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太宰治の強さ 中期を中心に太宰を誤解している全ての人に みんなのレビュー

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みんなのレビュー2件

みんなの評価3.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (1件)

高い評価の役に立ったレビュー

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/12/26 16:29

評論として読むべき

投稿者:篤姫・西郷・大久保 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 和泉書院という国文学関係の老舗出版から出た本であるが、研究書というよりも評論として読むべき本という感じがする。なぜかというと、研究書という専門性を超えて、もっと多くの読者向けに書かれているからである。サブタイトルの「太宰を誤解している全ての人に」もその訴えの一環である。
特に1章の太宰の強さの二方向からの解釈は、一般読者にも身近に感じられる内容となっている(実際、そういう語りかけが文中に見られる)。2章と3章の転向期、戦争期のアプローチは、歴史的背景を意識した厚みのある叙述となっている。このあたりは著者の史学科卒と言う経歴から来るものであろうが、歴史好きのファンにも読み応えのある部分である。4章以降は雑誌に既発表の作品論であるが、このあたりにも既存の研究史に対する挑戦意識、読みの甘い研究者への痛烈な批判も現れており、単なる研究書以上の人間味溢れる叙述となっている。
 この書全体から言えることであるが、太宰治という一筋縄では解釈しきれない難物作家を、その著作から見られる強靭な作家的精神の連続性並びに、周辺の作家たちの動向(特に、制限の多かった戦争期の活動を比較対照している)をも視野に入れることによって、単なる太宰論と言う以上に、転向期から戦争期の文学論と言ってよいような、大作に仕上がっている。別の書評子が言うような、欠点を欠点と認めてもなお、期待して読まれて然るべき、問題作と言ってよかろう。

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低い評価の役に立ったレビュー

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2008/01/02 08:57

研究としてのアピール(難)

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

サブタイトルにもあらわれているように、この書物は、太宰治という作家にまつわる「弱さ」というイメージを払拭し、むしろ「強さ」をこそ読み取るべきだ、ということをそれこそ強く打ち出した明快なコンセプトをもつ。ただ惜しむらくは、そのアピールが、研究としての体裁をとっていない恨みが残った。(出版社と、記述のスタイルから、この書物を「研究」ではないというのは難しいと思う)たとえばこういうことだ。研究として何かしらのアピールをするには、先行研究という先人の成果を正しく検証し、その手続きの上にたって、何かを発言する必要がある。ところが、この書物では、先行研究へのリサーチが実に散漫なのである。ごくごく偏ったものにばかり言及が集中し、そのテーマを論じる場合、今日的水準からすれば当然参照すべきいくつかの重要文献が「無視」されているのだ。「研究」である以上、意見を排すのならば、俎上にあげて批判する必要があるだろう。近年のものにまで目配りが言っていないかと思えば、歴史領域などでは、ごく最近の文献まで言及があるので、そうともいえない。こうした叙述スタイルを綜合した時、折角「強さ」という、従来の太宰治研究では見過ごされてきた主題をたてながらも、この書物は「研究」としてのアピール難によって、その価値を自ら減じてしまっているのだ。(そしてもちろん、この程度では「批評」たりえないのだし)

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紙の本

評論として読むべき

2008/12/26 16:29

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:篤姫・西郷・大久保 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 和泉書院という国文学関係の老舗出版から出た本であるが、研究書というよりも評論として読むべき本という感じがする。なぜかというと、研究書という専門性を超えて、もっと多くの読者向けに書かれているからである。サブタイトルの「太宰を誤解している全ての人に」もその訴えの一環である。
特に1章の太宰の強さの二方向からの解釈は、一般読者にも身近に感じられる内容となっている(実際、そういう語りかけが文中に見られる)。2章と3章の転向期、戦争期のアプローチは、歴史的背景を意識した厚みのある叙述となっている。このあたりは著者の史学科卒と言う経歴から来るものであろうが、歴史好きのファンにも読み応えのある部分である。4章以降は雑誌に既発表の作品論であるが、このあたりにも既存の研究史に対する挑戦意識、読みの甘い研究者への痛烈な批判も現れており、単なる研究書以上の人間味溢れる叙述となっている。
 この書全体から言えることであるが、太宰治という一筋縄では解釈しきれない難物作家を、その著作から見られる強靭な作家的精神の連続性並びに、周辺の作家たちの動向(特に、制限の多かった戦争期の活動を比較対照している)をも視野に入れることによって、単なる太宰論と言う以上に、転向期から戦争期の文学論と言ってよいような、大作に仕上がっている。別の書評子が言うような、欠点を欠点と認めてもなお、期待して読まれて然るべき、問題作と言ってよかろう。

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紙の本

研究としてのアピール(難)

2008/01/02 08:57

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

サブタイトルにもあらわれているように、この書物は、太宰治という作家にまつわる「弱さ」というイメージを払拭し、むしろ「強さ」をこそ読み取るべきだ、ということをそれこそ強く打ち出した明快なコンセプトをもつ。ただ惜しむらくは、そのアピールが、研究としての体裁をとっていない恨みが残った。(出版社と、記述のスタイルから、この書物を「研究」ではないというのは難しいと思う)たとえばこういうことだ。研究として何かしらのアピールをするには、先行研究という先人の成果を正しく検証し、その手続きの上にたって、何かを発言する必要がある。ところが、この書物では、先行研究へのリサーチが実に散漫なのである。ごくごく偏ったものにばかり言及が集中し、そのテーマを論じる場合、今日的水準からすれば当然参照すべきいくつかの重要文献が「無視」されているのだ。「研究」である以上、意見を排すのならば、俎上にあげて批判する必要があるだろう。近年のものにまで目配りが言っていないかと思えば、歴史領域などでは、ごく最近の文献まで言及があるので、そうともいえない。こうした叙述スタイルを綜合した時、折角「強さ」という、従来の太宰治研究では見過ごされてきた主題をたてながらも、この書物は「研究」としてのアピール難によって、その価値を自ら減じてしまっているのだ。(そしてもちろん、この程度では「批評」たりえないのだし)

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