紙の本
お金は大事だよー
2008/01/19 21:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本の紹介を見ると、ありがちなストーリーと思われる方が多いでしょう。実際に読んでみれば、設定も、話の展開も、登場人物も、ありがちでした。でも面白かったです。通勤電車の中で読んでいて、危うく降車すべき駅を乗り過ごすところでした。
ありがちと言うことは、それだけ普遍性があると言うことで、書き手に筆力があればグイグイ読ませます。目の前に点滅する株板があるかのような臨場感で、主人公の焦り、絶望、興奮が、我がことのようでした。
主人公は、外車の敏腕ディーラーという表の顔と、ネット株のデイトレーダーという裏の顔を使い分けている矢部恭一。息子を事故で失って以来、家族は崩壊寸前で、恭一は愛人をはじめ誰にも心を許さず、ただ巨額の金を動かすことで、かろうじて生にしがみついています。
そんな彼がある日、見知らぬ男から持ちかけられた裏取引。
確実な儲け話だった筈が、事態は一転して、恭一は悪夢へ転がり落ちていきます、
億単位の損失が現実のものになるかもしれない。
追い詰められた状況でポルシェを走らせる恭一は、(疲れた、もう眠りたい)と、悪夢から逃れる誘惑にかられ、アクセルを限界まで踏み込みます。
けれど彼は、踏みとどまりました。
そこから物語は後半、協力者を得た恭一は、死に物狂いで闘います。
闘いが、単に恭一の損失回避に終始したならば、それは単に億の金が動くゲームで、読み手にとって「所詮、ひとごと」だったでしょう。でも彼の闘いは、もっと違う何かに変わっていくのです。
一人、恭一だけでなく、彼の家族、愛人、協力者といった、登場人物のそれぞれが、お金で手に入れることができるもの、できないものについて思い、自分の人生においての、譲れない一線、かけがえのないものを再認識しました。
ちょっと、人間関係がきれいに収まりすぎるきらいがあるのですが、お金ってなんだろうという問いかけには「お金なんかなくてもいい」的きれいごとでなく、きっちり現実を見据えたあたり、説得力がありました。
ネット株も良いけれど、FXを題材にしたこういう小説が出てこないでしょうか。指南書を何十冊読むより役に立つと思うのですが。
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息子を亡くした電車事故をきっかけに崩壊する家庭。
僅かな慰謝料にやけくそで株につっこむも大当たりをしてしまう主人公。空しさから逃げるべくデイトレードで順調に資産を増やす中インサイダー取引を持ちかけられる。
トレーディングの臨場感と合間に進む緊迫してゆく物語。
この人上手い!!
一気に引き込まれマス。
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どうも展開がマンガ的な気がしちゃうけど、株式市場という舞台装置をけっこううまく使いこなしていたと思うよ。
誰も悪くないのに壊れていく家庭。なぜこんなことに? 繰り返される、答えのない問いに、果たして答えはあるのか?
(2007/11/26)
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結構好きで金融関係の小説は読んでいるんですが、この本はそういった本の中では少し初心者向けのような気がします。登場人物が少しゆるい様な気がしますが、エンターティメントして割り切れば、楽しく読めます。
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「チーム・バチスタ〜」の後に読んだもんだから、余計素晴らしく感じるのかな。やはり、プロが書く文章は読みやすくのめりこみやすい。サスペンスというジャンルだからこそリズムとスピード感はとても大切だと思う。そこにプロの力量が現れるもんだなと感心した。個人的な関心とマッチした内容だから、前傾姿勢で最後まで一気読み。株という刹那的に価値や本質のようなものが変化してしまうものと、家族という長い時間をかけて熟成させていくものの対比がとても面白い。前者にのめりこんで、家族の関係はどんどん希薄になっていく。でも株に関わる失敗から家族を取り戻していく。なんか、株と家族がトレードオフの関係になっていて、金と愛情のような両極のものは交わらないと安直に感じてしまった。でも、とにかく株にしろ、家族にしろ日常にしろ、目の前の選択を繰り返して、行き着く場所があるというのは変わらないと思う。だからこそ、その選択には重圧がかかりスリルもあり、後悔と歓喜があるんだろう。そして、そこに関わる思いが愛情とか執着になっていくのだろうな、そう思った。少し派手な一面のある業界で働く人間として、大切なものを常に意識して歩いていきたいと思った。
071217読了
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最近増えている金融小説です。
著者はマンガの原作で有名なんだそうです。
僕はマンガのほうは知りませんでした。
サラリーマンの仮面をかぶったデイトレーダーが主人公で
妻のことには無関心、娘は中学生で家出、
いまの日本でありそうな設定です。
株式相場やオークションなどお金の絡みが出てきますが
時間に追われながら逆転をめざして進む展開は
サスペンス小説やスパイ小説のようです。
子供が事故で死ぬシーン、入院しているシーンで
不覚にもまた泣いてしまいました。
エンターテーメントとしてなかなかいい社会派小説です。
現代ニッポンに興味のある外国人が
翻訳で読んでもおもしろいでしょう。
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株の怖さを教えてくれる本。ストーリー性が強く、勉強本というよりは、読み物。でも、内容がおもしろいし、株についての基本的な知識も得られる。空売りはとても危険だとおもった。株で儲けて二重生活してる人って、本当にいるのかな?
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展開、リズム、内容ともおもしろい。
2007年に一度読んで以来、また読みたいと思っていた。
久しぶりに読んで、再度感動。
ハッピーエンドで終わるところも良かった。
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本屋をぶらぶらしていて何気なく手にした一冊。
トレーダーという言葉にあるように株式が絡んだお話。
わかりやすく軽快なテンポで話は進んでいく。
株式の臨場感はなかなかよく描かれており
これから株式を挑戦しようとするひとのみならず
リアルにトレードをしているひとにも楽しめそうだ。
主人公の裏の生活には恥ずかしながら激しい憧れを抱いてしまった。
よくよく考えればありそうにもない設定でもあったりするが
案外リアルに感じてしまうのは主人公に対する強い思いからだろうか。
証券市場の闇の部分ももしかしたら・・・?
と感じさせられたのはまさに作者の思う壺。
すっぽりとはまってしまいました。
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娘のぐれ方が昭和かと思ったけど、物語が進むにつれて現代風に。
割と伏線も回収していたりして、なかなか面白かった。
やるなキバヤシ。
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株の裏世界が垣間見える。金への執着からインサイダーすれすれで一攫千金を企む輩。デイトレードで短期に莫大な利益を挙げても電車事故で息子をうしなった心の隙間を埋めきれない矢部恭一が巻き込まれて行く金と欲望の狂気の世界。破産の危機から間一髪逃れ、電車事故の犯人逮捕から、再び家族の絆に気づく。空売りを始めてから株価暴騰.JRA買収の真の理由と首謀者が列車事故の犯人であることを暴き株価暴落.までの展開はスリリングだが最後がハッピーエンド過ぎるかも。
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結構達者なストーリーテラーだなぁ、と思ったら、金田一少年の事件簿の原作者だそうで。なるほど。電車事故で息子を失った悲しみで、慰謝料を半ば自暴自棄に株投資に注ぎ込んで大当たりしたことから二十生活が始まり・・・電車事故の原因がなんともやるせなかった。。
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株のインサイダー取引で一攫千金しようとしたものの大失敗であわや破産、さーどうする・・・というお話。
株の基礎っぽいことも解説があるので読みやすく、スリリングな展開で最後まで引っ張られたので満足な一冊。
ですが、一番ビックリなのは作者=キバヤシさんだったこと。
な、なんだってー。
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デイトレーダーが主人公の小説で新興バブルの頃が舞台。当時の雰囲気がリアルで、そうそうそんな雰囲気だったという感じ。今から考えると凄い時代だったなぁ。
株の売買をした事がある人は楽しめると思う。
ストーリーとしてはシンプルというか、予想通りに話が進むというか、良くも悪くもマンガ的…かな。
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離れていた点と点が次第に繋がっていく、そしてスピード感のある展開とスリリングなストーリー。素直にワクワクしながら読む事が出来た作品。株を題材にしているが、株式に対する知識がそこまでなくても、ストーリーだけでも十分に楽しめる(ただ、より楽しむためには株の基本知識は覚えておくとスリル感がより理解出来る)。どんなに順調であっても、少しの歯車のズレが大きく人生を変えていく事。金の持つ絶対的な力と落とし穴。家族、仕事、金・・・自分にとっては何が大切なのか、を強く考えさせられた作品。