の頃に読んで以来大好きな本。
久しぶりに読みたくなって図書館で借りてきました。
これを読むといつもグラタンが食べたくなる。
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真冬の別荘で有名製薬会社の会長が殺害された。
大叔父の殺害を自供する磨子をかばうために、近親者たちは偽装工作を行うが…。
『W』に込められた意味に気づいたとき、読者は物語の真相を知ることとなるだろう。
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予想通り最後にどんでん返し。
じゃないと面白くないもんね。
長年読み続けられてるのがわかります。
今やってるドラマは内容がちょっと違うみたいですが。
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ドラマが面白くて、本を買っちゃいました。
正直、ドラマから入ったからかドラマの方が面白いです。
原作とは違いますが。。
原作読んで、初めてタイトルの意味が分かりました(。-_-。)
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推理小説という割にはシンプルで読みやすかったです。結末の意外性も評価できます。ドラマも放送されていますが、内容が結構違うので見比べてみるのもいいと思います。
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何かと話題になったのであらすじは知っていたものの、ちゃんと読んだ事がなかったのでドラマを見たついでに一度原作を読んでおこうと思った。
読んでみたら、巻末の解説がエラリー・クイーン(フレデリック・ダネイ)でぶっ飛んだ。夏樹静子さんがエラリー・クイーン氏にこの小説の骨格を語った時、クイーン氏はいたく気に入りプロットに関するいくつかのアドバイスをしたそうな。なんと羨ましい事よ。
それにしても絵になる内容だ。舞台となる雪の山荘、大窓に切り取られた富士山。屋根の真ん中から伸びる避雷針の途中にある星型のライトがとても印象的だった。そしていわゆる倒叙形式なのに、犯人が二転三転する練られた構成が素晴らしい。
実は昔の映画も見た事がある。「Wの悲劇」を劇中劇にするという斬新な演出で、これまた面白い作品だった。確か不動産屋役だった世良公則が、女優の卵役の薬師丸ひろ子に紹介した格安の物件が情緒溢れる一戸建てで、こんな家に住みたい、と幼心に思ったのを覚えている。
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1982年の作品。
TVで見て、読んでみたけど、原作は、和辻与兵衛殺人事件だけだった。
「Wの悲劇」は、エラリー・クイーン(フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンエーム)の「X、Y、Zの悲劇」(「ドルリィ・レーン最後の事件」と合わせて、バーナビー・ロス名義の悲劇四部作)を意識したものだろうとフレデリック・ダネイが言っている。
Wの意味は、和辻(Watsuji)、女性たち(Women)、Xに始まる第四の未知数(数学の世界で、XYZに次ぐ未知数にはWの文字が使われる)の犯人を追う物語らしい。
TVでは、双子のWを追加したつもりかもしれないけど、双子の入れ替わり物語(原本は何かな?)に、Wの悲劇をくっ付けたように見える。
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今までドラマ等で何度も放映された本作品ですが、いつも最後まで見た事はなく、何と無く原作を読んで見ました。
最近のサスペンスには無い潔さとシンプルでいてwに関わる謎解きが心地よく、一気に読める一冊でした。
是非、最近のサスペンス本に飽きた方にオススメです。
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今月の13冊目。今年の100冊目。やっと3桁。
もちろん、エラリー・クイーンの名作の悲劇シリーズにちなんで、つけられたタイトル。うーん、結構新しいミステリの形とか言いながら、大分展開が読め読めだったんですけどね。あと、お前とお前はなぜくっついた!?もちろん、そういう雰囲気は出てたけど・・・。くっつく必要なくね?って思いました。トリックでは死後経過時間をごまかすトリックは驚きましたね。それは結構新鮮でした。ただ、ミステリ全体としての評価は普通だと思います。
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「犯人が解っていながら、真犯人にしてやられるか?」と云うパターン。
偽装シーンは「お疲れ様でした」のひと言に尽きます。
弁護士シリーズも書いてらっしゃる先生だけに、法律的な推理もびっくり!
私はまったく動機については、解りませんでした。