紙の本
本当に「若手ディーラーの座右の書」???
2008/01/12 16:25
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヂャリや - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のまえがきに「プロのディーラー向けに書いたもの」とあるが、プロになりたての、いやまだプロとは呼べない研修生向けではないかと思いきや、「折に触れて読み返す」とあるので、どうやら、本気でプロ向けらしい。逆にいうと、プロもプロでなくても、相場を眺めている時と、実際に参加しているときの状況は本質の部分であまり違いがないということである。
プロの強みは、会社組織の社内ルールによる強制損失カットシステムである。
プロでないことの強みは、時間に追われないということである。
この違い以外、もちろん、運用金額、人の金か自分の金かの違いはあるが、心理的には違いはない。
例えば、プロは、人の金だからこその気軽さがある反面、責任は重いし
プロでなければ、自分の金だからこそのプレッシャーの反面、自分にしか責任は及ばない。
あるいは、情報量が多いがゆえに迷い、少ないがゆえに間違うといったように、すべては、心理面で右往左往している様子が、本書からも読み取れる。
プロの考え方を知るのもいい機会といった程度では、2940円は高いが、
本書中にある「もともと相場には実体がなく、実体らしき虚像があるだけ」で「自分が描いている虚像が実体らしきもの」に近いかどうかで「空想物語」かどうかが決まり、加えて、「その像はつかまえどころがなく、絶え間なく変化を続けている」と指摘している点と、そのことにどう対処すべきかを経験に基づいてズバリ解説してある点は価格を越える価値がある。
また、スランプの脱し方も具体的に説明してあり、大変、有難い一品である。
紙の本
相場の哲学書
2018/09/20 15:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごまたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
ようやく草木もえる季節になり、読書を楽しめる季節になりました。実用的な要素が多分にあり。終身雇用、GAAPや量的・質的金融緩和、包括受遺者など造詣が深いある方にも問題ないです。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
トレーダー/投資家には、そのレベルや立場に応じ、乗り越えねばならない「壁」がある。
例えば「仕掛けと仕切りに恐怖を感じる」という壁、「どれくらいポジションを維持したらよいか分からない」という壁、「自分の技法が通用しない期間が長く続いている」という壁…。
実にさまざまだ。
本書は、そうした壁に挑もうとする人々に格好のアプローチを提示しようとする哲学書である。
「相場とはどのような性質のものか?」「どのような種類の人々が参加しているのか?」「どうして価格が動くのか?」「どのような対応ができるのか?」など、相場の謎を解くための概念が100項目にわたって著されており、自分がどう相場に向き合うべきか啓蒙してくれるのだ。
[ 目次 ]
第1章 相場とは何か(世の不条理が狙い目;初めに言葉ありき―シナリオを立てる ほか)
第2章 自己資金の性質とそのリスクを理解する(敵を知り、己を知る;自己のポジションを診断する ほか)
第3章 機先を制す(シナリオをたてたら、機先を制す;自分の間合いで戦う ほか)
第4章 価格変動の本質(プライスアクション理論;価格変動の本質―タペストリー第一理論 ほか)
第5章 見切りと再起(見切りと再起;損切りの徹底 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
相場関係者やこれから投資を始める人にも読んでいただきたい本です。以前これをあるファンドマネージャーに「お勧めの本として紹介してみては?」というと「有坂さんの勧める本にはハズレがない」といわれました。
“My word is my bond.”
この言葉を訳すると
「私の言葉は私の契約」
で自分なりに意訳をするならば
「吐いたツバは飲めない」
とでもいうのでしょうか。
私がこの言葉に出会ったのは後に詳しく書くけれども、相場に血道を上げていたころで、当時、大学の講義にはまったく顔を出さずに自分のいた大学は言うに及ばず、北海道大学の図書館、果ては札幌市の中央図書館で文献や新聞の過去記事や国内や海外の経済関連の雑誌を読み漁っていたころだった。その中で出会った本のひとつがこれである。この本はいってみれば相場のプロ向けに書かれた本で、版を重ねるほどに株式や一般投資家に向けても書かれているが、本質をついている分
非常に内容が難しい。
しかし、「私は株(もしくはfx)で××円儲けました」という本を10冊読むよりはこの本を100回読んだほうがいい、と思う。(私は札幌市立図書館地下書庫から初版本を引っ張り出して読んでいる。)私が経済、相場観は言うに及ばず、人生観まで根底から覆された本のひとつだった。その中で一番印象に残っている言葉がこの
「マイ・ワード・イズ・マイ・ボンド」
だった。
著者は主に外資系の投資銀行で為替や債権のディーリングや機関投資家セールスをやってきた人で、電話一本で何百億のカネをやり取りするディーリングルームの修羅場の中ではディーラー間の信頼で取引が成立しているようなところがある。とうろおぼえだがそう書いていたような気がした。かつて「伝説のディーラー」の異名をとった藤巻健史も「ダン(取引成立)」といってそれを覆すのはディーラーの世界を追放される。だから「ダン」という言葉はそれほど思い意味合いの強い言葉なんだ。と言っていた。
今、自分が言ったり書いたりしている言葉にそれだけの責任が持てるか、そんなことを考えている。
投稿元:
レビューを見る
非常にいい本なのだが、ブ厚い。何度も同じことを主張されます。
1章は読むまでもないです。5章は完全保存版です。
**以下、刺さった言葉**
・奇をてらわずに地に足をつける。私たちが狙うのは奇ではなく、機なのです。
・トレンドに逆らう形でポジションが膨らんでいった窓開きは埋められます。反対にトレンドに沿ってポジションが閉じられて行く窓開きは埋められない。
・評価損はどこまで大きくなるか分からないから損切るのと同じ理由で、どこまで育つか分からない評価益を中途半端に利食うことはないのです。
・相場は理性(割安を買って割高を売る。逆にいけば損切る。利食いはできるだけ引き延ばす)だ。
・損切りに関しての自分の判断力など信じてはいけません。評価損は生きてますが、現実損は過去の損なのです。
・損切りとは儲けるためのコストです。損切りを早く、こまめに行ってコストを下げる。切った損はそれ以上には膨らみません。10回買えば、うち5回は上昇します。勝負はそこでするのです。
・損切りの場所は通常の価格のぶれをどれほどとみるかで決めるべきです。反対に利食いを限定してはいけません。損切り幅の2倍で利食うというのは、あくまで最低限の目安です。反転の兆しが見えるまで引っ張る気持ちが必要です。
投稿元:
レビューを見る
テクニック論はほとんどないが、市場に向かう際の心構えを100点書いたもの。一部個人投資家には難解なところもあるが、折に触れて読み返したい良著。
投稿元:
レビューを見る
正直自分には難しい内容で、デイトレード等のプロ投資家の心得みたいな項目が多い。出てくる単語もテクニカルものもあり、理解不足で消化しきれないものもあった。
そんな中で概ね感じたことは、相場における重要点はポジションをどうとるか、損切りは自分の基準を設けて欲張らず適切に行うべし、相場を観察し節目(高値・底値)と感じるタイミングでは行動(利食い・買い増し)を実施する、といったところでしょうか。
最後の20章ほどは精神面・相場に参加する意義みたいなことを熱く語られているし素人な自分でもするするっと読み進められた。
要は投資に身を投じある程度経験を積んでくると実感が湧いてくるんだろうという感触です。なにはともあれ、始めようかな。