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覚えてる度:★★★★★
ジャーナリスト・櫻井よしこさん著。
脳やウイルス、DNAなどをテーマに、科学の身近さ・面白さを紹介した本。
本来は政治や歴史が主戦場の彼女にとっては専門外の分野だと思うが、
その分野の識者に細かな取材をすることで、科学の魅力を十分に語れている。
以下、知って驚いたこと、印象に残っていることを箇条書きで。
・赤ちゃんは最初から母親を好きなのではない(最初はただの物体)
→愛情を持って接することで、「この人は自分にとって良い人だ」と思い、好きになる
・愛情を注がれていない赤ちゃんは表情がない(たまにいる!)
・脳が退屈な時ほど、時間は早く感じる(従来の考えとは逆!)。
・新しい環境に入った人は、脳に流れる血量が増える。
→ボケにくくなる
・教育は本当に大事(経験上、これは識者、いわゆる頭の良い人は必ず持っている考えだと思う)。
・難しい論文を書いたりしている時よりも、「読み・書き・そろばん(単純な計算)」などの基礎をしているときの方が脳は活発。
・教育の中でも、「国語、算数、理科、社会(特に歴史)」はめちゃくちゃ大事。
→この本では理科の面白さを伝えることを主眼に置いてる。個人的にも英語は二の次でこの4つをするべき。そういう意味では文部科学省のカリキュラムは、頭いい官僚が作ってるだけあって理に適ってる。
・お年寄りが子供たちに本を朗読してあげる画期的な計画
→声に出して読むことでお年寄りのボケ防止、子供達の教養UP、認知症減少による医療費削減。まさに一石三鳥!!
・ウイルスの中には、撲滅を図るのではなく、増殖を調整する方が効果的な種類もある
→ワクチン作ってもすぐ強化して効かなくなるから、増殖・進化を抑制し続ける
・遺伝子の設計図にはRNAとDNAがある(動物はDNA、ウイルスはRNA)
・DNAは2本のらせん構造で安定してるが、RNAは1本
→不安定なのですぐに変化してしまう(新型のウイルスに成長する理由)
・日本人は弥生人が来て以来、大規模な移民がない
→日本人の血は濃くなった(家族同士の子供みたいなケースの国版)
→血液はもちろん、中の赤血球や血小板、白血球(有害なものをやっつける)が似たものになる
→輸血時、白血球同士が似すぎてて、輸血をされた方の免疫機能が、した方の白血球が敵だと見破れない
→免疫機能をすり抜けた他人の白血球は、逆にされた方の細胞を敵とみなし、攻撃してしまう
→これが日本人特有の日本病(今は技術の発展でないらしい)
・日本病の弊害の裏で、臓器移植の際、拒絶反応が起こりにくいメリットもある(外国に比べて成功率が高い)
・アメリカは1981年、HIVの0号患者がガエタン・デュガという人物であることを特定(徹底的な聞き込み調査)
・HIVは現在、薬で増殖を抑える療法だが、肝臓疾患などの副作用もある
→DNAワクチンというものが研究中(DNAにワクチンを打ち込む)
・人類の祖先はアフリカ人の女性。(ホモ・サピエンス 北京、ジャワ、ネアンデルタールは滅びた!)
→���れは学者の間ではもはや当たり前のことになっている
第4章には、著者と2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏との対談が書かれているが、
正直これは専門的すぎて面白くなかった。
ただ、勉強を教える先生自身がその科目を好きなことは、子どもにとってもすごく重要なことっていう意見には納得。
全体的には本当に面白い。
科学の面白さを知ってほしい著者の気持ちが伝わってくるし、実際そう感じた。
文系の人にも理解しやすい文章だし、2〜3時間程度で読める程度の量なのでおすすめ。
はじめが専門外からスタートしたけど、
次は政治や歴史など、「本職」の櫻井さんの本をもっと読みたい。
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脳科学、細菌学、ウイルス学、BSE問題あるいは宇宙論と、
幅広く勉強されている様子がよく分かる。
著者の意外な一面を見た気がした。
つまるところ、マスコミにも問題があるが、
世の中の出来事に対して、相応の知識を持って
感情的にはならずに、理性的判断することが求められているのと思う。
その点は何度も強調されていたし読んでいて納得した。
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科学離れを煽る?よりも、純粋にご自身の興味あることをそのまま示した方が良かったような・・・。せっかく小柴先生と対談しているのだから、科学立国を憂うのではなく、ニュートリノ話だけを突っ込んでいただく方が面白い。
科学離れ?は本当なのか?興味ある若者がその道へすすめば良く、大きく心配することではないのでは?という議論もあるので、別のネタとして少し調べたい、と思う。
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自称・非科学人間の櫻井さんが、様々な事象を科学視点で分析、解説する。疑問符は幾つかあるが、それもまた櫻井さんの見方、と捉えれば興味深い。いずれにしても、「なぜ」を繰り返して脳を退屈させないことは大切。