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子供の頃のショッキングな体験により強いトラウマを持ち、生きること、命の意味をあらゆる場面て意識するようになってしまったふたり。
自分の存在意味とか性衝動とかすべてが過去の出来事にとらわれてしまいその後の生活に影を落としていく。
青年ふたりの心の叫びのような重く苦しいお話だった。
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この方の作品を読むのは2作目。
主人公の想いを語る事で物語が進んでいく感じ。
その想いがちょっと重いと言うか、くどいと言うか。
トラウマが重なって性に不安を抱く主人公と同じトラウマを共有して性の悪に目覚める友人。性癖って元々持ってるものなのか。そんな事を考えさせられる作品でした。でも私は性癖は何かのきっかけ次第じゃないかと思う。結局トラウマ的なそうなる何かきっかけがあるんじゃないかと思いながら読みました。
また男の人の性衝動は私にはわからないのでやっぱり読んでて謎です(笑)
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大好きな歌手Coccoの曲が映画化する本作の主題歌に使われるということで興味を持って読みました。
幼い頃のトラウマが成長する過程で与える影響を細かく細かく描写しています。
混乱したり思い悩んだりする主人公の一人称だからなのか、この作家の文章がそういう傾向なのか、他の著作を読んだことがないのでわかりませんが、一文が平均して長く複雑で読みやすくはありませんでした。また主人公がトラウマの原因となった体験について何度も繰り返し思い出しては考えるので、同じ内容が違う側面や見方から飽きるほど描かれているため、本の厚みに対して時間の経過や起こっている事件の内容は少なく、ひたすら主人公の内面の心情ばかり読まされて辟易。良い悪いではなく、こういう作品が私は好きではないのだと思います。重く暗い内容ですので「楽しむ」という表現は不適当かもしれませんが、物語としてどこを楽しんでいいのかわからない一冊でした。
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家に帰るとベッドで女が死んでいた――ありがちなミステリーに見えて、悪に触れるという経験がどのように生の相を変えるのかを問いかける物語。
会社を辞め、死ぬことばかり考えながらひきこもっている「私」のもとへ現れた旧友。二人は少年時代に3つの悪を共に体験し、そのことによって生=性を深く歪められてしまっている。
一つめは、小学生のときにホームレスの女が集団強かんされるのを目撃したこと。客観的に見れば彼ら自身も生命の危険にさらされる無力な存在ではあったが、にもかかわらず、絶対的な悪に破壊される彼女を見捨てたという罪悪感、自分たちもまた悪に満ちた世界の一部として憎悪され拒絶されるという衝撃にくわえて、男の性を帯びていく身体の変化もまた、自分自身が悪となり暴力を行使することを望んでいるのではないかという疑いとなって少年たちを追い詰める。
2つめの事件は、加害者のひとりであった老人を見殺しにしたこと。ふたたび悪をなす可能性のある老人を助けるのか、積極的に殺すのか、それとも助けずに立ち去るのか。絶対的な悪に触れた後では「善人」ではいられないと感じる二人は、小さい悪を選択するが、それはさらに彼ら自身を追い詰めることになる。
3つめの事件で、ふたりの人生は決定的に分岐していったかに見えるが、悪に一体化することを選んだように見える彼は、むろん「私」の分身にほかならない。絶対的な悪に触れた経験は、生そのものの否定へと二人をむかわせるが、意思に反して身体は死を恐れ、すべての生の瞬間にはそうならない可能性が存在する。だからこそ、分身による死の選択を肯定しつつ、取り残された「私」は悪の種子とともに生きてみることに賭けるのだ。
ミステリーの要素をここまで入れなくていいような気もするけれど、「スリ」につながる真摯に考え抜かれた小説。
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「残酷な神支配する」もそうだったけど、主人公と冴木の苦悩や葛藤を知るには、読者もほぼ同じ体験をしなければならず、事件の回想部分はどれもかなりキツくてさら〜っとしか読めんかった。さら〜っとでもずずーんとなった。
しかも同じような打撃が3回くらいあるので覚悟が必要。それだけでも、もっと若い頃に読んでいたら、数日浮上できなかったかもしれない。
主人公の辛さは冴木が指摘した通り。自分でわかっている通り。犯罪に釣り合う罰なんかなく、つきつめれば罰なんて受ける側のためのもの。
ゴミみたいな命でも、死ねと言えないなぁ私も。想像するしかないけれど、ひどい目にあったとしても私は犯人が死んで当然と思うだろうか?
最後の冴木のメールが本当に読むのが苦しかったし考えさせられた。
私が中村さんの本を読もうと思うのは、これだけ重くて暗くて辛い内容なのに、根っこがまともだからなんだよなぁ。背負うものがあっても、まともになろうとするし自分の暗部が嫌でなんとかしたいと思ってる。自分も悪になって仕舞えば楽なのに、最後の一線を踏み越えてしまいたいと思いながらも踏みとどまっている。
抜粋しておいたメモがどっか行ってしまった。
彼が欲望に身を任せてしまう描写がすごくよく表されててよかったんだけどな。
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浮浪者たちに輪姦されている精神薄弱の女・やっちりを目撃した私と友人・冴木。
夜の工場跡地で体験した、暴力の光景。後日、やっちりは死体となって発見される。
少年時代に体験したひとつの死。
二人の生き方は、成長するにつれだんだんと社会から逸れていってしまう。
ある日、大人になった私のもとに冴木から電話がかかり、二人は再会する。
数日後、私が自宅に帰宅すると自分の部屋の中で、ひとりの女が死んでいた。
それは、よく指名するデリヘルのエリコだった……。
心の闇、欲望、暴力とセックス、そして人間とは何か。
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子どもの頃に遭遇したある事件が、その後の人生に重く関わり続け、その根深さから決して逃れることができない。
引きずり続け、精神を病みうまく生きてゆくことさえできなくなる。
常に性と死の間を生きているような危うさがずっしりと読み手側にものしかかり息苦しくなった。
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罪に釣り合う罰なんてない、その通りだ、と思う。それでも、罰を受けることは解放や救いであるべきだ、と思う。
罪を受け入れること、それが、他の誰かから見たらどう見ても仕方のないことだとしても、罰を与えられるようなことでないとしても、与えられた罰に苦しみながら生きていくことしか出来ない人も、苦しみながら生きていくことに救われる人も、確かに居るんだろう、と思う。
相変わらず打ちのめされた。容赦無く心を抉る話は本当に上手いですね。淡々と書かれる文章と、静かに少しずつ形になっていく狂気が恐ろしい。
安易にしあわせになってくれよ、なんて言えない。そんな恐怖。
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淡々と進み、淡々と読んだ
素晴らしいという評価が多い中、私にはその感じがわからなかった。だから、エンディングの意味がわからなかった。自死しようとしていたのではないかと思い何度か読み直したが、そうではないようだ。きっと、豆電球を使ってガスか何かで一緒に死のうとしたと思ったのになぁ。どこで読み違えたのかなぁ。
映画化もされている作品だが、どうもピンとこない作品だった。狂気の世界は理解が難しい。
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とっても暗い。
もう1人の自分がいつも線路に飛び込んでる感じ。
レイプが関係してくる話なので読めない人があると思う。
思春期から引きずってしまっている抜け出せないどうしようもなさが痛々しく突き刺さります。
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幼少期に負ったトラウマ。
その後も歪み、軋み続ける心。
罪とは、罰とは、狂うとは、生きるとは。
全編苦しみ悶え続ける。
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過去に、衝撃的な出来事を経験してしまった二人がそれぞれ縛られ、それぞれに違った、とてつもない影響を及ぼされてしまった。
レイプを目撃するという、その出来事さえなければ、普通に生活できていたかもしれない、少なくとも今みたいに悩んだり
生きることに苦しくなっていなかったかもしれない、
でももしかしたら、その出来事がなくても、自分の恐ろしいもう一人の自分からは逃げられなかったのではないか、
などと、自分についていつまでもいつまでも深く深く考え悩む姿は、共感してしまう。
人と違う、明らかに自分はおかしいと思う部分があると、それを隠そうと表面的にはとても上手に取り繕うとする。それができるほど、本来の自分とのギャップに差がありすぎて、自分がぼろぼろと壊れていく気がするんだよなぁ、と。
なんとなく、主人公のやっていること、考えてること、分かる気がした。
こんなにも矛盾だらけの人の気持ちに、深く入り込むことができて、
そんな経験ができたので、この本を読んで良かったとは思う。
最後に、主人公が窓の外に、豆電球で安っぽい光を灯すシーンの終わり方はなかなか良かったと思う。
小説の真ん中らへんで、
クリスマス前にライトアップされたそれぞれの家のイルミネーションに、
主人公の恋人が、
幸せな家に見えるね
と話していたところにつながるからだ。
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中村氏のは全部追っかけてると思い込んでいたのに、これが抜けていました。2007年ですからかなり初期ということですね。
悪ということに正面から向かってやはり悪は勝ってはいけないけれど、排除はしたくないという複雑な思いが伝ってきて好感が持てる作品です。あがいているのがいいですね。
追っかけだからいえるのであって、作品としてはまだ粗削りすぎたかなということで☆3個。