紙の本
ネズミ一家の旅それは私達にとっても新たな発見の旅でもあった
2007/12/22 00:53
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2度目の夏を迎えたタータと初めての夏を迎えたチッチの兄弟。川のせせらぎを聞きながら父親と共に穏やかな日々を過ごしていた。ある日突然樹木の伐採が始まりあたりの風景は一変する。「この川はなくなるんだ。人間のせいで」近所に住む年寄りネズミの話を聞いて父親は新しい住処を探すことを決意する。一家の旅が始まろうとしている。
3匹の行く手には様々な困難が待ち受けている。トブネズミに行く手を阻まれたりイタチに襲われたりノスリに浚われたり・・・しかしその度に窮地を乗り越えていく。それを助けてくれるのはネズミやすずめといった自分達と同じような小動物から猫や犬や人間といった自分達より遙かに巨大な動物まで様々である。そんな出会と別れを繰り返し家族とはぐれてもタータ達は決して旅を諦めない。自分達は川のネズミ。川のせせらぎを離れては生きていけない。生きるとは生誕の源に還っていくこと。倒れてもまた起きあがって歩き続ける。川の光を求めて。家族に流れるその思いがタータ達の旅を支えていく。
ネズミたちが危機に陥るとハラハラし脱するとほっとしてよかったねと思いタータの勇気に感心しチッチの健気さを誉めそんな二匹を守るお父さんの愛に感動する。そんなネズミの一家の物語である。
今度から貴方の足下に充分注意して欲しい。タータやチッチが新たな旅をしているかもしれないから。
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住み慣れた川辺が、開発によって壊されてしまう。新しい住処を探して、川上へ!クマネズミの一家3匹は、長い旅に出た。途中訪れる数々の危機…ドブネズミの軍隊や猫、人、街の恐怖や危険に打ち勝ち、安住の地にたどり着けるのだろうか?敵がいれば味方もいる。旅の途中で出会った仲間に助けられ、「生きる」ために進んでいく。川の光を求めて!ドキドキハラハラの連続でした。人からすればあっという間の距離、でも小さなネズミには、果てしない距離で。襲いかかる危機に、もう胸が痛んで。ラストはこちらがホッとしました。
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そこそこ評判は良いのですが、ごめんなさい、これはやっぱり子供向けです。あまりにもあざとすぎて、逆に共感できませんでした。同じ児童文学でも、森絵都あたりだともうひとひねりあるんですが、これはストレートすぎ。夕刊に連載したというのが信じられません。大胆なエディタやなぁ…
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河岸の工事によって住処を追われたクマネズミの親子の冒険物語。
そのように書いてしまうと子供向けの話のように思ってしまうかもしれませんが、大人が読んでも充分楽しめる作品になっています。
次から次へと訪れる危機の連続に、息をつく暇もありません。
その危機を乗り越えていくうちに強まる親子の絆、子供達の成長、そして素晴らしい仲間達。
いつしか、ネズミの視線で世界を見つめているように感じながら、物語を読み進めていました。
挿絵や地図が入っていることも、物語をわかりやすくしていますね。
物語は、ネズミの親子の冒険を中心に書かれているので、途中で出会った仲間達のその後については、エピローグでまとめられています。
それぞれにスポットを当てれば、まだまだ面白い物語が展開して行きそうな気がします。
「もっともっと凄い、胸躍らせる大冒険に身を投じることになるのだから。」
エピローグの最後は、次の展開への布石でしょうか?
また、この小さな冒険者たちに会える日が、楽しみです!
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ネズミを主人公にした物語ということで読前は「ガンバの冒険」のようなものを想起したが、かなり違う感じでした。ちょっとご都合主義的な展開、というか予想通りの展開にワクワク感はそれほどなく。
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種を超えた友情が出来すぎだが、憎めないキャラではある。
後半の「宇宙の神秘」云々はいらない。文章の流れを壊している気がする。
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内容は児童小説。言葉へのこだわりは、松浦寿輝。児童小説特有の子供に向けた言葉遣いがなくて、いい(あれは子供を馬鹿にしてる。子供だって綺麗なちゃんとした言葉を読める、と思う)。大人は、彼の巧みな言葉遣いによって、「ねずみの親子の冒険」という子供むけの内容にするすると入っていける。懐かしさと、興奮を覚えながら。松浦先生は、作家だ。
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ねずみの冒険のお話。環境破壊や助け合って共生していくことなど考えさせられた点で大人向けの話でもあった。子どもの頃に読みたかったなぁ。
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ネズミの冒険話、と言えば、児童書のような感じがしましたが、実際に読んでみると、スピード感を持って読めました。ちょっとそんなうまくいくはずないだろう・・・という場面もいくつかありましたが。
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是非是非、皆に薦めたい本の一冊!!家族、友達、人は(ねずみは)決して一人で生きているのではありませんから。
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ネズミの家族の物語。
妻を亡くした父、長男タータ、次男チッチ
川の工事で棲家を追われ移動。上流に進むとクマネズミの縄張り。大回りすると大雨にあい、図書館に住むグレンに助けられる。
下水に流され、チッチは逸れるが、猫に助けられる。川までの道を教えてもらう。クマネズミに遭遇するが、グレンの知り合い。
父と兄に合わせてもらう。脱出させてもらう。モグラの親子とあう。チッチは、モズクにさらわれる。雀に子供に拾われて動物病院にいることがわかる
父とタッタは、病院の前で仮病をつかう。3人一緒に檻の中。ガラガラがこわれて、扉をあけることに成功。奥さんのピアスを発見。ゴミ袋にまぎれて
家を脱出。上流に進むが、駅を越えられない。バスに乗り、反対側へ。途中、バスの中で人間に見つかるが、以前助けてくれた子供に救われる。
配管の中に住むが、人間が金網をつけられ父が出られなくなる。大学教授に飼われているタミーを呼ぶように雀に頼む。
上流に進むが、雪が降ってくる。凍死寸前の所、昔の知り合いのネズミに助けられる。
グレンは革命に成功。動物病院は繁盛。猫の飼い主の老婆は呆け防止に成功。タミーは新しい穴を作って、勝ってに散歩している。
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すばらしい一冊。ねずみの可愛さと自然の偉大さが上手に表現されている。
とにかく可愛い。あたたかい。
優しい気持ちになりたい人におすすめ。
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「川の光」松浦寿輝著、中央公論新社、2007.07.25
p390 ¥1,785 C0093 (2008.04.14読了)(2008.03.27購入)(2007.11.20増刷)
著者 松浦 寿輝
1954年東京生まれ
1988年、詩集『冬の本』で高見順賞受賞。
1995年、評論『エッフェル塔試論』で吉田秀和賞。
1996年、『折口信夫論』で三島由紀夫賞。
2000年、『知の庭園―19世紀パリの空間装置』で芸術選奨文部大臣賞受賞。
200年、「花腐し」で芥川賞受賞。
2005年、『あやめ 鰈 ひかがみ』で木山捷平賞。
2005年、『半島』で読売文学賞を受賞。
(アマゾンより)
『読売新聞』大人気連載の単行本化。川辺の棲みかを追われたネズミ一家が、新天地を求めて旅に出る。小さな命の躍動を余すことなく描き出した冒険物語
(「BOOK」データベースより)amazon
平和な川辺の暮らしは失われた。晩夏、安住の地を求めてネズミ一家の冒険が始まる。足元で脈動する世界に優しいまなざしを向け、柔らかい魂の手触りを伝える物語。
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ネズミの親子の冒険物語です。
小動物達の助け合う姿に癒されます。ゴールデン・レトリーバーのタミーがナイス。
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2008.04.14
このごろはビジネス本かマネー本か社会問題の本づいていたもので、純粋に「お話を読む」楽しみを味わったのは自分的には結構久しぶりでした。松浦寿輝『川の光』。
これは読売新聞に掲載されていた小説だそうです。動物が主人公の新聞小説って珍しい。
『川の光』、普通にすごく面白かったのです。確か日経の書評で褒められてたので、興味を持って読むことにしたのでした。
タータとチッチ、それにお父さんネズミが、これまでの住処を追われて新天地にたどり着くまでの話なのですが……いやはやいろんな事件が起こってもう。
あまりにハラハラドキドキして、久々に「飛ばし読み→話の行方を確認してから戻って再読」しちゃいました(笑)
動物視点で書かれた話を最後に読んだのは、いったいいつのことだろう?
なんだか子供のころに戻ったように、タータやチッチと一緒に「小さな大冒険」をしてしまったのです。
他の登場人物(登場動物?)も魅力的でした。スズメの家族、犬のタミーにモグラの親子。造形が実にうまい。目に浮かぶよう。