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ガリレオ・ガリレイ 宗教と科学のはざまで みんなのレビュー
- ジェームズ・マクラクラン (著), 野本 陽代 (訳), オーウェン・ギンガリッチ (編集代表)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:大月書店
- 発行年月:2007.5
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紙の本
歴史的和解へ
2009/07/24 22:18
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は150頁ほどのボリュームの中にガリレオ・ガリレイの人生を詰め込んだ本です。行間からは彼の研究に対する姿勢が読み解けます。さらに、彼のしたたかさも。
ガリレオは1564年、イタリアのトスカナに生まれました。医学の学位を取得するつもりで大学に入学するも、やがて数学に傾倒していきます。その流れから自然観察へとのめりこんでいき、やがて当時の最大権力である教会側と一騒動を起こすことになります。
彼は木星の衛星を発見し、さらに金星の満ち欠けも観察しました。それは地球が太陽の周囲を回っているという「地動説」を補強するものでした。ただ、ガリレオの最大の功績は、それだけに留まりません。彼の最大の功績は自然界を説明する新たな方法、つまり観察、実験、測定、計算という過程を論考に付け加える科学的方法を確立したことです。
しかし、彼が確約した16世紀後半から17世紀前半は、アリストテレスが構築した自然体系こそが絶対でした。そして、アリストテレスの考えを受け継いだ学者が正しい存在として君臨していました。
ガリレオは、彼らの立ち向かおうとしていたわけではありません。ただ、純粋に自然と対峙しただけでした。そのために自ら望遠鏡を作ったり、追求の手を緩めません。その精神が彼をやがて追いつめることになります。ただ、当初はうまいことやっていたようです。1611年にはローマのリンチェイ・アカデミーの会員に選ばれるほどでした。
実験成果を本として出版することは無論、その成果物や実験器具を権力者に渡して職や金銭を手にし、さらなる実験を追求していました。逆の言えば、権力者次第といった危ない状況だったようです。
その結果が1633年の異端諮問所から突き付けられた有罪判定でした。
本書からはガリレオの研究者としての姿勢と実業家としての手腕がうかがえます。「研究には金がいる」とは何となく言い古された感がありますが、それは遠い昔でも同様だったようです。“出資者”を喜ばせながら研究を進める必要があった。ただ、ガリレオは当時としては地雷のような“真実”を見つけ、それを突きつけてしまった。うまいことやろうとする反面、真実から目をそむけることはできなかった。
「それでも地球は回っている」という一言は、逡巡した彼の人生の結晶のような一言なのかも知れません。
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