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1月に国立科学博物館で聞いた著者の講演を思い出しながら、最後まで楽しく読めた。バイオロギングの成果と魅力を、親しみやすいエピソードを多数交えて、情熱と人柄あふれる文章で書かれていた。
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タイトルが面白そうだったので読んでみたら、なかなか楽しい。
南極や亜南極で繰り広げられる研究生活に関するコラムあり、
新しい発見に関する記述あり。
読んでいる途中は、研究に関するものと、読み物としての要素が強い箇所は、
別々の本に書いて、両方もっとじっくり読めればいいのに。と思ったけれど、
読み終わってみると、そんなことをいつの間にか忘れていた。
実際の内容はタイトルに関することよりも、ペンギンやアザラシの潜水に関する記述のほうがおもしろい。
今の世の中、わからないことの方が少ないように思ってしまいがちだが、
水中での生き物の生態にかんしてはまだ謎が多いということ、新鮮。
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海洋生物についての考察と著者の研究苦労話のエッセイ。
アザラシとペンギンの潜水方法の違いの話はとても興味深い。
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≪目次≫
はじめに
第1章 カメが定温動物でトリが変温動物?
第2章 浮かび上がるペンギンと落ちていくペンギン
第3章 研究を支えるハイテクとローテク
第4章 アザラシは何のために潜るのか?
第5章 ペンギンの潜水行動を左右するもの
第6章 ペンギンはなぜ一列になって歩くのか?
第7章 教科書のウソとホント
あとがき
≪内容≫
バイロギング(データロガーをつけた生物<特に海洋生物>の行動や生理、それを取り巻く環境を調べる研究)の第一人者の研究と体験の報告。ただ、著者が一番言いたかったのは、第7章のそれも最後の部分だと思う。世の中の金になる安定した職業を目指して大学に行くよりも、何のために役立つかわからない研究のために学問をする(大学で学ぶ)。それが結局は若者の生きる力になる、と…。
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タイトル通りのことが記載されているのだが、この事実がなかなか出てこない。
「ハイテク海洋動物学への招待」というタイトル通り、海洋に生息する動物の生態をさまざまなロギングツールで調べていくバイオロギング(という造語まであるそうな)についてのお話。
タイトルに期待して手にしたが、少々期待外れの感あり。
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予想をはるかに超えて面白かった。
ガヂガヂの数物系であった自分からするとこういう素朴なアイディアに基づいた研究について知るのはとても刺激的だった。冒頭のアザラシやペンギンの写真はどれもとてもかわいい。筆者はデータロガーを動物に取り付け、それを回収するために奮闘するわけだが、対する動物の描写がとても可笑しくて笑ってしまうところがたくさんあった。
最終章は読者に対する知的冒険への誘い文句である。シャックルトンの言葉を引いているが、実際に南極で調査研究を続ける筆者が言うとこちらの心にも強く響くものだ。研究というのは素晴らしいなと思った。名著。
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バイオロギングは比較的海洋生物での利用が進んでいると思います。
そんな、世界が垣間見れますよ!
アリと象の心拍の話を個人的に思い出しました~
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海洋生物への関心は高い。でも、眺めて和むくらいの、かなり浅い興味かも。そんなの好きに入らないよって自嘲するくらい、熱い視線が感じられる著作。どんな分野でも、のめり込んだらそれなりに認められますよね。
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学校の教科書には「わかっている」ことばかりが並んでいるので、学校でたくさん勉強した人たちは、この世の中の大抵ことはもう「わかっている」はずだと信じて止まない。
ところが、本当のところ、教科書に書かれていることのすぐ外側には「わかっていない」世界が広がっているし、教科書に書かれていたことが、後になって実はあまり「わかっていなかった」ことがわかることさえある。
水族館などでお馴染みのペンギンやアザラシが、海の中で何をやっているのか。そんなことは、たしか生物の教科書のどこかに書かれていた気がするし、そうでなくても、とっくに誰かが調べているはずだ。そう思うのが普通だろう。
ところがこれが大違い。海の中の出来事のうち、私たちにわかっていることの方が少ないくらいだ。いくらハイテク機器を駆使しても、なお海の中のほんの一部のことしか知ることができない。本書はそのことを赤裸々に語ってくれる。
誰もが「わかった」風に思っていることが、実は「わかっていなかった」ことに気づいて、虚心坦懐に事実を探求し、成果を丹念に論文化する。学問は常にこういった地道な努力の上に成り立つ。本書は、そのことを丁寧に説明しつつ、その先にうっすらと見えてくる「知的興奮」の存在を、十分に示唆してくれている。
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遺伝子の不都合な真実の近くにあって、手に取った本。
海洋動物の水中生活は、意外に謎に包まれていて、著者が四苦八苦、試行錯誤して、取り組む様子が興味をそそられます。
得てして、最初の目的とは、違った成果が出てきたり、別の疑問が解消されたりと、七転八倒。
特に面白かったのは、若い母親アザラシは、年配の母アザラシより、子供に危険が迫った時に、自分の身の安全を優先するような行動をとることについて、若い母親は、繁殖行動にも次のチャンスがありますが、年配の母親は、次のチャンスがあるとは限らず、敵に対しても、戦う様子があるそうで、それが、浅い潜水時間が長いことと結び付けて、説明されていることでした。
最後には、著者が、ネタバレ的な打ち明け話をもらしていて、それが、年齢が近い自分にとっては、ほほえましかったです。そんなん、言わんでも、誰も何とも言わないだろうに!って。著者の性格なんでしょうね。
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水中の世界は陸上動物である人には、まだまだ未知な世界だと感じた。
ペンギンやアザラシの潜る深さについて、ペンギンは中性浮力(無重力のような状態)で楽に餌探しをするために予め吸う息の量を加減しているというのは驚く。また、アザラシは体の大きさで潜る深さが決まっているとのこと。同じ潜って餌を探す動物でも、自分の特性に合わせて生きるすべを持っている。生きているっていう結果は凄いな。と感じる。背後には揺るぎない仕組みが備わっている。
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驚きの連続!!
海底に眠る未知への好奇心が刺激されました!
ペンギンがかわいすぎる。
てか本のタイトルおかしくないか?
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「求む男女。ケータイ圏外。わずかな報酬。極貧。失敗の日々。絶えざるプレッシャー。就職の保証なし。ただし、成功の暁には、知的興奮を得る。」私のところに来たら、まずは身近な動物で修行を積んでもらうことになる。試行錯誤の末に晴れて学位を取得したら、データロガーと一緒に、世界中の僻地に飛ばしてあげよう。そういう佐藤氏はバイオロギングという手法で動物の生態を研究している。
学校の教科書には鳥は恒温動物で爬虫類は変温動物だと書いている。しかしウミガメの体温は23℃でほぼ一定で逆にペンギンは深く潜るときに体温維持には最低限しかエネルギーを使わず酸素消費を抑えている。
ペンギンは深さ500m時間にして最大27分潜っている。ペンギンは息を吸い込んで潜り、10分ほどで空気中の酸素濃度はほぼなくなってしまう。その後どこまで息継ぎせずに我慢できるかは謎が残っている。空気を吸い込むと浮力がつき潜るにはマイナスなので最初に一生懸命羽ばたく。ある程度の深さに潜ると圧力で空気が縮みある深さで浮力と重力が釣り合うがペンギンはちゃんと潜る深さで吸い込む息の量を変えている。そして浮いて来る時にはヒレを拡げ浮力に任せて水中を滑空する。ペンギンカメラが捉えた8羽のペンギンがヒレを拡げている姿が写っている。そして水上に飛び出す時にはその高さに合わせて速度を調整している。
アザラシは逆に息を吐き出して潜る、というか沈む。アザラシは肺に貯めた空気ではなく血液中に蓄えた酸素を利用している。子育て中のアザラシは子供に泳ぎを教えるようにゆっくり泳ぎ、これまた後ろ向きにつけたアザラシカメラに後を追う子どもが写っている。
どうやってペンギンやアザラシに装置を付けるかというと、ペンギンの場合は足を傘の柄の様なもので引っ掛けゆっくり引っ張るとヨタヨタと近づいてくる。そこでさっとヒレを気をつけで足首はつま先を伸ばして小脇に抱えるとペンギンはおとなしくなる。頭にフードをかぶせて固定すれば体重も測れる。アザラシの場合も頭を袋に入れると大人しくなるのでそこに麻酔剤を入れて吸い込ませる方法が日本チームにより開発された。
ペンギン牧場の作り方。
南極に行って氷の上に柵を作る。氷に穴を開け海に入れるようにする。たまに
ペンギンを狙ってアザラシが来るのでできれば穴は二つ。ペンギンは普通コロニーを作っているが時々さまよっているのがいるので上記のやり方で捕まえて柵に入れる。牧場の様子を除きにきたペンギンがいれば後ろに立って追い立てると自分から柵の中に入ってくれる。海に潜ったペンギンは潜った穴に戻ってくるのでこれで牧場は完成だ。餌も自分で撮ってくるので必要ない。
題名になったのはバイオロギング研究者が増えたことでデータを集めてはっきりした。マッコウクジラからペンギンまで泳ぐ速度はほぼ秒速1~2mで一定している。これは筋肉の効率的な速度と関係していると予想し体の大きさとストロークを両対数グラフにプロットすると見事に直線に乗った。筋肉そのものの収縮速度が同じなら大きなクジラは移動距離が長いので周期はゆっくり、小さな��ンギンでは速くなるというのが仮説だった。
仮説と実証実験というのが現代の科学の一般的な手法だが、バイオロギングというのは装置からして発達中の学問で、例えば南極の棚氷の下で深い層に餌がいっぱいあるなどもこれまで知られてなかったことが見つかっている。測定が先で仮説が後からついてくるあたり都度都度方向変換が必要でしかも南極の場合シーズンを逃すと次の実験は1年後で下手をすれば帰っている。なかなか大変な研究だ。
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海洋動物にデータロガーつけたら色々面白いことがわかった。っていうお話。秒速2メートルだとか、どんなふうに泳いでるとか、そんなことよりもこの研究に対する姿勢が素晴らしいと思うた。
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動物好きは、タイトルに動物の名前が入っていると、思わず手にとってしまう。これもペンギンとクジラの生態について書いてあるのかな、と思い読みはじめたが、驚いたことに、内容は最先端の水中生物のバイオロギング(生物行動のデータ収集とその解析)の研究内容とその事情の小話についてであった。
興奮したのは、作者が得られたデータを、自分が思いつかない視点から解釈して仮設を立てているので、「このデータからそういう結論を出すのか」と勉強になったことである。
ところどころに入っている南極などのフィールドワークのエピソードは、動物や海外研究者とのやり取りがユーモアにあふれていて思わずクスッと笑ってしまう。アザラシの体重を南極でどうやって測るのか知りたいな、と思ったら読んで欲しい。