しなやかな維新の起こし方
2008/03/22 20:23
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マーケティングの勢いは留まるところを知らない。
民間企業での長年に渡る実践を経て、マーケティングはいよいよ社会の側を
変え始めた。本書は豊富な事例でもって公益を実現するマーケティングと
その手法を解説している。
民間企業におけるマーケティング対象は市場という名のお客様の塊だ。
公的部門におけるマーケティング対象は市民という名の生活者の集まりだ。
ここで奇妙な感覚に襲われる。お客様と市民は別々に引き裂かれた存在
ではない。お客様としての人間は自分の意思でモノやサービスの対価を
企業に払う。市民としての人間は、税金を払う。払う前提は、サービス
以前に、国や地方といった土地にいることだ。当然、状況によっては
選べない場合だってある。払い方も国に対して払う場合もあれば、
地方に対して払う場合もあり、購買に付随して払う場合もあれば、
いつの間にやら徴収されている場合もある。
いずれにしろ、公的部門におけるマーケティング対象者は、そこに住んで
土地に根ざしていることによって、サービスを受けたり税金を払ったり
している。
本書で最も新鮮だったのは、終章で紹介されるニューヨーク市にCMO
(チーフ・マーケティング・オフィサー)がいるという記述だった。
その使命たるや1.市の新しい収入源を育て上げ、2.市の重要な施策と
各関係機関を支援し、3.市を世界中に売り込むことによって観光を
盛んにし、雇用機会を増やすこと、だというから驚きだ。
あのニューヨークでさえ、ここまでマーケティングに重点を置いて行政を
行っているということは、裏を返せば、世界最先端で在り続けるには
不断の努力が欠かせないという身も蓋もない現実の証左なのだろう。
こうして世界中の公的機関で土地の魅力を上げるためのマーケティングが
今も行われていて、そのサービスの優劣によって、移動できる市民は
移動している。当然法人というヒトも同様に。
「社会が変わるマーケティング」を考えること、それは税金の対価は
何なのかという、古くて新しい問題を顕在化させるものであるのだろう。
それは詰まるところ、税金の使い方を通じて、どんな風に生まれ、
どんな風に生きて、どんな風に死んでいきたいのかを考える行為に
他ならない。
では日本では誰がそれを形にしていくのか?それはサバイバルに
必死な地方を背負う人間、地方公務員ではないだろうか?本書にはそんな
世界の事例が随所にある。日本でも、ここ数年虐げられ続けた地方が、
公共サービスのマーケティングに真に目覚めたとき、しなやかな維新は
起きるのかもしれないし、もしかしたらそれはすでに、始まっている
のかもしれない。
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英訳(海外のビジネス書)ではケースが重要視されているためか、この手の本を読む時には抑揚が大切だと思った。ケースはある程度斜め読みして、ケースから導き出される理論や教訓を精読すれば数がこなせる。
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ケースを斜め読みして終わってしまった。
そもそもマーケティングを勉強しながらゼロベースで考える訓練をしていたので、そりゃあ公共サービスとはいえマーケティングの概念は必要だよなあと思っていたので、新鮮さはなかった。
むしろ、日本の公共サービスでこういう取り組みが一般化していないことに、腹立たしく思ってしまった。
むしろお役所の人が目からウロコを落とすための本かも。
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公共サービスはそれ自身が巨大であるため、身動きがとりにくい印象がある。
もっと細かいところで裁量を持つことができれば、もっとよくなるのではないかと思った。
いずれのケースも目的の設定が上手だった。
プロモーションの過程よりも、やはりマーケティングの必要性を感じた。
特に面白かったのは提携する難しさ。
目的があって、民間の力を借りたくて、じゃあどうするか。
誰とどこまで付き合えばいいのか、順序良く書いてあった。
ここに書いてあることがすべてではないけれど、もっと自分自身のことを知ることができれば、組織としてよくなると思う。
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民間で行われているマーケティング手法を公共(Public Sector)に活かすソーシャルマーケティング(Social Marketing)について書かれた本。
マーケティングの第一人者のコトラーさん著。
片手間でちょろっと読むには重たすぎました。
ずっしり。
いくつものケーススタディが紹介されていて、様々なマーケティング手法について書かれている。
訳者はスカイライトコンサルティング。
じっくりと腰を据えて読みたい本です。
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公共セクターにマーケティング理論を取り入れるというソーシャルマーケティングの本。いくつかの事例があり、わかりやすい。ぜひ、日本の公共機関でも取り入れて貰いたい。関係者は必読です。
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一、全体として何に関する本か
英語タイトルは「Marketing in the Public Sector」(公共機関のマーケティング)である。本書が対象にしているのは行政機関だけではなく、電気・ガス・上下水道・郵便などの公共サービスを提供する社会基盤全般で働く職員、社員のマーケティングについて書かれている。公共部門の特徴としては、「公共機関は独占であることが多い」「公共機関は市民の利益のために奉仕する」「公共機関は衆人環視のもとで行われ、メディアの注目を大いに集める」ということが挙げれら、一般企業と置かれている立場が異なる。一般企業のマーケティングのスローガンは顧客価値と顧客満足であるが、公共機関のマーケティングのモットーは市民価値と市民満足である。
二、何がどのように詳しく述べられているか
本書ではまず、マーケティングの基本的な考え方を分かりやすく説明している。重要な要素は①顧客中心主義に徹する②市場を細分化しターゲットを定める③競争相手の特定④マーケティングの4P(Product,Price,Place,Promotion)を利用する⑤活動をモニタリングし修正を加える、の5つである。これらは、ビジネスだけではなく普段の活動をより有意義にするためにも必要だと考えられる。
これらの基本的な考えを整理した上で、本書では世界中で公共機関が行った革新的なマーケティングを実例と共に説明している。例えば、アメリカの郵政公社(USPS)では、「郵便を届ける」という一見単純な製品(Product)のように思えるが、様々な工夫を凝らしてその製品価値を向上させている。魅力的な切手の販売から、新兵の登録やパスポートの申請などの付属サービス、詐欺や個人情報の盗難から家庭を守る方法を説明したDVDの無料提供、切手を買うことによって慈善事業に寄付ができ、乳がんの研究や家庭内暴力の防止などの社会的運動を支援できる制度の導入など、郵政事業と直接関係がないサービスまで提供している。また、市民からの意見を取り入れる仕組みも整っており、年間212の顧客諮問委員会を主催している。これらの取り組みによって、顧客満足度調査では、93%の顧客がUSPSとの取引経験を「素晴らしい」「非常に良い」「良い」のいずれかに評価している。
三、その本は全体として真実か、どんな意義があるのか
あるレポートによると、米国人の84%は価格と品質が同じであれば、より重要な社会問題の改善を支援している企業の製品に鞍替えしても良いと答えている。これは日本におていも同様で、民間企業は「業績も良く、慈善も行っている」という姿勢を今後ますます強めていかなければならないだろう。
四、一番面白かったのはどこか、なぜ自分は面白かったのか
今回、本書を読もうと思った理由は、コーズマーケティングについて学びたかったからである。コーズマーケティングとは、ボルビック社の「1ℓ for 10ℓ」に代表されるような、企業の社会問題や環境問題などへの積極的な取り組みを対外的にアピールすることで顧客の興味を喚起し、利益の獲得を目指すマーケティング手法である。大きな成功例としては、アメリカンエキスプレス社のカードが使われる度に自由の女神修復資金を拠出する制度があり、修復拠出金は約2億円となり、カードの使用率は27%増え、新しいカードの加入者は10%も増えたという。市民の社会問題への関心が高まっている中で、日本の会社も社会問題をきちんと捉え、その解決策を示すことができれば、今以上に顧客満足度も社員の誇りも高めることが可能だと考える。
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伝統的なマーケティングの概念は公共機関においても適用することができ、公益の実現においてそれは重要な役割を果たすということを説いています。マーケティングの考え方や手法を公共機関における実例をもとに解説しているのですが、この本を読んだ限りでは公共機関と営利企業とでマーケティングの何が違うのか明らかではありません。主体は何であれマーケティングの概念は同じだということかもしれませんが、だとしたらこの本の存在意義が少し疑問に思えます。
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フィリップ・コトラー『社会が変わるマーケティング』速読了。
いや~久しぶりに興味深くて、内容のある本だな~って感覚!ソーシャルビジネスで最も忘れられるマーケティングについて特化して書かれた本。これは間違いなくソーシャルビジネスの必読書。
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行政機関などのPublic Sectorにおいても,マーケティングが必要と示してくれる本です。これからの時代は,民間と行政の2分論ではなく,お互いを補完したり,お互いのいいところを取る必要があるのだとうと思います。財政難の行政やNGOなどは,特に積極的に民間の手法を取り入れることが必要かなと。自分も含め。
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マーケティングの基礎を学び、それを公共サービスに活用するためのケーススタディができる本。
社会の公器としての大学も「ローテク、ロータッチから「ハイテク、ハイタッチ」に生まれ変わることができると感じた。
ドラッカーの言葉「マーケティングの究極の目的は、販売活動を不要にすることだ」が引用されている。
さてどのようなマーケティング計画が作れるのだろう?
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実践例を通じてマーケティングの考え方が理解できる本。マーケティングは学ぶものではなく実践するものであることが再確認できた。
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マーケティングの復習を兼ねて少し進んだ話題をと思い手に取ったが、各事例の掘り下げが浅くガイドブック的な感じだった。
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公共セクターの観点からマーケティングの適用、解説を図った良著。マーケティングそのものの勉強にもなる。
<メモ>
・4Pから4C 顧客コスト、顧客ソリューション、利便性、コミュニケーション
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「非営利なんで、マーケティングとは縁遠い」という思いこみ、喰わず嫌い状態でこれまで全く読まなかった分野の本。その勘違いは覆った。身近でできそうなヒントが多くあり、何度も読み返して今後の参考にしたい。