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若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か みんなのレビュー

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紙の本

団塊ジュニアを救うのは政治家の仕事である。

2008/01/24 11:03

22人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る

赤木智弘君への手紙

 『若者を見殺しにする国』を拝読しました。以下、読後感を書きます。
 結論から書くと、あなたの書いている事柄は、思想的な問題ではありません。徹頭徹尾政治的な問題です。要するにあなたは定職がない、時代が悪かったからだ――それがすべてです。フリーターの多いのは団塊ジュニア世代に集中的に見られる現象であり、就職期がバブル崩壊時代とかち合ったがためであるということですね。
 その点は、福島瑞穂に対してあなたが投げかけている言葉が正しい。代議士たる者、若者が陥っている苦境に対してお説教をするのではなく、政治でもって解決するよう努力すべきなんですよ。それをしないでいるのは福島氏を初めとする国会議員の怠慢である。そこはもっと大々的に訴えてもいいでしょう。
 実は本書を読んで私があなたに共感したのはそこだけです。徹頭徹尾政治的な問題だから、政治の分野で解決すべきことである、それでおしまい。
 それ以外のところについては、あなたの世代の感じているトラウマを表したものとして読ませていただきました。面白いけれど、必ずしも共感したわけではありません。むしろ批判的な印象を多く持ったというのが正直なところです。
 具体的に書きましょうか。まず、以前は左翼の建前論で言論活動をしていたあなたが、ある日気づいたら自分こそが弱者であるのに救われる手段がなかった。そこで自己本位になろうと決心をした。ここまではよろしい。ところが、です。本書ではあなたがなぜフリーターになったのかについて、必ずしも納得のいく説明がなされていません。一応簡単な経歴は書かれていますが、いったん就職したあとなぜフリーターになったのか――私に言わせればここが肝心要なところのはずですが――ちゃんとした説明がありません。
 おかしいんじゃないですか。自己本位になったのなら、自分がどういうわけでフリーターになったのか、それがいかに苛酷で恵まれない立場であるかを正確にしつこく書きつづるべきなんですよ。ところがあなたはそれをしていない。代わりにやっていることといえば、安易な世代論です。昔の世代は楽でよかった、就職が簡単でしかも順調に昇給した。ところが俺たちはバブル崩壊直後だったし雇用構造の変化もあってフリーターになっちまった。これは大人が悪いのである――本書の内容はそれだけですね。
 実に古い! 何でも悪いのは「大人」であり、自分たちは悪くない。これって、あなたが脱却したはずの建前だけの左翼とどこが違うのですか? 左翼の論理ってのは、要するに右翼が悪い、保守派が悪い、資本主義が悪い、金持ちが悪い、それだけですよ。あなたは左翼の建前論を卒業したように見えて、実は全然卒業していない。私が上で、これは思想の問題ではないと書いたのはそういう意味です。思想的に見て、あなたの本は取るに足らない出来である。それがあまり目立たないのは、左翼が金科玉条にしている平和主義だとか丸山真男を叩いた挑発性のためでしょう。
 昔は経済が右肩上がりだったからだれでも将来設計がしやすかった――あなたは本書で繰り返しそう書いている。本当にそうなんでしょうか? あなたは昔の方が今より少年犯罪は多かったという事実を統計的に示して、最近少年犯罪が増えているから子供はバス通学にすべきだという論理を批判しています。そこは私も同感です。しかし、であるなら、なぜ同じことが「大人」(あなたが本書で目の仇にしている大人です)にもあてはまることに気づかないのでしょう。
 昔の経済は右肩上がりだった、というのは結果論に過ぎない。現代から過去を振り返ってみればそう見えるだけの話です。その時代に生きている人間がそう確信して生きていたというのは、はっきり言って嘘ですね。未来がそんなに明瞭に見えるはずがない。昭和20年代や30年代は、今よりはるかに政治的な抗争が激しかった時代です。ソ連型の共産主義か、アメリカ型の自由主義か――これは今となっては決着がついているけれど、当時の左右両派の対立や論争はこの問いがどちらに転ぶか分からない中で行われたので、政治体制が将来どうなるのか、その中で自分のいるべき場所があるのか、という不安は今よりはるかに切実だったのです。
 加えて米ソ対立から核戦争や第三次世界大戦が起こるかもしれないという恐怖も大きかった。実際キューバ危機を見れば分かるように、戦後20年くらいは三度目の大戦の可能性はそれなりにあった。そして、ここは強調したいところですが、人々はそうした恐怖心を抱え未来に確信を持てないながらも、盲目的に働いていたのです。昭和三十年代はみんなが未来に明るい見通しを持っていた、なんてのは大嘘です。
 また、景気の浮沈はどんな時代にもあり、好景気なら二流の学歴でも一流企業に就職できるものが、不景気だと逆になったりもした。私も学生時代にオイルショックを経験していますから、先輩や他大学に行った高校時代の仲間の姿を見てそうした事情は嫌と言うほど実感しています。要するに時代による人生の運不運は誰も免れることはできないのであって、しかしまたそういう運不運を背負って生きていくのが人間である、ということなんですよ。
 したがって、団塊ジュニア世代の失業率の高さについては政治的な解決を求め、首尾よく就職できたら、あとは「大人」のように盲目的に働くのですね。自分の好きなことを職業にできる人間というのは昔も今もごく少数ですし、あなたがそういう範疇に入る人間だとは思えない。それは悪いことではないし、ましてや恥じる必要は毛頭ない。世の中の過半の人間はそうして一生を終えるのです。自分もそうなりたいと願うのは、きわめてまっとうな欲求なのですから。

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紙の本

右翼的メンタリティに抗して

2008/04/22 22:50

11人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、「現代の貧困」と題された『論座』の特集号に、「『丸山眞男』をひっぱたきたい──31歳、フリーター。希望は、戦争。」を書いて、一躍、ゼロ年代の旗手となった感のある赤木智弘の考えを、そうした考えに至る経緯や補足説明を交えてまとめた、果敢な状況介入の書である、と、ひとまずはいえる。デビュー論文は、内容もさることながら、秀逸なタイトルで多くの耳目を集め、様々な反響を呼びもしたものだが、少し時間をおいて等の論文も収められた本書を読んで気にかかることは、現代日本における言論の場における「右翼的メンタリティ」のアドバンテージである。本書を一読すれば明らかなように、貧乏くじ世代の「フリーター」として、構造的な搾取を体現させられながら20代を過ごさざるを得なかった赤木氏もまた、当初は、いわゆる「左派的なメンタリティ」をもち、ブログで良識的な現状批判を展開していたのだという。そこから、どのような条件や留保があるにせよ、「希望は、戦争。」と書き、一定の影響力と支持を得てしまうに至るまでの経過は、単に「転向」と呼んですむものではない。確かに、「良識的な大人」の欺瞞に満ちた言論を批判する赤木氏の舌鋒は、単に鋭いだけでなく説得的であり、客観的なものの見方として首肯すべき──少なくとも、「良識的な大人」の見解と等価である程度の価値はある──ものに違いない。だがしかし、赤木氏が「フリーター」として蓄積してきた思考の行き詰まりが、「右翼的メンタリティ」への展開によらずしては突破できないというそのこともまた、現代社会の構造的な力学によるものであることを見過ごすことはできないだろう。現代社会における「フリーター」の苦境も、赤木氏が戦争を希求せざるを得ない心境も、より大きな力学に構造的に支配されており、その意味で、言葉本来の思考ではなく、一種のプロパガンダに過ぎないとすらいえる。しかも、言葉本来の思考と呼び得るかもしれない左派的なメンタリティは、この国の言論の場で影響力を持ちにくい状況もまた続いているさなか、赤木氏がゼロ年代の旗手として、守旧的な勢力と矛先を一にしていく、この展開を助長するこの国の現代にはびこる構造的な力学、本書はそれを結果的に浮上させたという意味でメルクマールには違いなく、こうした現状を見直し、対象化した上で、果たしてどのような思考的闘争が展開できるのか、鍵はそこにかかっているだろう。

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2010/06/21 09:52

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2011/04/14 23:58

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2011/05/17 21:19

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