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われわれ日本人が消費する食料で、世界中に環境負荷を与えていることがよく分かる。あぁ、こういった考え方もあるんだなあ、と考えさせられる一冊。なにより驚いたのが、健康食品と呼ばれる商品の売り上げが、お米の売上高と並んでいるということ。お米の消費量が減った分、小麦粉などが増えているわけではなく、油脂と肉類が半端なく増加しているということ。
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Chapter1 フードマイレージを考える背景
1.食に関する情報の氾濫
2.食生活の変貌とそれがもたらした問題点
3.第一の問題点―栄養バランスの崩れと健康問題ー
4.第二の問題点ー食への不安と「食と農との間の距離」―
5.第三の問題点ー食料の海外依存と国内農業の縮小ー
6.食育に対する感心と期待の高まり
7.そして第四の問題点ー地球全体の資源、環境問題ー
「食」とは人間にとってもっとも身近でかつ重要な営み。
特に現代の日本人は食に対して強い興味と関心を有している。
日本人の社会自体の変化により、食生活のパターンも大きく変化した。
→核家族:食の伝承が地域・家庭からマスコミ中心に。
1965年→2002年にかけての食品の消費量は、
穀類 ▲33%
野菜 ▲11%
肉類 +335%
油脂 +177%
(主要国の中でも歴然)
これら変化は日本人自身が選択したもの。
→この食生活の変化が大きな問題を引き起こしている。
第1の問題:栄養バランスの崩れ
たんぱく質(P)、脂質(F)、炭水化物(C)のバランス(PFC比率)のよい日本型食生活の崩壊。
野菜、ミネラル不足
→肥満、メタボリックシンドローム
他にもライフスタイル変化に起因する食生活の乱れ
欠食、孤食
食品のロス
第2の問題:食への不安と「食と農との距離感」
消費者の信頼をゆるがす事件の多発
→「食と農との間の距離感」
1地理的距離感
2時間的距離感
3社会的(段階的)距離感 ←食の外部化
消費者の食に対する不安間の程度は自分を基点とした距離感に基づく
→消費者の不安感は 輸入農作物 > 外食店舗 >家庭 :主観
→実際の安全性は 家庭 > 外食 :客観
自分でコントロールできないリスクは大きく感じる
生産者との「顔の見える関係」を強く望んでいる。
第3の問題:食料の海外依存と国内農業の縮小
日本の食料の海外依存率(100−食料自給率)は60%・・・主要国で突出して高い
→かつては20%程度だった:地理的条件は問題ではない
→食生活の変化が大きな要因
自給可能な米の消費量の減少
飼育に必要な飼料の自給が難しい肉類の消費の増加
食料輸入の増加は国内農業の縮小の一因に
農業産出額の縮小
生産基盤の脆弱化:高齢化、不作耕地の増加→農村の地域社会の維持そのものが困難に
問題点を踏まえて、食生活の見直しを視野に入れた「食育」が注目
Chapter2 私たちの食と地球環境問題
1.なぜ地球環境問題かー3つの局面での問題点ー
2.輸出国の資源・環境に与えている負荷
3.日本自身の環境への影響
4.長距離輸送に伴う地球環境への負荷
海外からの食品の大量の輸入
↓
1輸出国の資源・環境への負荷
農地:農地の1200万haを海外に依存(自国農地の2.6倍)
水:年間640億㎥の仮想水を輸入(自国水資源の3分の2)
生態系:一人当たりのエコロジカルフットプリントは4.3ha(全人類平均の2.4倍)
→飼料作物の必要量が大きい
仮想水(バーチャルウォーター):食糧という形での水
エコロジカルフットプリント:それぞれの地域で行っている経済活動を支えるのに必要な土地面積
2日本自身の環境への負荷
資源の輸入量:19.8億t
資源の輸出量:1.4億t
物質収支のアンバランスによる物質循環の不均一
→農地の窒素の蓄積
3長距離輸送に伴う地球環境への負荷
食品の輸送距離と二酸化炭素排出はイコールではない。
(中国産しょうが・・・輸送距離は国内産の4倍だが、二酸化炭素排出量は1.3倍)
ウッドマイレージ:米国が最大、日本は第2位
Chapter3 フード・マイレージの考え方と輸入食料のフードマイレージ
1.フードマイルズ運動とフード・マイレージ
2.輸入食料のフードマイレージ
フードマイレージ(t・km)=食料の輸送量(t) × 輸送距離(km)
フードマイルズが自国(英国)のみの値であるのに対し、フードマイレージは各国間の比較を可能としたことで政策立案のツールとなるべく意識したもの。
輸入量と輸送距離により総合的に把握することが可能。
食料自給率などは「重量」のみで「輸送距離」は考慮に入れていない。
輸送距離の増加(=経路・所要時間の増加、行程の複雑化)
→ ?安定供給リスクの増加
?食品情報の消費者への提供コストの増加
?情報の非対称性
?環境負荷の増加
※フードマイルズ運動(英)
フードマイルズを意識して、なるべき地域内で生産された食料を消費することで環境負荷の低減を図る。
英国のフードマイルズは5年間で18%増加
→外部経済コストが市場取引に反映されないためと予想。
具体的な計測方法は省略
日本のフードマイレージ総量: 9000億t・km (2001年)
特徴? 日本のフードマイレージは他国に比べて際立って大きい。
→輸入量は標準的(それ以下)であるが、輸送距離が長い・・・多くの国は近隣諸国から輸入している
特徴? 特定の品目の構成比が大きい
→日本は穀物、油糧油脂が全体の7割:他国は特定の品目に偏っていない(自国で生産できない品目を輸入)
特徴? 食料輸入相手国が特定の国に偏る
→上位3カ国(米国、カナダ、豪州)で全体の76%・・・多くの国は分散
(距離の長い米国からの輸入が多い結果として、フードマイレージ全体が増加)
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僕らが「食育ミールプラン」のために、もっともっと取り組まなければならないいろんなテーマがあることを教えてくれる。そしてそれは、日本の姿、人の関係性、社会、地域を変えていくものだということが明らかになる。一方で、食の安全、地球環境、景観、地域、文化・・・・すべてが、もしかしたらたった一つの取り組み「ミールカード」で変わるかもしれない。今年は、去年よりもずっとたくさん、変わる事になるだろう。
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フードマイレージとは“食べ物の量×運ばれてきた距離”で計算されます。食べものがどれだけ遠くから運ばれてきていて、そのためにどれだけの二酸化炭素を出してきたのかがわかります。つまりフードマイレージが高いほど地球にはやさしくない食事(食べ物)になるのです。あなたの今日の夕食のマイレージはどれくらいでしょう。食べものの大切さ、日本の自給率の低さを考えさせられる一冊です。