投稿元:
レビューを見る
アセルスタン修道士とクランストン検察官のミステリ。シリーズ2冊目。ロンドン塔の塔守ホイットン卿が屋上の個室で殺された。何かに怯えて用心していたらしいのだが…ロンドン塔はまだ刑務所専門ではないのですが当時既に、赤き死の館という異名があったらしく、秘められた謎はいかにもロンドン塔らしい。酒飲みのクランストンの人物造形は時代色が出ているのか…現代物の困った上司よりも喜怒哀楽が激しいです。
投稿元:
レビューを見る
クリスマス間近。ロンドン塔の城守が塔内の居室で殺された。
クランストン検死官とアセルスタン修道士はそれぞれ別の悩みを抱えながら事件を捜査する。
1作目よりはキャラクタが動いているように感じた。
でもどうせならアセルスタンの修道士としての内面をもっと掘り下げて欲しい。
そうすれば対比でクランストンの軽佻浮薄さが浮かび上がると思うんだけど。
相変わらず世相や風俗の描写は秀逸。
これを読むと14世紀後半のロンドンは犯罪者と貧民溢れる大変なところだわ。
前作もそうだったんだけど、殺人が次々起こるためにトリックが薄っぺらい。偶然に頼るようなトリックは使っちゃダメだろ。
このシリーズは全体の雰囲気を楽しむもので、あれこれ深く詮索しちゃいかんのだな。
投稿元:
レビューを見る
ロンドン塔の殺人事件。今回もバタバタと犠牲者が増えていきます。捜査陣が別の問題ばかりに心を奪われ過ぎてるから解決が遠いんじゃないかと思うのですが。
がさつで騒がしいが悪気はない酔いどれ検死官は、夫人の不貞を疑って気分に激しく波があり、どうにも扱いにくい状態になっているし。それをあやしているアセルスタン修道士のほうは、自分の教会の墓荒らしに憤りを覚えている。
これを読んで当分ロンドン塔観光に行く気がなくなりました。幽霊が大勢うようよしてそうだもの!カラスを見ただけでビビりそう。
投稿元:
レビューを見る
アセルスタンは修道士。ドミニコ会托鉢修道士としてサザークのおんぼろ教会、聖アーコンウォルド教会を預かっている。
アセルスタンには罪がある。
修道院で修練士として修行をしていた時、エドワード黒太子がフランスに攻め入った。愛国心に駆られたアセルスタンは修道院を抜け出し、弟と共にフランスへ渡り、従軍した。だが、弟は戦死し、アセルスタンは弟の亡骸すら連れて帰れず、祖国に逃げ帰った。
両親は悲しみのあまり相次いで亡くなり、家族を失ったアセルスタンは修道院に帰り、師に罪を告白する。師は言った。
「おまえの罪は重すぎる。償いが必要だ」
その償いが、国王勅認検死官ジョン・クランストン卿の書記を務めることだった。
彼らにもたらされる事件は罪深く、恐ろしいものばかり。検死官ジョン卿は大食らいで酒呑みで口が悪い。本当に罪の償いができるのだろうか…。
だが、そんなジョン卿にも深い哀しみがあった。3歳の息子をペストで喪っていたのだ。
二人は過去を打ち明け、絆を深める。
今日も聖アーコンウォルド教会にジョン卿の怒鳴り声が飛び込む。
「修道士どこにいる!いるのはわかっているんだ!」
「私は托鉢修道士ですよ!ジョン卿!」
というのが前作までのあらすじ。
アセルスタン修道士シリーズ第2作目「赤き死の訪れ」は、前作にも増して猟奇的な連続殺人。
クリスマスが近付いた極寒のロンドン。ロンドン塔の城主ホイットン卿が殺された。不吉なメッセージを受け取り、用心に用心を重ねた城主を嘲笑うかのような残虐な犯行。そして、彼の戦友たちが次々と殺されてゆく。
犯人は誰だ。アセルスタンとジョン卿が捜査を始めるが、今回も彼らの個人的な悩みが捜査の邪魔をする。
ジョン卿が愛してやまない妻モードの様子がおかしい。浮気を疑うジョン卿の苛立ちは容疑者やアセルスタンにまで及ぶ。
「モードが浮気をしているかもしれん…」
「何てことを!あなたは馬鹿だ!」
「何だと!」
「高潔なモード夫人はあなたを愛していますよ!時々、何故愛せるのか不思議に思いますけどね!」
一方、アセルスタンにも悩みが。
彼の聖アーコンウォルド教会の墓地が荒らされ、遺体が持ち去られるという気味の悪い事件が多発していたのだ。
そして、それと同じぐらい、いやそれ以上に深刻かつ衝撃的な事件が。
アセルスタンがひそかに憧れる未亡人ベネディクタが男友達を連れてきたのだ。しかも「ものすごい美男子」で評判の名医。
アセルスタンはにっこりと微笑む。
私は修道士。嫉妬なんかしていない…!
前作以上に不気味で残虐な犯行でスリリングな展開でした。
今回は温和なアセルスタンが激怒するシーンが何回かあり、かなり波乱含み。相変わらず汚らしい掃き溜めのようなロンドンの下町の生活が詳細に描かれています。
事件の顛末はせつない終わり方でした。そして、最後に心温まる締めでほっとした気持ちで読み終えました。
投稿元:
レビューを見る
熊のような巨体の検死官と、温厚な托鉢修道士のコンビが、ロンドン塔の連続殺人に挑む。
人間味溢れる2人が面白い。
ミステリとしては、ちょっとゆるいとこもあるけど、読み始めると止まらないテンポの良さが好きです。