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戦略の形成 支配者、国家、戦争 上 みんなのレビュー
- ウィリアムソン・マーレー (編著), マクレガー・ノックス (編著), アルヴィン・バーンスタイン (編著), 石津 朋之 (監訳), 永末 聡 (監訳), 歴史と戦争研究会 (訳)
- 税込価格:3,520円(32pt)
- 出版社:中央公論新社
- 発行年月:2007.11
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紙の本
国家の独特の戦略文化を形成する要因は何か?
2009/02/14 20:34
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
勝利を得るための戦略とはいかなるものか、を解説したものではない。むしろ、確実に勝利を獲得する普遍的な法則、原理原則などというものはない、といっている、ようである。「政治、イデオロギー、地理、文化といった要素が、国家の独特の戦略文化を形成するからである。単に戦略の内容を吟味することはもとより、戦略の形成におけるプロセス、そしてその戦略の形成に影響を与える多くの要素をも包括的に考察しようとする研究態度こそが重要なのである。」
したがって本書は、ペロポネス戦争におけるアテネの戦略から1991年までのアメリカの核時代の戦略まで、過去二四〇〇年にわたる幅広い歴史上の時代と政体の類型や社会情勢について、どのような要因がどのようにその戦略の形成に作用したのか、を扱った17編の事例研究の論文に、序章と終章を追加してまとめた研究書になっている。「本書の各論文は、1985年から86年にかけてアメリカ海軍大学で行われた戦略と政策に関する多くの有識者の公式および非公式の議論から生まれたものである。」
これらの論文を読むと、成功したと思われる過去の戦勝国の戦略形成過程においても、有効な戦略を打立てるのにどれだけの失敗と過誤を繰り返したきたのか、に驚く。戦略というものが、各時代と国家と民族の文化、思想、政治状況にいかに制約されるのか、それがよく解る。戦略を理解するいちばんの方法は、過去の戦史から戦略の原理原則を学ぶことと云われているが、それだけでは不足であり、戦略形成過程に影響を及ぼす要因についても考察することが大事である、ということが良く理解できた。「過去二四〇〇年に戦略を変化させ、また将来においても戦略を変化させると考えられるいくつかの要因を分析することは、現在、戦略家が直面している絶え間なく変化する状況を理解するための一つの手段となろう。」
戦略の原理原則に沿うように環境を整えることと、制約条件となる環境を考慮して臨機応変且つ柔軟に戦略を修正することの、兼ね合いが困難なのである。
紙の本
各国その時代における戦略の立案について
2009/02/02 22:37
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦略って言葉は、一言で定義するのは大変難しいです。
米軍の軍事演習で作戦の説明をする際、若い将校が戦術と戦略をいい間違えたのかと
発言中つまったりするぐらいです。
クラウゼヴィッツも戦略とはと説明する際、本編内では、すぱっと一文で書かれていましたが、
実は、(以下引用です)
戦略とは、戦争目的を達成するための戦闘の使用に関する規範である。 ...
戦略とは個々の戦闘を知的に活用し、持続可能な作戦行動に仕立て上げることだと
戦略とは新たな知の探究である
最高の戦略とは、非常に強い戦力を常に維持することである,,,,(以上引用)
などなど、色々そのときに応じて多岐にわたり、言い換えています。
それぐらい、捉えどころがなくつかみどころがないのが、戦略という言葉です。
最近では、純粋に軍事のみにあらず、経営戦略とか生き残り戦略とかまで使用されています。
一般的に、軍事の世界では、作戦<戦術<戦略となっていてより高い次元での戦争目的の思考法
までふくめて使用されます。
中国の軍師なんがいう"策"となるとその戦略よりもうちょっと上または、もっと包括的な
作戦、案件でしょうか?
戦略について私流にごく大雑把に簡単に言うと、
軍事又は、戦争、戦闘、戦い(又は、全てを含めて取り組み)を行う上での一番大きな、グランドデザインです。
大きく、大きく、こんな風に戦いを進めたい、こんな風にやっていきたい。
そういうものです。
本書は、その戦略と言うものを各国又は、その国の指導者が
どんな風にたてたのか、又、立てなければ、いけなかったのかを
アンソロジー風に共著で各国、その時代の状況から含めて大変詳しく紹介しています。
ギリシア時代から、中世を経て、近世、そして現在の核戦略まで、、。
詳しくって書きましたが、逆にいうと凄い、難しかった。
どうしてそんな戦略になったかということは、その時代、周りの状況すべて把握していないと
判らないわけで、詳しくなるのは、必定なのですが、訳文か原文が固い所為かもしれませんが
簡単に読み物としては、読めなかったです。それぐらい本格派の一冊でした。
内容としては、軍事というより世界史の分野にはいってくるわけですが、
各国それぞれのシビアな状況がヴィヴィッドに描かれています。
そして、結果としての勝利も敗北も必定であったかのように書かれています。
この辺が、歴史書としては、一つの史観のみで(しかも私たちがもうすでに知っている)
なにか物足りなさも感じるのですが、これは、歴史的事実をきちっと捉えている証拠でもあります。
本書は、読み物として気軽に読むには、少し、難しめですが、
軍事いや、戦略面からみた歴史書ともしても充分読める論文集といってもよいでしょう。
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