紙の本
刺激的すぎる二人の女性作家
2020/11/27 22:58
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前からフランス現代文学にとっての重要な二人であるマルグリット・デュラスとフランソワーズ・サガン両氏の作品は読みたいと思っていた、河出書房新社の池澤夏樹の全集でこの二人の作品が同時に読めることがわかり初挑戦。デュラスの「愛人」はかなり昔に映画化された記憶があるが未見、フランス人の女の子が金持ちの中国人の愛人になるというあらすじだけは知っていたのだが、読んでみた衝撃は想像以上だった、そしてこれを書いたのが70才の時だったということもやはり衝撃的だった。サガンの「悲しみよ こんにちは」が店頭に並んだ時、世の母親たちはどう思っただろうか、時代は1954年、世界大戦が終わってから僅か10年しかたっていない、それも19才の女の子が語る愛のないセックスのお話、どちらの作品も刺激が強すぎる
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Duras『太平洋の防波堤』を読みたくなった。
彼女自身の植民地・居留地における体験に基づいている。
インドシナ半島の払い下げ地を抱えて散財していくフランス人一家にとって、
蓄音機と車が唯一の故郷を思い起こす品として物語の伏線になっている。
・・・
とりわけ、世界文学全集シリーズ(池上夏樹氏監修)について述べると、
装丁のビビッドカラーが目を引く点であるが、
3作まとめた分の厚みによって、物理的に読みにくいことが残念な点でもある。
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「悲しみよ こんにちは」
最初の文頭6行、これが一番魅力的なセンテンスだった。
17歳の狂気、として読まれてしまってはもったいない。
必要最低限の登場人物で、ある家族のひと夏の出来事をこんなにも奥まで描ききるなんて。
この作者の他の作品はまだ読んだ事はないけれども、
この作品のインパクトが強すぎて、素直に読めないんじゃないかとも思ったり。
生きていくということは、自分の奥底にある欲望と向き合っていくことなのだと思った。
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[ 内容 ]
「太平洋の防波堤/愛人ラマン」―18歳でわたしは年老いた…仏領インドシナのけだるい風土で暮らす、貧しいフランス人入植者の家族を主人公に描かれる2つの物語。
美しい娘と彼女に焦がれる裕福な男。
『太平洋の防波堤』で執拗に描かれた恋愛未満の性の駆け引きが、『愛人ラマン』では「流れゆくエクリチュール」とともに性愛の高みへと変奏されていく。
デュラスの2つの代表作。
「悲しみよこんにちは」―その夏、私は17だった。
そして私はまったく幸福だった…17歳の少女セシルは、父の愛人と自分の恋人を使って父の再婚相手を破滅へ追いやる。
南仏の海岸を舞台に、少女の好奇心、独占欲、完璧なものへの反発、愛と孤独が描かれる衝撃のデビュー作。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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河出書房から、世界文学全集が刊行されています。
全30巻だったかな。
読書家というより、本の収集家であるボクは、もちろん全部集める予定なのだけど、ようやく4巻です。
なにぶん、一冊の値段が3000円近いという高価な本なので、集めるのに時間がかかります。
しかも、どれもこれもまさに文学然とした文学作品ばかりだし、なかなか分厚いので読むのにも時間がかかります。
全部集まるのはいつの日になるんでしょうねぇ。
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『太平洋の防波堤』
『愛人/ラマン』
デュラスの作品の中で重要な位置を占める作品。
しかし私はデュラスにはあまり馴染めなかった。
特に『愛人 ラマン』は難解でした。
『悲しみよこんにちは』
これが当時18歳の著者が書いた処女作とは思えないほど文章は美しく内容も面白い。
登場人物ひとりひとりの表情や心理といった描き方も丁寧で素晴しい。
芸術に秀でたフランスという国が生んだ才能であろうか。
文章の量も適度ですから一読をおすすめします。
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デュラスの「太平洋の防波堤」「愛人 ラマン」は、どちらも作者が仏領インドシナで過ごした若き日の体験を元に書かれた作品。どちらの作品も、使い物にならない土地に縛られた仏印での貧しい生活とそこから逃げ出したいという欲求が背景にあるが、前者では出口の見えない暮らしの閉塞感がせっぱつまった雰囲気でひしひしと感じられるのに対し、仏印での日々=青春の日々として回想している晩年の作品である後者では、貧しさも、金持ちの男を“愛人”に持つことも、全てが熱帯の湿気にぼんやり覆われたメランコリックな情景として描かれている印象。前者は閉塞していてもエネルギッシュであり、後者は赤裸々であっても物憂く優美。“現実”がどう“思い出”に変わるか、という変化を味わえる二作かもしれない。
サガンの「悲しみよ こんにちは」は、18歳の少女にしか書けないような鋭く繊細な感情と、18歳の少女が書いたということに驚きを禁じ得ない美しい文章の、どちらもがインパクト大。ものすごくティーンズらしい内容なのに、瑞々しい少女の感性に溢れつつも感傷に耽溺していない醒めた距離感の文章のおかげで、“ありがち”な印象は全く残らない。大作というほどのボリュームはないが、作品全体の輝きが強烈に胸に残る一作。
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デュラスの『太平洋の防波堤』『愛人 ラマン』と、サガンの『悲しみよ こんにちは』が入ってるなら、このイケザワ全集を買うべし、と思いました(これらの手元の本はかなり黄ばんでるし)。個人的には帯を外して「きみどり色一色の本体」を愛でることをおすすめします。サガンは、朝吹登水子訳だし。全集最大のお楽しみ、月報が入っていること!!この黄緑色の単行本を境目にして、サガンとデュラスの著書を並べてみる、ってのはどうでしょう。昔の、新潮文庫サガンの数々、処分できずにとってあるんですよ。鮮やかなピンクの背表紙が褪せたから、自分でカヴァーを作って同じピンクでタイトルを印字して。あそこに並べるのもいいぞ、それとも別な場所を空けようかな。デュラスのいくつかの作品を読み返して、「女の酒の飲み方」について考えました。さまになるなぁ、かっこいいな(実際にはどうなのかなぁ)。そういうお酒、飲みたい(退廃的に)。今のところの計画(いつになるかな)、新潮文庫のサガンをずらりと並べる(そこには朝吹登水子の自伝的小説も)、境目にこのイケザワ本を一冊、そしてデュラスの本を。私には経験ないけど、強そうで理性を朦朧とさせて官能に溺れたくなる酒の代表(勝手なイメージ)『アブサン』(クリストフ・バタイユ)もこのへんに置いてみよう!!
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サガンはじつは読むのは初めてだったが、結構面白い。女性の微妙なアンビバレントの心理を巧みに表現している。父親と今までの生活を奪う継母に対する憎しみと、それでも女性としては尊敬と愛情を感じる継母。そして最後の・・・。これを18歳で書いたというのがすごい。
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好きなアーティストGARNET CROWのazuki七さんが、影響を受けたサガンやデュラス。大学の図書館にはちょうどセットのこれがあったのでちょうど良かった。
最初の二作品はデュラス自身の実体験に基づいて書かれているが、どうにもならない重苦しい境遇と東南アジアの暑苦しさがなんとも言えない悲しみを作り出している。
サガンの方は、最初と最後のフレーズにしびれた。azuki七さんも歌詞にしたとおり、思わず波の音が聞こえてきそうな感じ。
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大分前に、談話室で薦めてもらった本。
今回は、サガンの方しか読んでいませんが。
皆さんのレビューを拝見すると、アンヌかセシルどちらかに共感するみたいですね。
私はやはりセシルと歳も近いこともあって、セシルの考え方とかすごく分かります。
セシルの考え方は残酷だという人もいるみたいですが、私には「え?普通じゃない?」って感じ。
またアンヌと同じくらいの年齢になったら、セシルへの感じかたも違うのかな?
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デュラス作の『愛人ラマン』の映画を見た。
映画館でやってたころに見たので20年位前に見て以来だ。
主人公と同じくらいの年齢だったころ見るのと、年を重ねてから見るのとでは受ける印象が全く違う。
高校生のころは主人公とチョロンの男との恋愛の映画だと思っていたが
フランス人でありながら植民地のベトナムで貧困と崩壊している家族関係の中にいる少女、そして、大金持ちではあるけれど華僑の社会やしきたりの中で生きてゆくしかない男のやるせなさが描かれた社会派の映画に見えた。少女はチョロンの男の中にある富に魅かれ、男は少女の中にあるフランスに魅かれた。
原作が読んでみたくなった。
『太平洋の防波堤』は、デュラスの家族についてよく分かる作品だ。
映画ではアヘン中毒の長男を溺愛し。
主人公を虐待し、チョロンの男の前ではご馳走になっておいてレストランで居眠りを始めるようなぶっ壊れた母親だったが、フランスから移住したものの、夫に先立たれ
全財産をなげうって役人から塩害で農作物も作ることができない土地を買い絶望する母。
そこにさらに借金をして、防波堤を築き、それもまた無残に流されてしまう。
不幸の上に不幸が重なりぶっ壊れても仕方なかったのかもしれない。
『愛人ラマン』
主人公の帰国によって、チョロンの男と別れることになる。
帰国の船中で自分はチョロンの男を愛していたことに気づく。
それから数十年経って男から電話がある。
「以前と同じように自分はまだあなたを愛している。
あなたを愛することをやめるなんて決して自分にはできないだろう、死ぬまであなたを愛するだろう。」
恋愛が終わってから気づくことも多いね。
気づいていても思うように行動できないこともある。
でも、一生思い続けられる誰かがいるって素敵なことかもしれない。
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収録順ではなく以前より読みたいと思いつつなかなか読めなかった順に読み進めてみた。
フランスの女性作家、十代の女の子が主役という共通点はあるものの、サガンの描く女の子は奔放で、デュラスは王子様願望のある内省的な女の子、といったイメージを持った。
【悲しみよこんにちは 2015/02/28読了】
サガンの処女作となるこの作品は、青春の鬱屈した気持ちが表現されていた。もう少し若い頃に読んでいれば、セシルの気持ちにより添えたかもしれない。
だが今はアンヌの言い分もわかり、私は板挟み状態。
【愛人 ラマン 2015/03/04読了】
デュラスの自伝的作品。ジャンジャック・アノーにより映画化された作品で、当時かなり話題になったのを覚えている。平たく言ってしまうと、女子高生が援助交際をする話。
細い糸でつながっている二人の関係が切なかった。
【太平洋の防波堤 2015/03/12読了】
被害を防ごうと防波堤を造ったもののあっけなく壊れてしまう。もう一度、防波堤を築こうとする母親を支えようとする息子ジョセフと娘シュザンヌ。
家族の物語であると同時に、子供たちの成長を描いている。
この作品を読み終えたのは、奇しくも東日本大震災から4年後の翌日だった。読んでいて、スーパー堤防を思い出してしまった。
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デュラスはラマンが有名だけれど、僕は太平洋の防波堤の防波堤のほうが断然好きだ。描かれて問題のスケールの大きさに圧倒されるし、登場人物達の個性が面白い。実体験に基づいているとはいえ、問題と対峙する人間への洞察力に圧倒される。
サガンは、間違いなく偉大なストーリーテラーだと思う。これまで食わず嫌いで読んでこなかったが、本作のプロットは秀逸だし、人物造形もリアル。凄い想像力だと感じた。
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太平洋の防波堤、初読み。面白かった。同じネタ(思い出)を何度も書いているけど読ませるって、すごい。インドシナの湿気を含んだ暑い空気を感じ、植民地社会を知り、登場する人間の個性に魅かれ、主人公の若い女性のたたずまいにシンパシーと憧れを抱き。ラマンも何度も読んだなー。読み返したかったが、時間切れで返却。サガンは・・・学生時代に読んで面白くなかった記憶により、今回はパス。