紙の本
凄いか、っていわれると、さほどではない気がします。どれも誰かが既に書いているような・・・でも、きっと気のせい、だって「お夏 清十郎」なんてなかなかのもの。でも、オチがはっきりしすぐりお話は、イマイチかな
2008/01/19 23:26
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
星雲賞受賞の表題作他、代表作『永遠の森』以前に発表された8篇を収める初期作品集だそうです。菅は好きな作家ですが、どうもSF作品については理解できないところがあります。まず代表作『永遠の森』に心動かされなかったのが大きい。むしろミステリタッチのほうが分りやすい。おまけに初期作品だし、高校在学中の作品まである。
そういう私自身の傾向から、不安だったんです、楽しめるのだろうか?って。少なくとも、カバーイラストは合格。菅作品にピッタリ。何より清潔な可愛らしさがいい。菊池 健担当。カバーデザインはハヤカワ・デザイン。カバー後の案内文は
新作アニメ「ダグリアンサーガ」
のキャラコンテストで最優秀賞を
受賞した靖子。彼女のもとに送ら
れてきた村娘アーダのフィギュア
は、最新テクノロジーで自在に動
き、設定に応じた感情まで持って
いたが・・・・・・。少女とフィギュアの
優しく切ない交流を描き星雲賞を
受賞した表題作、高校在学中に発
表されたデビュー作「ブルー・フ
ライト」、文庫初収録のファンタ
ジイ「月かげの古謡」など、初期
傑作8編を収録した待望の作品集
です。各話を初出と合わせて簡単に紹介しましょう。
・雨の檻 〈SFマガジン〉1991年4月号:世代型の移民船に乗って何百年もかけて新しい地球を見つける旅をしているシノと彼女のために作られた感情型人工物フィー。シノのお守役でもあったフィーが徐々に狂い始めて・・・
・カーマイン・レッド 〈SFアドベンチャー〉1991年4月号:辺境のスカラッチ美術専門学校で不安定な精神状態にあった僕が出会ったのは、教育委員会が絵かきの一員にしたがっている自動人形ピイ。教師のタグロット先生はピイにつらくあたって・・・
・セピアの迷彩 〈SFマガジン〉1992年4月号:クローンの良美・ミルザップのもとに、彼女に身勝手な要求を突きつけて去っていったオリジナルの三好智子が現れた。しかも新しい恋人ドリュー・ウェイアンドとともに・・・
・そばかすのフィギュア 〈SFマガジン〉1992年8月号:富田靖子と山下、近藤の三人組はシナリオのコンテストの商品として三体のフィギュア、アーダとコリン、ガル王子をもらった。コリン姫に恋するガル、ガルに想いを寄せるそばかす少女のアーダというのがシナリオの設定だが・・・
・カトレアの真実 〈SFアドベンチャー〉1992年1月号:例の病気に掛かっている私が愛しているのは、病んだ女が好きだという冷酷な男、そんな彼がレイミと付き合うと・・・
・お夏 清十郎 『雨の檻』への書き下ろし:白扇流の若い家元で時遡能力を持つ白扇奈月は今も亡き芙月のことが忘れられない。そんな奈月のもとに次期家元と目される16歳の夢月こと花山俊子があらわれて・・・
・ブルー・フライト 〈SF宝石〉1981年4月号:菅、17歳の時発表されたデビュー作。試験管ベビー(T・T・B)たちに負わされた親たちの身勝手な思い入れに、アヤとジェニーは・・・
・月かげの古謡 〈グリフォン〉1993年夏号:父親に認められたくて宝捜しにでかける領主の息子は・・・
解説/香月祥宏
となっています。心配をよそに、どの話も楽しめたのですが、今風としては「そばかすのフィギュア」が一番かもしれません。フィギュアそのものも、掲載時から15年経った今では当たり前の存在になってしまいましたし、アマチュアの投稿というのも常態化しています。ロボットも身近になって、SF的な部分は少なくなっていますが、小説の部分が光っているの今後も読み継がれるでしょう。
じっくり読ませる、という点では「お夏 清十郎」。やはり和ものというのは、しっとりとした情感があっていいです。文章も濃密で、頭を使いながら読まないと、状況が見えない可能性もあります。でも、好きなお話。「雨の檻」「カーマイン・レッド」も最後に腑に落ちる、その部分が悪くはありません。
その点、「セピアの迷彩」「カトレアの真実」「ブルーフライト」は落ちる。「月かげの古謡」は、あまりにファンタジー色が強くて、菅らしさを感じないというか。とりあえず、呼んで圧倒される才能は、この文庫からは感じられません。とりあえず、読んで損はしないけれど、得もないかな・・・
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良くも悪くも女流作家王道的な印象が残るSF短編集。それぞれ設定がまったく違う話ばかりなので、一気に読むにはテンポが悪いかも。
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せつないSF短編集。
宇宙船が出てきてドンパチやるのがSFではない。
こういう感情の細やかな機微まで描いてる小品たちを読んでいると、SFというジャンルに対するイメージが変わりました。
最新技術によって、動き・話し・感情も持つフィギュア。
そんな彼らの恋と人間との交流を描いた表題作は、とても印象に残りました。
いじめられっ子の少年と人間型ロボットの出会いと別れを描いた「カーマインレッド」も素晴らしい。ラストに胸を打たれる…。
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著者の短編集『雨の檻』に1作加わり8編となった初期短編集。
「雨の檻」・・・細菌に勝てない体を持ち世代宇宙船で生まれたシノは、ずっと無菌室に閉じこめられたまま感情型ロボットのフィーと過ごす日々を送っていた。その生活は単調で、両親とも直接ではなく立体映像を通してしか会話もできず、さらに数少ない変化を見せてくれていた映像窓も何年も前から雨しか映さなくなっていた。
そんなある時、立体映像で会話していたパパの画像が突然乱れる・・・、そしてその日を境に宇宙船、フィー、制御を司る中枢とシノを取り巻く環境に狂いが生じはじめ・・・
「セピアの迷彩」・・・智子は恋人ネッドを交通事故で失った、しかし彼はクローン技術によって再生され、赤ん坊から新たな人生を始めていた。それを知った智子は、もう一度出会えたなら彼はまた自分を好きになると信じて自らのクローンを残すことを決意する。その資格を得るため亜光速実験船に乗って・・・。
一方、そんな智子のクローンとして生まれた良美は、智子の身勝手な都合と執念とも言える想いによって苦しんでいた。そして25歳になったある日、二人は出会う・・・
「雨の檻」のラストは捻りがあって良かった、どれも切ない話でSFとはいえ多くの人が抵抗なく読めるのではないかと思えた作品集。
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表題作がとてもよかった。二人の女の子が無垢で可愛い。
ピィの話の男の子二人組みの話もよかったです。鮮やかだった。
もっと一つ一つのお話が、長く細やかに語られればいいのにと思いました。
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前も菅さん別作品読了時に思ったんだけど、自分が求めているSFと微妙に微妙に違うんだなあというのが本音。この中で表題作は良く出来ているのだけれど、人形モチーフに私が興味が薄いのでこれすら・・・。どちらかと言うと、「雨の檻」のラストの方が好きかなあ。「月かげの古謡」になると完全にこれがファンタジー色がプラスされるのでますますううむううむ・・・・
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菅浩江『そばかすのフィギュア』読了。8篇を収録した短篇集。面白かった。孤独な主人公の痛みや傷に向けられる視線が優しくて切ない。つД`)・゚・。
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SFとファンタジーの入り混じった、不思議な雰囲気の短編集。
病気を理由に移民船の一角に閉じ込められて、たったひとり、変化のない毎日を過ごす少女。悲恋の行方を自分のクローンにたくす女性。意識だけで時をさかのぼる特殊能力をもち、失われた伝統芸能をその目に見て復活させる使命を持ち、繰りかえし過去に飛ぶ女性……切なく美しく、どこか優しい8編の短編。
収録されている作品のなかでは、『カーマイン・レッド』がいちばん好きだったなあ。人間によく似た自動人形の少年・ピィ。無体な扱いを受けてもそれを当然と受け入れ、感情というものを理解できないでいる彼の、機械のこころ。切ないです。
あと少女。少女に萌ゆる! 少女好きの方ならきっとこれ好き!(なんだその紹介のしかた……)
菅さんって、むかーし『ゲッツェンディーナー』と『メルサスの少年』を読んだような記憶があって(そうとう昔なせいで、うろおぼえですが)、なんだか主人公がものすごい大変な目にあっていて、読んでいてすごくしんどかったんだけど、でも面白くて、読み終えてすごい感動したような覚えがあります。
あと、いま著作リストを確認していて気づいたんですけど、私たぶん、小学校中学年くらいのときに『オルディコスの三使徒』も読んでる。あれって菅さんの本だったんだ。なんか当時の自分のアタマには、難しかったような気がするんだよなー。いま読んだら面白いかもなあ。
今回は友達から借りて読んだのですが、またそのうちほかの本も探してみようと思います。
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初期短編集。移民宇宙船やクローン、機械人形などが出て来て世界観的にはSFなのですが、内容は青春ものだったり恋愛ものだったりミステリだったりホラーだったり。SFって懐が大きいんだなあと改めて実感。ドロリとした怖さが底に秘めていたり、冷たい寂寥感が漂っていたりともの悲しい作品が多かったです。
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初・菅浩江。短篇集なせいかライトなものが多くて読みやすかった反面、あまり心に残るものもなかったような。
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8つの短編小説。切ないけど、優しい話ばかりだった。
「お夏 清十郎」は、時間飛行ができる日舞の家元・奈月のお話。
過去へ行って、当時の名演を見聞きし、受け継いでいくために時間飛行を繰り返す。しかし、時間を超えることはまだまだ研究途中で、彼女の体に大きな負担をかけてしまう。自分が満足に踊れなくなってしまっても時間飛行を繰り返す奈月。その理由は、時間の狭間にいる清十郎に会うためだった。
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星雲賞を受賞した表題作「そばかすのフィギュア」、デビュー作「ブルーフライト」など、八篇の初期作品を集めた珠玉の短編集。
もの悲しくも美しい物語をお楽しみください。
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短編集なんだけど、やや珠玉混合な印象。というか、好みの分かれるくらいのバリエーションがある印象かな。
表題にもなっている「そばかすのフィギュア」はじんわりくる切なさがいいと思う。
最終話の「月かげの古謡」もややありがちだけど、いいと思う。
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ジャケ買いだよ!!菊池健だし。
どうにも菊池さん表紙だと、加納さん風のやさしい短編をイメージしてたんだが、少女は共通してたにしてもなかなかハードな内容のもあった。
けど、基調は一貫してせつなさがあったから、なかなか好きかも。どの短編でもしっかり世界が作り上げられて、気持ちよくストーリーが入ってきた。
博物館の方もよんでみたいな。
一番来たのは、「ブルーフライト」。
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SF風味の短編集。
オチが予測しやすい話かもしれないけれど、『雨の檻』が好き。
恋愛と絡めた話が多い気がする。そういう話は立て続けに読んでしまうと、印象が似かよってしまうので勿体ないことをした。