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本書はパナソニック出身でデル専務、UCC副社長等を経て、現在はフェニックス・キャピタルで企業再生に従事している吉田さんによる、優れた人材(ハイパフォーマー)の定義とそうした人材の育成に関して書かれた本です。簡潔で分かりやすく、分量も少ないので一気に読み切れますが、内容は具体的で説得力があります。中でも、特に「膝ポン」だったくだりを3箇所だけご紹介します。
「情報の減衰」というのは、「組織内での意思伝達の際、人は人に最大72パーセントしか真意を伝えることができない」という私なりの法則です。(中略)ビジネスパートナーと直接向かい合って話した場合でも、一般的に発信側は9割の内容を伝えるのが精一杯。受信側は8割程度しか理解できないと思っています。つまり論理的には、話す内容の最大72パーセント(72=100x0.9x0.8)しか伝わらない。もちろんその情報を介す人数が増えれば、より「伝えきれないこと」と「理解されないこと」の比率、そして歪曲のリスクは高くなります。(p.112)
組織内におけるコミュニケーションのロスに関しては僕も同感です。実は、プロジェクトにおける問題の多くはコミュニケーションの悪さに起因していて、その原因は「伝えたつもり」が「意図どおりに伝わっていなかった」ことにあるように感じます。最初から7割程度しか伝わらないと思えば、口頭だけでなく文書にするとか、相手方で更に関係者に周知した際の文書を提示してもらう等、もう一歩踏み込んだ対応が身に付いてきます。特に100名以上が従事する大規模なプロジェクトにおいて重要事項を全員に正しく理解してもらうためには、あるいは大企業において経営者が経営ビジョンを社員一人ひとりに伝えていこうとするときには、こうした工夫に加えてしつこいほどに同じことを言い続けることも重要です。
ひとつの仕事に集中している時に、ほかの案件がどんどん入ってくることがあります。そんな時、ついつい飛び込み案件は後回しにしがちですが、飛び込んだ時点でざっくりと下ごしらえだけでもしておくと、後がとても楽になります。(中略)先に原案として大まかなフレームをつくります。思いつきでも、とにかく紙に書いておく。そしてフレームをつくったら、しばらく寝かせます。寝かせている間に、途中だった急ぎの仕事を終わらせてしまう。大まかなフレームがあるので、その間にアイディアが浮かぶことも多々あります。時間をかけてアイディアを追加していき、最後の最後に全体の構成を練り上げるのです。
(p.142 時間活用の工夫⑥「仕掛品にして待つ」)
これはまさに僕の仕事のスタイルの基本形。特に今、僕が任されているような、超大規模プロジェクトにおけるプロジェクトマネジメントでは、QCD(品質、コスト、納期)に関する様々な課題が次々と発生するなかで、1つ1つに対して的確に迅速に方向性を示し、課題解決していくことが求められます。ここでは仕掛かり中のタスクの優先順位を常に見直しつつ、複数のタスクを平行して進めていくことが重要。また、一度に最後の答を出そうとしても情報が不十分であったり、論理(ロジック)を組み立てる途中でもう1つブレイクスルーが必要で悩むことも多いです。そんな時は、ざっく��で良いので最終成果物(資料等)をイメージし、目次レベルを書き出しておき、あえて寝かせるのです。すると、別のタスクに取り掛かっている最中にヒントを見つけられることもしばしばで、結果的にトータルではより少ない時間で高いアウトプット品質が期待できます。
「半分の時間」でやらせるのは、2つの目的があります。一番の目的はスピード感覚を養うことですが、もうひとつ、指示を出した者(リーダー)と実行者(メンバー)のチームワークを強化する目的もあります。(中略)一度目標を決めたら、一気に走る緊張感が必要です。だからといって、上司は部下に不安感やプレッシャーを与えてはいけない。不安感やプレッシャーは能力の発揮を妨げるだけでなく、「やらされている」感の源になってしまうからです。一緒に考え、一緒に乗り越える。やっているのは、自分ひとりではないと伝える。育成においては、その覚悟が最も重要だと思っています。
(p.186 育成法・基礎編⑥「半分の時間でやる練習」)
チームとして結果を出すために重要な要素の1つは、リーダーとチームメンバー1人1人との信頼関係の深さだと思います。その時にポイントとなるのは、リーダーが腹をくくって一緒にとことん悩みぬく姿勢。面倒な課題をとりあえず部下に丸投げしていたのでは、チームのモチベーション低下にあわせてアウトプットの品質も低下します。もちろん、細かい情報収集や分析は部下に任せれば良いのですが、重要な意思決定を下すのに必要な知識とスキルを有しているのが最低条件。特に自分にとって不慣れな分野を任された場合は、まずリーダーが自ら勉強しておくことが重要です。最後はチームの責任はリーダーが取る、そのためには部下と一緒に汗をかき、ともに成長するという気持ちを大切にしたいと思います。
本書の主な対象読者は新入社員や若手社員ですが、新たに部下を持つことになった新任管理職にとっても示唆に富んだ内容の本だと思います。「人よりも一歩先を行く仕事のスタイルを身に付けたい」、「競争力のあるチームを作りたい」というビジネスパーソンにお勧めします。
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ハイパフォーマーの定義とその育成法について、かなり具体的に書かれた本です。新入社員、新入社員の指導担当者にオススメしたいです。
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自己啓発本。ローランドベルガーの代表の遠藤功さんが書いた「現場力を鍛える」にデザインが似ており、「現場力を鍛える」は読んでて学ぶことが多かった本だったので、つられて購入。
第1章は読んでいておもしろかったのだが、第2章以降は当たり前のことばかりで失速。同じ内容なら、もっといい自己啓発本があるので、読んで損した気分。
最後の「ハイパフォーマーを育てる」の部分は、自分ではなく他社をハイパフォーマーにする方法が記載されているのでちょっと期待したが、これまた当たり前or自分が上司にやられた絶対に嫌なものだったので、、、
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ハイパフォーマーになるには?
→ハイパフォーマーとは期待を超える人であり、
要件として、気概、着眼、解の導出力、チームへの影響力
気概の根っこは人生観、職業観、つまり自分がどんな人生を送りたいのかとどんな仕事を積み上げて自分を高めていくかという考え方
解を導出するポイントは小さな基本問題に分解して考えることと類似の問題から推測する