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怖い話は苦手だけれど、これは時代が現代ではないので読めました。
書き手によって、こんなにいろんな怪談が出来上がるとは。
私的には一番最後が一番怖かったです。
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岩井志麻子 『溺死者の薔薇園』
恩田陸 『一千一秒殺人事件』
花衣沙久羅 『一節切』
加門七海 『左右衛門の夜』
島村洋子 『紅差し太夫』
霜島ケイ 『婆娑羅』
藤水名子 『ついてくる』
藤木稟 『水神』
森奈津子 『長屋の幽霊』
山崎洋子 『長虫』
アンソロジーのいいところは
知らない作家を発掘できるってとこ。
この作品でも単独で読んでみようと思った作家を発見。
これは本当に美味しい(p^_^q)
この本を購入したきっかけは恩田陸さんが入ってたから。
今回のは、さすがに違和感があったんだけど
稲垣足穂のオマージュ作品というから、知らない作家の
オマージュともなれば違和感があってもしかたないか・・・
アンソロジーって作家の書き方に慣れたところで
話が終わるってのが多いんだけど
これはすんなり入れました。
怪談と言っても怖くはないです。
どちらかといえば幻想的な作品が多いのかな?
ホラー苦手な人でも大丈夫だと思いますよ・・・
最後の『長虫』は、某恐怖映画を思い出しましたけど・・・
想像の翼を思いっきり広げて楽しんでください♪
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女性作家による怪談アンソロジー。
怪談というのは語りの文学。その語り口が魅力。そこがホラーと似て非なるところなのでしょうな。
また、怖いだけでなく美しさを秘めている、映像的にも情感的にも。それを堪能しました。
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短編集。怖いという感じではなかった。昔話的な。溺死者の薔薇園と一節切と紅差し太夫と水神は良かった。婆娑羅と長虫も割と良かった。唯一怖かったのは水神。最後が長虫で終わったのでちょっと後味が悪い。(20090315)
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2009/10/14.
文字通り怪談集。怪談だからか一昔前の話ばかり。
日本昔話のちょっと大人バージョンを読んでいるような。
印象深かったのは
「溺死者の薔薇園」
美しかった。
「長虫」
昔なかよしのふろくでついてきた別冊漫画を思い出した。怖い。しかも巧い。
恩田陸目当てで読んだんだけど、この二つだなぁ。恩田陸は作品としてはびみょう、オチは好みだった。なにが好みってあのどんでん返し具合でありちょっとした自分とのリンク。
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「よくある女流作家のホラー・アンソロジーか」と、あまり期待もせずに買ってみたが。あにはからんや、なかなか面白かった。
編纂時のコンセプトなのか、時代ものや、回想という形式で過去の物語を語るような形式となっている作品が大半で、各作品の質もそれなりに高い。タイトルの「花月夜」は大して関係ないようだが、見逃すには惜しい良質のアンソロジー。
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女性作家が描く、幻想と恐怖。
岩井志麻子
恩田陸
花衣沙久羅
加門七海
島村洋子
霧島ケイ
藤水名子
藤木稟
森奈津子
山崎洋子
アンソロジーの楽しみといえば、今まであったことなかった作家さまとの出会いにつきる。で、この本はなかなかマニアックな選択をしていて、そのせいなんだろうか、時代小説が多かった。
夜も真の闇がない現代だからこそ、古い時代の恐怖がさらに怖いと思うのかもしれない。
一切の光がない、もしくは光が小さい、というだけで、その闇を想像しただけで私は怖い。その闇の中に浮かび上がる、怨念とか情念とか、そういうものは妙に深く感じられて余計に怖い。きっと、今の光にあててしまうと、マジックのネタがばれるような白けたものになるのかもしれないけれど、そこは作家さまたちのテクニックで…。
ああ、恐怖小説というのはマジックみたいなものなんだろう。
ネタもパターンもある。ただ、それをどう華麗に鮮やかに鮮烈に見せるかということ。
この10作品は、どれも秀作です。
「美しく怖い」と帯にあるけど、もうそれが言い尽くしてる感じ。
一番に怖いのは人なんだけど、儚く美しいのも人なんだね。
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女性作家が幻想的に紡ぐ、恐怖と悲劇の競作集と銘打たれた短編集。
確かに「怪談」と銘打たれていて、解説でもそう書かれている通り、いわゆるホラーではなく、スプラッタでもなく、「怪談」です。
「和風で繊細で、時には美しくある恐怖が(以下略)」と解説されてます。それはわかるけど、なんでみんな、申し合わせたように現代を否定したんだろう。一番新しい時代設定でも昭和の戦後。古いと南北朝時代までさかのぼる。
「怪談」ってそうなのだろうか。編集者がそう説明したのかもしれないけれど、それじゃあまりにも解釈が狭過ぎやしないだろうか。
せっかくのアンソロジーなのにバラエティが無いのが残念。
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ホラー話、というか怪奇話というか…間くらい? のアンソロジー。
テーマがそれのせいなのか、時代を指定されているのか
江戸から明治、大正くらい? でした。
最初の方は、怖いというより不思議で終わっていたのですが
最後は…単なる妾さんに復讐してる普通の話かと思いきや。
そうなっている、と想像するだけで怖いです。
自業自得、という感じもしなくもないですが。
つばは自分に戻ってきます。
辻斬り大好き侍は、どうにかしたいと思っていても
悪循環にはまってますし…救いを求めても
無理な気がしますけど。
悔い改めたりしない、んですよね、やっぱり。
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怖いものは、突き詰めると綺麗だ。牡丹灯籠だってそうだし。怪異にはいつでも、悲しみとエロティシズムと、端正さがなくては成立しない。この世のものと思われぬ美しい怖いものにひと時拉し去られ、陶然となりたいから、怪談集は面白いのだ。
多くの方のレビュー通り、女性によるこのアンソロジーはその願望を思いのままに叶えてくれる。扱う時代が新しいと、リアルな殺人や情事が絡んでしまうかもしれない。それではダメなのだ。もし猥雑さが混じったなら、作品の香気が失われてしまう。それだから、昔のお話が多いのであって、お伽話めいたうろんさは、ここにはない。
うろんなのでなく、ここにあるのは夢幻とあやかし。常識で考えてはいけないのだ。相手は怪談だもの。なにもよく知っている現代に遊ばなくても、いにしえまでちょっとひと跳びする方が、こちらも夢の見甲斐があると思うのだが。
気に入ったのは、岩井志麻子さんの「溺死者の薔薇園」。裕福な家の少女たちが、父によって妾の子である異母妹と引き合わされる。美しい薔薇園で遊んだはずなのに、水葬でもしたように異母妹は忽然と消えた。それは事故?父による隠蔽のための殺害?いや、それとも女たちの怨念が少女を消したのか―?このアンソロジーの雰囲気を代表する佳篇であった。
「一節切」の花衣沙久羅さんは、少女小説出身だがそれをいい意味で力にした感じ。人形に呪われ、散った少女たちの心には、どこか驕慢さと、健康的な過去への別れが同居する。大人になろうとする彼女たちに置き去られた人形にはそんな別れは理解できない。だって刻は止まったままなのだもの。
「左右衛門の夜」 加門七海さんは。初めて読んだ。女を殺し、恋で蕩かせて捨て続けてきた男が迷い込んだ荒れ屋敷には、美しい蝶を心の形見にした女がいた―。正直、これが一番面白かったかな。他も読みたい。ひどい男なのだ、この主人公。破落戸という言葉がピッタリで。でも、歌舞伎の色悪みたいで、格好いい。
嫌いになれない何かがあって、女も実際には姿を見せないのにその面輪まで描けるくらいだった。必死で逃げる男が、救いの灯りと見紛うたのが仏壇の灯明というのが総毛立つほど怖い。命運尽きた、とこちらも一緒に思う感じ。雨月物語みたいに、庭とか屋敷の描写がしっかりしているのがこの作品の異界感を強く支えている。
「紅差し太夫」島村洋子さん。堅気な職人のからくり作りの青年が、花魁東雲太夫をモデルに人形を作ったが―。この方は関西のご出身だったかな?やはり少女小説でデビューされたけれど、恋愛エッセイや女性向け小説の名手であられる。どこか上方歌舞伎のような、町人の気息が活写されているのが時代小説らしくてとてもいい。
完璧な作品の犠牲になって花魁は死んだのか。惚れ抜いていっそ思い通りにならぬなら、人形にその姿を写し取り、独りだけのものにしようと思ったのか。真相ははっきりしない。だけど、思いつめた究極の世界を、ちらりと覗くような色香のある作品で、素晴らしかった。人形浄瑠璃か、歌舞伎で観たい作品だ。
ここに挙げなかったどの作品も、とても面白くて、どこかに同じ通底した土の匂いや、古い建物の香りや、なにかありそうな空気があって、面白かった。
お目当ては藤水名子さんだったのだけど、今ひとつ物足らなかったのは残念。それはこちらが期待しすぎなだけなんだけどね。でもあえて、華のある話じゃないものを選んだあたりは、この方のプロとしての力だと思うのだ。殺した人々がひたひたと、騒然とついてくる、なんて確かに怖い。でも何か、何かが足らない気がして。頑張ってほしい、大好きだから。
この本に他の方はどんな感想を持たれるのか是非知りたいものだ。
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女性作家さんたちによる短編怪談集。女性が書かれたものだからか、女の嫉妬・怨みを題材にした話が印象に残った。