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岡倉天心の「茶の本」が出版されてからちょうど100年目にあたる2006年、天心の命日である9月2日に開かれた国際シンポジウムの書籍化。
アン・ニシムラ・モース(ボストン美術館・日本美術館館長)、磯崎新、松岡正剛、熊倉功夫(林原美術館館長)他の講演及び渡多利志津子(ワタリウム館長)を座長とする座談会の記録で構成。
松岡氏の講演より。茶室とは、
1仮の住みかである。仮とは常ではないこと。無常である。
2装飾をしていない。削りとった世界。
3「すきや」である。すきやとは「空き家」と書いて「数寄屋」「好き家」と読み替える。
そこにはベイカント、エンプティ、負、虚の世界がある。「故意に何かを仕立てずにおいて想像の働きだけでこれを完成させる」それこそが、茶室であり、日本の美であると言っている。不完全、未完成の美。世阿弥の世界、「徒然草」「方丈記」など、いわゆる中世の無の思想から出た枯山水に代表される、ないものを想像させる表現方法。冬の美、冷えさびを発見した道元から続く美意識。
レヴィストロース「野生の思考」
鈴木大拙「禅と日本文化」
大岡信「岡倉天心」
大久保●樹「岡倉天心ー驚異的な光に満ちた空虚」