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大江戸かわら版シリーズはこれが初めて。
でも、世界観はちゃんと初心者にわかるように描かれているので大丈夫。
人間以外の妖怪・魑魅魍魎が生活する大江戸の町に偶然「落ちてきた」人間の少年、雀が主人公。彼の仕事は大江戸の街の事件や出来事を見聞きして、かわら版を発行すること。
今回彼が出会ったのは歌舞伎の脚本家をしている「封印の娘」、雪消。彼女は生まれ持った特殊な性質ゆえに封印の間から出られず、そのかわりに想像力を駆使して物語を紡ぎだす日々。ところが、あるとき雪消に縁談話がやってきて、しかも相手が旧家の放蕩息子。彼女を無理やりに封印の間から引きずり出し、そして惨事がおきた。
という話。これだけ書くとどれだけ悲劇的な話かと思うが、ページの大半は年末年始を迎えて楽しく賑わう大江戸の町の描写で占められて、まったりほんわか楽しい感じ。雪消のエピソードは大江戸の楽しい日々を浮き立たせるための影の部分、て感じかなぁ。
どんな物事にせよ、光ばかりで影がなくては深みがない。光も影も互いに依存しているので、雪消のような存在もまた、大江戸の町に必要な闇の一部なのだろう。
だから凄惨なシーンも比較的淡々と、しかも美しく描かれている。いいんだけどちょっとカタルシスに欠けるので星3つ。