紙の本
ああ、はずかし、この人生。されどカッコヨシ。
2009/07/27 13:59
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人生、生きていればいいことも悪いことも半分半分、いやもしかしたら良いことなんて嫌なことのさらに半分もないのかもしれない。世の中には数えきれないほどの職業があり、一生縁がない職種がほとんどで、このせわしい世の中、自分のことで手一杯になっている私たちは、人それぞれに苦労があるように職種それぞれにも独特の苦労があるということを忘れがちだ。
どんな人だって喜怒哀楽をもち、どんな人生にも哀愁湛えるドラマがある。
これはそんな彼らの、もしかしたら私たち読者のうちの一人を描いた人生劇場、ほんのワンシーンを連ねた短編集である。
涙もろい上に笑い上戸で、娘の成長を空想することで必死にポーカーフェイスを守る葬儀屋。
特撮のレンジャーもののお兄さんに人知れず熱を上げる隠れファン専業主婦。
不登校になった息子とそのために引っ越してきた家族の、田舎暮らしのドタバタ劇。
腕に自信があるのに客も取材も入らない昔気質のすし屋の親父。
スローフードのいい加減な取材に本音を叫べずフラストレーションだらけの料理研究家。
スーパーの明日の陳列のネタを先取りせんと、TV局関係者のコネ取りに奔走する店長。
愛する妻と娘のためにXmasをサプライズせんとこそこそ奔走する寺の住職・・・
つまり、人にはおおっぴらに出来ないちょっとした、けれど本人にとってはものすごく重要な秘密をそれぞれ抱えている。
彼らはどれもありふれた、けれど全く関係のない職業で、抱える問題も全く違う。けれど、言ってみればその職種に、立場にあるまじき秘密を抱えていて、それでもなんとか頑張っていこうと必死になっているのには変わりない。
「みっともない」「いい年をして」「それでもお前は○○か!」
と世間様に後ろ指指されようとも人にはどうしても譲れないものがある。人には治せないこともあれば、どうしようもないこともある。 人間だもの(笑)
ああ、いじらしい!なんてかわいい! わかるわかる、そうなんだ!
そんなエールを送りたくなる、もしくは一緒に涙してみたくなるちょっとした、けれど重大な小さな事件がここにある。
彼らの思いは報われることもあれば悲しみに打ちひしがれることもある。円満に解決したり崩壊したり、人生色々、男も色々、女も色々、職業も、立場も、大人も子供もみんな色々・・・それぞれが他人(ヒト)知れぬ思いを込めて悶々と悩みながら生きている。きっとその先に進むことは必ずしも楽なことばかりではないし辛いことも多いけれど、それでも進めるのは哀しき「さよなら」があればその先に新しい「こんにちは」があるからだ。
彼らは可愛そうな自分を必死に隠す。顔で笑って心で泣いて、例えば家族のため、愛する恋人や友人、自分のプライドや大切ななにかのために。カッコいいじゃないか!
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短編集。荻原氏の魅力は各短編の随所に見られるが、やはり長編で読みたくなってしまう。 スーパーの話や戦隊ものファンの主婦の話、コミカルな動きが伝わってくるようでした。読後感ってやつでしょうか、それが秀逸だと思います。
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ちょっと物足りない感もあるけどよかったと思う。
こういう短編集は荻原浩に向いていると思うんだけど、これからも出さないのかな。
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普通の人々の、「うんうん、なかなか大変だよね。でもまぁこんなもんかもね」って短編集(笑)。
あ〜あ、とのんびり笑っちゃうような。
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やっぱり好きだなぁ…。笑っちゃうな。これは自分じゃん!と思ったり。羨ましいじゃん!この一生懸命さはと思ったり。痛いとこ突っついてくるけど、やっぱやさしいなぁ荻原浩。笑いながら目頭が熱くなります。
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スーパーの店員、主婦、おすし屋さん、葬儀屋さん…当たり前だけど、人の数だけその人の人生があって、物語があって、でもそういうことあんまし気にして生きていないけれど、荻原浩はもう!!!そういうこと気づかせてくれます。主人公だけじゃなくて、その周りの人たちまで生き生きとしていて、大変おもしろい。文章のすみずみまでユーモアが行き渡っていてくすりと笑える。
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一気に読める現代職業ストレス?〜元暴走族の葬儀屋・不登校児を抱える新規有機農業Iターン・TVの健康情報に振り回されるスーパー非生鮮食料係長・イケメン出演のヒーロー戦隊物・偽物グルメに振り回される鮨屋・忙しいスローライフ提唱者・お寺のクリスマス〜一番後に書いた物を一番最初に出してきた。古い物は途中に挟んで。今時の職に纏わる話を巧く纏めている。浩という名前の作家は多いが,この人は同い年,応援しよう
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さよなら、そしてこんにちは ビューティフルライフ スーパーマンの憂鬱 美獣戦隊ナイトレンジャー 寿し辰のいちばん長い日 スローライフ 長福寺のメリークリスマス 荻原浩/著.
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2008/01/21
む…タイミングが悪かった。短編集で人情物。これの前に北村作品読んでいるから。そちらのほうが好みだった。荻原作品は「神様から一言」「メリーゴーランド」あたりを読んでいるけれど、長編のほうがスピード感があって面白い気がするなあ。でもなんか一味足りない感じもするんだけど。
おまけ感想「明日の記憶」は映画で見ました(渡辺謙主演のやつ)。非常に良かったです。原作はぱらぱらっと流し読みしたけれど、あれは映画のほうが好き。
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リストラ・スローフード・健康情報番組・イケメンライダーなどなど
昨今のはやりものを題材に
それに振り回される人々の話。
ちょっと悪意を含んだ話がうまい。
〔図書館・初読・3/2読了〕
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テレビ番組の健康コーナーを日々チェックしながら仕入れに追われる、スーパーの食品売場責任者。若い妻と愛娘にクリスマス・パーティーをねだられる住職…。プロフェッショナルの悲哀を描く短編集。
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さらっーと読了。
どれも後口の好い作品だった。掲載作品のうちでは、タイトルにもなっている『さよなら、そしてこんにちは』と『ビューティフルライフ』が良かった。
北村裕花のイラストも好き。
作成日時 2007年12月09日 08:22
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サラリーマンとか主婦とか僧侶とかが独りよがりに追い詰められてつまらぬ弾け方をする話が7つ。せせこましくてイヤ。
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短編集。表題作の他に計7本収録。「長福寺のメリークリスマス」がすきだなあ。
レンジャーはちょっと身に覚えがありすぎた。笑。
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「さよなら、そしてこんにちは」「ビューティフルライフ」「スーパーマンの憂鬱」「美獣戦隊ナイトレンジャー」「寿し辰のいちばん長い日」「スローライフ」「長福寺のメリークリスマス」の7編を収録した短編集。
「さよなら・・・」⇒葬儀屋に勤める陽介の妻は今にも子供が生まれそうな勢い。だけど葬儀はいつ起こるかわからない。待ってくれないのだ。
以前に読んだ葬儀屋さんの物語、「ご愁傷さまです―俺たちは三途の川のツアーコンダクター/情 優志」を思い出させてくれました。
「ビューティフル・・・」⇒これは大勘違い野郎の父親と、夢見る夢子の母親に振り回される家族のお話。リストラされた父親は、昔から牧場経営に興味があったとか何とかと理由をつけてすごい田舎へ引っ越すことにした。そこで始まるエキサイティングでスリル満点のド田舎生活。なんてったって、熊が自宅周辺に現れる可能性がある生活だよ?私じゃ耐えられないかも。
他、萩原さんならではの風刺の効いた短編ばかりでさらっと読めました。