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宮沢賢治 代表作品集。
一気読みすると 宮沢賢治童話の象徴的なキーワードや共通テーマが見えてくる。
キーワードと その意味
*猫、熊=人間との共生(お互いの捕食関係含む)
*風=幻想世界のスイッチ
*燃える、星、銀河、青、雪=死、あの世とこの世の間
共通テーマ
*自己犠牲による他者の幸せ、目指す人間像
*人間と動物、人間と自然の共生
*ブラックユーモア
「やまなし」は共通テーマがわからない。自然原理がテーマ?
*谷川の底にいる蟹の親子の物語=死に恐怖する蟹の兄弟は 妹や母の死に絶望する賢治と弟?
*クラムポン=自然原理、生態系→命を奪い生きること?
「雨にも負けず」「虔十(けんじゅう)公園林」「グスコーブドリの伝記」から 他者の幸せのために 自己を犠牲にする 聖人的人物像が見えてくる。
「銀河鉄道の夜」は 生と死の意味が テーマ。ジョバンニが生、カムパネルラが死の象徴。自己犠牲による 他者の幸せを 生の意味として抽出した童話 と捉えた。
「なにが しあわせかは わからないです〜つらいことでも それが正しいみちを進む中での出来事なら 峠の上りも下りも〜幸福に近づく一あしすつですから」
吉本隆明 「銀河鉄道の夜」
*法華経の倫理=菩薩行=超人的な意志で自分を粉にして人に与えてしまう
*現実の世界と死後の世界の接続
*理想の世界は 各人の信仰によって異なる〜本当の考えとうその考えが分けられれば 誰にとっての真理や神は得られるはず
どんぐりと山猫
「このなかで いちばんばかで めちゃくちゃで まるでなっていないようなのが いちばんえらい」〜山猫と人間の共生
注文の多い料理店
「風がどうと吹いてきて〜木はごとんごとんと鳴りました」が幻想世界のはじまり〜人間が猫に食べられる世界
烏の北斗七星
「どうか憎むことのできない敵を殺さないでいいように 早くこの世界がなりますように、そのためならば、わたくしのからだなどは、何べん引き裂かれてもかまいません」〜敵の死骸を葬る→星=青いひかり
鹿踊りのはじまり
「風が、だんだん人のことはに聞こえ〜鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました」が幻想世界のはじまり
「嘉十は〜じぶんと鹿とのちがいを忘れて〜叫びながら すすきのかげから 飛び出しました〜わたくしは このはなしを すきとおった秋の風から聞いたのです」〜人間と鹿の共生
風の又三郎
「どつどど どどうど どどうど どどう〜青空で風がどうとなり」
「風車なら 風を悪く思っちゃいない〜時々こわすこともあるけど 廻してやる時の方がずっと多いんだ」
虔十(けんじゅう)公園林
「虔十は 少し足りないと私らは思っていた〜いつでも はあはあ 笑っているひとでした〜たれが 賢く たれが賢くないか はわかりません。ただどこまでも 十力の作用は不思議です〜ここは子供たちの美しい公園地です」〜雨にも負けずの聖者のよう
グスコーブドリの伝記
「たくさんのブドリのお父さんやお母さんは、たくさんのブドリやネリと一緒に〜暮らすことができたのでした」〜自己犠牲による他者の幸せ→他者=自分
なめとこ山の熊
「熊。おれはてまえを憎くて殺したのではねぇんだぞ〜てめえも熊に生まれたが因果なら おれもこんな商売が因果だ」
春と修羅
「私といふ現象は〜ひとつの青い照明です」
「おれは ひとりの修羅なのだ〜日輪青くかげろへば 修羅は樹林に交響し〜まことの言葉は ここになく 修羅の涙は 土にふる