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初めてプロ棋士と平手で対戦したコンピュータ将棋ソフト「ボナンザ」開発者の保木氏と、対戦した渡辺竜王それぞれの思い。対談もあるが、これはかみあってない。あまり将棋に詳しくない開発者の割り切り開発手法がすばらしい。美しくはないが数学的なアプローチとしては正しい選択だろう。大局観のようなものがないのだそうだが、これも、流れを評価する手法が生まれれば対応可能なのでは?(難しいのかな?)将棋を指さない自分にとっては、面白い内容だった。
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将棋ソフトボナンザ開発者と、渡辺竜王による共著。
将棋をまったく知らないので、こまかい部分までは
読み取れなかったけど(対局のこまかいところだけ)
コンピュータがヒトと将棋で戦うことを
開発者からの目線と、挑戦を受けたプロ棋士の目線から
読むことができてとても興味深かった。
意外だったのは、後半で二人がそれぞれ
将棋に対する思い、科学に対する思いを語っていたこと。
すごく響くことばがたくさんで、
ただタイトルに興味惹かれて読んだだけだったけど
面白いだけじゃなく、読んで良かったなぁと思った。
(特に最終章は事業仕訳関係者に読んでもらいたい、かも)
これからの将棋ソフトの発展を気にしていこうと思います。
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ボナンザが人間らしい理由を開発者、および対局した棋士の視点から解説している。また、今後のコンピュータ将棋の発展、将棋のあるべき姿、ボナンザのような一見、まったく社会の役に立たないようなことの大切さなど様々なことを教えてくれた。最近話題になったので読んでみたが、コンピュータ好きにも将棋好きにも読んでほしい作品でした。
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[ 内容 ]
最強将棋ソフトとトップ棋士、最高の頭脳による最前線の戦い。
[ 目次 ]
第1章 ボナンザ誕生
第2章 コンピュータとの対決
対談 保木邦仁×渡辺明
第3章 コンピュータ将棋の新たな可能性
第4章 プロ棋士はこう考える
終章 科学的思考とは?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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ボナンザというのは、将棋ソフトの名前である。この本の共著者である、保木さんはこのボナンザの開発者である。もう一方の共著者である渡辺明は、プロの将棋棋士で、竜王というタイトルを保持している、現在の将棋界を代表する最強の棋士の1人だ。2007年3月、当時、将棋ソフトの中で最強と言われたボナンザと渡辺竜王が、持ち時間それぞれ2時間のルールで対戦した。将棋に興味を持っているかなりの割合の方が関心を持っていた対局ではなかったかと思う。当時、一般紙にも記事として掲載された記憶があるので、もう少し広い範囲の方が興味を持たれていたかもしれない。渡辺竜王が負けることを予想していた人は皆無であったと思うけれども、それでも実力がある程度離れていても100戦100勝という訳にはいかないのが将棋であり、ほとんど万が一の確率で、というか、渡辺竜王がよほどの悪手を指した場合には、ボナンザが勝つこともなくはない、という感覚での予想が多かったように思う。実はチェスの世界では、既にコンピューターの方が強いということになっている。ところが将棋の場合には、チェスよりも複雑なゲームなので、まだ今のところトップレベルのプロ棋士の方が、コンピューターよりもかなり強い、という評価である。関心は、いつの日にか、コンピューターの方がトップクラスのプロ棋士よりも強くなる日が来るかどうかである。今の実力差であれば、トップクラスのプロ棋士がよほどの悪手を指した場合に負けることはあっても、10戦してコンピューターが勝ち越すことはあり得ない。将棋の初手からの指し手の可能性、すなわち場合の数は、10の220乗から260条の間であるらしい。また、これらの場合の数を読みきる、コンピュータであれば、計算させることは、現在のスーパーコンピューターであっても、数億年かかるのではないか、と言われている。とすれば、コンピューターがプロ棋士に近づくには、基本的には方法は2つ。1つはコンピューター自体の性能を上げること、すなわち、数億年かかる計算を数時間でやってしまえるレベルまで演算速度を上げること。もう1つは、計算しても意味のない選択肢を削ってしまう、すなわち、場合の数自体を少なくしてしまうことである。そういうことが実現する日が来るだろうか?私は将棋にもコンピューターにも詳しい訳ではないけれども、少なくともここ数年の単位でそういうことが起こるとは思えない。でも、いつかはそういう日が来ると思う。ただ、それが10年後のことなのか、100年後のことなのかは分からない、ということだ。個人的には、そうなったら、つまらないだろうな、と思う。私のような将棋は強くないけれども好き、という人間は、プロ棋士の指しての意味がほとんど分からない。それでも将棋雑誌や新聞の将棋欄を読んだり、あるいは、テレビを見たりするのは、プロ棋士の個性を見ることも好きなのだからだと思う。あるいは、日曜日の午前中のNHK杯戦でプロ棋士が見せる必死の表情や、勝ち負けが決まった後の時として放心したような様子も将棋を見る楽しみの大きな部分だと思っているからだと思う。個人的には、そういう日を見たくないと思う。
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ボナンザについて語った本。
既にボンクラーズが米長永世棋聖を破るくらいの実力を身に着けてる今となっては、わずか数年前とはいえ隔世の感が。
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語り慣れてない人に適当に言いたいこと言わせて本にすればいっちょあがり、というザ 新書。時間はつぶせた。
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2007年刊行。2007年3月に渡辺明竜王がコンピュータプログラム「ボナンザ」と対局し、竜王が勝利したが、そのプログラム開発経緯、最善の一手を着想するプロの技、将棋プログラムに対するプロ棋士とプログラマーとの考えの異同、敗着の一手などを論じたもの。米長邦雄永世棋聖が、将棋プログラムに敗れたことを知り、その前座たりうる本書を紐解いた。「間違い方にこそが個性が出る」「大局観が重要」「無駄な手を読まず、どう捨てるかが大切」など、楽しみつつも勝負に真剣に向き合った個性のぶつかり合いが面白い本だ。
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著者二人の違いがおもしろい。
特に保木邦仁氏の学者ぶりがおもしろいというか、ものを見るセンスが自分と似てるかも。ドラマ「ガリレオ」の主人公にも似てる気が…
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将棋会若手の第一人者渡辺竜王(史上最年少九段)VS将棋ソフト・ボナンザは、史上初の公式コンピュータ対プロ棋士対局として、新聞などのメディアにも取り上げられたのでご存知の方も多いだろう。 本書では、この当事者二人のそれぞれの将棋に対する考え方や、対話が掲載されている。保木氏は将棋を数学的に考え、渡辺竜王は対人ゲームとして位置づける。この対照的な考え方の違いが両人の発言の端々から見受けられて面白い。
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2014.11記。
今読むと、その後のAIの進展に唖然としますね・・・
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「ウォー・ゲーム」というアメリカ映画があった。東西冷戦の時代、ハッカーの高校生がひょんなことから米国防総省のホストコンピュータに侵入し、米軍は「ソ連が臨戦体制に入った」と大騒ぎになる。実際にはただの高校生の悪戯と判明するのだが、恐ろしいことに、コンピュータはこの過程で先制攻撃をしなければソ連ミサイルによって破壊される、ということを「学習」し、独自に再計算、発射準備を始める・・・といったストーリーだった。
この映画のクライマックスで、主人公の少年はホストコンピュータに「三目並べ(いわゆる○×ゲーム)」を教えミサイル発射を食い止めようとする。コンピュータは猛烈な勢いでシミュレーションを繰り返し、「勝者はない(必ず引き分ける)」ことを学習する・・・。
さて、本書は、最強将棋ソフトとして話題になった「ボナンザ」と、その対局相手となったプロ棋士とが交互に執筆する形をとったべらぼうに面白い本。
チェスの手数を全て数えると10の120乗個あるそうだ。宇宙に存在する原子の数が10の80乗個だというから如何に天文学的な数字かがわかる。そして将棋は10の220超乗個に達するという(まじか・・・)。このため、「ありえない手」を捨てる「枝刈り」の手法が大切になる。ここについて、従来のソフトが将棋の有段者を開発者として「人間の思考の再現」を目指したのに対し、ボナンザは「コンピュータの学習」にゆだねている。そしてその過程で、対戦相手の人間に「棋風」とか「癖」とか、ひいては「知性」を感じさせるようなキャラクターが作られていくのだ。
そういった舞台裏もさることながら、この本の最大の読みどころは「棋士」と「開発者」のプライドのぶつかりあいである。棋士は「コンピュータには大局観がない」という点にこだわる。実際、ボナンザは古くは江戸時代のものも含め、棋譜を10数万局学習しているらしいが、その程度の数では最初の十数手で未知の局面にぶつかってしまうらしい(10の220乗・・・)。一方で、本当にコンピュータの学習が進めば、そういった「プロの直感、大局観」に基づいて残された棋譜をデジタルに数値化することもいつかはできそうだ。
何よりも「負けたくねーんだよ」という本能に忠実な魅力溢れる棋士がこの世にいる限り、世紀の対局は人間同士が演じ続けるだろう。同時に、コンピュータで宇宙の深遠を覗きたい、という科学者の情熱がある限り、いつか必勝手は解き明かされるだろう。いずれにせよ感動的なことはこの上がない。
あー面白い本だった。
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2007.3.21、ボナンザ(先)vs渡辺明、112手目でボナンザが投了。持ち時間は2h。その後のコンピュータソフトの目まぐるしい進歩は、衆目が刮目しているところです。ただ勝てばいいかどうかの哲学は別にして。将棋の世界、昔「矢倉は将棋の純文学」と言われていました。現代将棋、多分に将棋ソフトの影響を受けていると思います。コンピュータの美学関係なし、美しい指し手かどうかは二の次、そんな感性に近い将棋が。手待ちの差し手が多くなりました。やはり、「美学」は大事にして欲しいと思います!
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ボナンザのストーリーはもちろん面白い。それとは別に著者が語っている科学的思考についての考えも面白い。科学的思考を取り入れるだけで人に騙されにくくなる。
役に立つということは既存の価値であり、役に立つかわからないところにイノベーションがある。