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世界が「フラット(平ら)」である、というのは、分かったようでいて、なかなか分かりにくい言葉ではある。筆者は、フラット化ということで、「これまでになく平等な力を持った人々が、接続し、遊び、結びつき、協力し合うことができるようになった」ということを言いたかった、と書いている。そういうことが出来るようになったのは、テクノロジーの発達、具体的にはIT技術の進展と、通信インフラの充実によるものである。具体的な事例として、筆者は、アップローディング・アウトソーシング・オフショアリング・サプライチェーン・インソーシング・インフォーミングといった事例、あるいは、モデルを取り上げている。アメリカの航空会社の設計を、IT技術と通信インフラの整備のおかげで、例えばインドの技術者に依頼出来るようになった、とか、そういう話であり、ビジネス(ばかりではないのだけれども)は、それを最も得意にしているand/or最もコスト効率の良い仕事の出来る人たちの協力によって行うことが出来るようになったよね、とか、そういうことを「フラット化」と呼んでいるのである。(我ながら分かりにくい説明だとは思うけれども、簡単に説明するのは、なかなか難しい現象ではあるのだ)今までそういうことは意識したことはなかったのだけれども、実際に自分がやっている仕事を考えて、なるほど、と思った。私が今やっている仕事は、タイの会社と合弁会社をつくってビジネスをやろうとしているのであるが、ビジネスをやるにあたっては、アメリカとオーストラリアの技術コンサルタント、香港ベースのフランス系の金融機関、日本やインドの機器メーカー、台湾のエンジニアリング会社、タイの会計事務所や法律事務所、等と日常的に接触を続けている。実際に出張に出かけてミーティングを持つことも多いが、接触は圧倒的に電話や電子メールの方が多く、例えば契約書を作成するのに、ワードを用いて修正記録付の双方の契約案をやりとりする、という仕事の仕方が主体である。たしかに、こういった仕事の仕方は、15年前には不可能だっただろうし、10年前には出来ただろうけれども、今ほどは効率が良くなかっただろう、そういうような仕事の仕方だ。今でもコミュニケーションに苦労がない、と言えば嘘になるが、それでも、相手の会社の国籍などは気にせず、その分野が得意で、かつ、出来る限りコスト的に有利な会社を探して、協業をしているな、と。なるほど、こういうのをフラット化というのであれば、確かに世界はフラット化しているな、と感じた。この上巻では、フラット化とはどういう現象のことを指し、フラット化を促したテクノロジーの進展とはどのようなものだったのか、という、フラット化の概念とそれが起こった原因について、を解説している。2分冊の下巻はまだ読んでいない。感想続きは、下巻を読んでから。
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一時期ヒットしただけに面白かったわ
特にIT業界にいるとフラット化・水平分業化を肌で感じる
今後はglobal+localのglocalが大事になるんだってさ
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次の世代の生活スタイルを創り上げることができるプラットフォームを生み出すことが、ビジネスの上で非常に重要。それは、不便さだけじゃなく、こんなスタイルがあったんだっていう気付きからくる。
今の先進国のミドル階級の人々の仕事は、猛烈な勢いで成長している発展途上国の優秀な人材に奪われる。それに対して、腐ってしまうか、そんな発展途上国の人々を新たな市場として受け入れ、次世代の仕事を創出するかで人生が一瞬で変わる。フラット化した世界は向上心のない人には厳しい世界。日本の大企業のような安穏とした職場に慣れているようでは、急速なフラット化に呑み込まれ、気付けば自分の仕事が海外の関連会社の人に奪われているなんてことが、其処彼処で起こり得る。
危機感を持たせてくれる極上の良著であると思う。
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ウェブの普及・発達及び社会インフラの整備に伴い、社会はフラット化し続けています。
日本・アメリカでの雑務を通信インフラによって直ちにインド、中国等の新興国に委託できる時代になりました。
すなわち、これは代替性のある仕事は、賃金の安い国へと移転することが容易になったことを意味します。
まさに今は、日々変転する情報社会の中で、個々人がどのように対応していくかが求められているといっても過言ではないと思います。
そのためには、必要な情報を収集する努力を怠らないと同時に、社会において求められている能力を洞察し、身につける努力を積み重ねることこそが必要だといえます。
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良質な危機感を与えてくれる一冊。今の時代を乗り切るために必要な人材は、共同作業まとめ役、合成役、説明役、てこ入れ役、適応者、グリーンピープル、パーソナライザー、数学好き、ローカライザー。
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[読んだ理由]==================
忘れた…。
[読んだ後の感想]==============
前半の例示が延々と続く部分は、ずっと読んでると飽きてくるので適当に斜め読みするくらいでよいかも。
後半はいろいろ新しい視点があって面白かった。
フラット化の要因は、ネットワーク化やワイヤレス化によって、人々が場所の制約に縛られなくなったこと。
フラット化の形態は、アウトソーシング、インソーシング、オフショアリングなど様々。
フラット化といっても、単純に市場の参加者が増えて既存の仕事の奪い合いが起こるだけではない。フラット化/効率化により、従来はなかった需要が新たに生じる。
[読書録]======================
■第一部:世界はいかにフラット化したか
□第一章:われわれが眠っているあいだに
仕事は、最も効果的かつ効率的に行われる場所で為される。それによって解放された人間と資本は、全く違う高度な仕事に振り向けることができるようになる。
また、最終生産物がよりやすく製造できるようになり、企業と消費者の両方に恩恵をもたらす。自分の仕事が「遠くへ行って」しまい、何善キロも離れたところで、年間1000ドル位かの賃金の人間がやると思うと、誰しもいい気持ちはしない。しかし、苦しみばかりではなくチャンスのことを考える時期だ。人はそれぞれ、自分の経済的な運命に適応しなければならない。
□第二章:世界をフラット化した10の力
HTML、HTTP、TCP/IP、XML、SOAPが偉大なのは、それによって、相互使用可能・相互接続可能になると、ソフトウェア会社が、消火栓の奪い合いをするのをやめて、効率的に放水できるホースや消防車を作るのに専念し始めたことだった。スタンダードが決まると、人間はやり方ではなく、それでできることの品質を高める方に注意を集中する。
ビジネスウェブは、中傷ビジネスに携わるものが、数年前だったら大企業しか手に入れられなかったようなビジネスツールを手に入れるのを簡単にした。
数十年前から行われていたオフショアリングは、アウトソーシングとは違う。アウトソーシングは社内でやっている特定の限定的な機能(研究、コールセンター、会計処理)を抜き出して、他社に全く同じ機能を果たさせ、その作業を戻して会社の全体的な業務に組み込む。オフショアリングはそれとは対照的で、工場をそのまま海外に移してしまう。
仕入先向けに販売・在庫データベースをオープンにしたことが、ウォルマートを今のような大企業に成長させた。「競合他社は販売情報を秘密にしていたが、ウォルマートは仕入先を対立する相手とは見ず、まるで相棒のように接近した」。ウォルマートはカンバン方式の在庫プログラムを発足させ、小売店と仕入先の両方の在庫維持費を軽減した。
フラットな世界にとってサプライチェーンは非常に重要。しかしどの企業にも、ウォルマートが確立したような規模と幅を持つ複雑でグローバルなサプライチェーン網を築く経済力があるわけではない。そこでうmられたのがインソーシング。世界がフラット化すると、小物でもでかいことができるようになった。
コンピュータ普及の最初の時代<グローバリゼーション2.0>には、人はオフィスで働いていた。大型のメインフレームコンピュータがあり、文字通りそこへ歩いて行って、メインフレームを管理する人間に情報を引き出すよう頼まなければならなかった。その後、パソコン、インターネット、電子メール、ノートパソコン、ブラウザ、クライアント・サーバのおかげで、ネットワークに保存されているあらゆる種類のデータや情報を自分の画面に呼び出すことができるようになった。この時代に鳴門、オフィスから離れて、自宅や海辺の別荘やホテルで仕事ができた。グローバリゼーション3.0の現在は、デジタル化、超小型化、バーチャル化、パーソナル化、ワイヤレスのおかげで、どんな場所からでも、どこへでも、音声やデータを処理、収集、送信できる。
我々は急速に「take me mobile」時代に突入している。情報、エンタテイメント、データ、ゲーム、株の相場といったコンテンツに消費者が料金を払うのは、いつでもどこでもアクセスできる場合に限られてくるだろう。
これまで以上に多くの人間が、多くの場所から、多くのやり方で、共同作業ができるようになるからだ。それがアウトソーシングを促進するのは、どの企業の部門も他社と共同作業がやりやすくなるからだ。それがインソーシングを促進する。
□第三章:三十の約束
□第四章:大規模な整理
経営者や株主や投資家は、どこから利益が上がろうと、どこで従業員を雇おうと、ほとんど無関心だというのは、冷然たる事実だろう。しかし企業の存続は強く求められる。一方政治家は、特定の場所で雇用を創出しなければならない。住民は、いい仕事がずっと家の近くにあることを願う。
■第二部:アメリカとフラット化する世界
□第五章:アメリカと自由貿易
労働塊説の最大の誤りは、発明されそうなものは発明され尽くしている、したがって経済競争はゼロサムゲームになるという根拠のない仮定に基づいていることがある。アウトソーシングやオフショアリングに端を発する大手企業の人員整理は、規模が大きいせいもあってマスコミに派手に取り上げられるが、大衆の知らないような中小企業では、五人、十人、二十人といった単位で、新たな仕事が創出されている。
世界に国が2つしか無いとする。アメリカと中国だ。アメリカ経済は100人、その内80人が高学歴の知識労働者、20人が低学歴の技術の低い労働者だとする。さて、世界がフラット化し、アメリカは中国と自由貿易協定を結ぶ。中国には1000人いるが、アメリカより遅れている。だから1000人位ても、高学歴の知識労働者はアメリカと同じ80人しかイない。後の920人は技術が低い労働者だ。自由貿易協定を結ぶ前のアメリカ世界には、知識労働者が80人しかイなかった。今は米中世界に160人いる。アメリカの知識労働者は競争が激しくなったと感じる。それは事実だ。しかし自分達が狙う獲物は、前よりもずっと拡大し、ずっと複雑になった市場なのだ。市場は100人から1100人に急増し、需要と様々な欲求もそれに連れて急増した。したがって、アメリカと中国の両国の知識労働者にとって損はない。
中国��済が世界に門戸を開放して改革を進めれば、中国の知識労働者の賃金は、アメリカ・世界レベルに上昇するだろう。一方、われわれの賃金は、壁で囲まれている抑圧経済のレベルに低下することはない。
世界はフラット化すると同時に上昇している。歴史の流れを展望すれば、貿易や通信が活発になった時代には、常に経済活動や生活水準に大きな向上が見られると分かる。
150年ほど前は、アメリカ人の90%が農業やその関連分野に従事し、馬の鍬を使い、手で収穫を取り入れていた。現在は農業の工業化によって、アメリカの時給若しくは輸出用の食料を生産する人口は、3%いかに減った。仮に政府がこうした手作業の農業を保護して助成金を出し、機械化とその後のコンピュータ化した農業を拒んでいたら、どうなっていただろう。
□第六章:無敵の民
グローバルな産業で働いていると、自分が生み出している価値や、貢献している独自の能力を示して、その仕事にふさわしいことを、毎日のように示さなければならない。それができないと、あっという間に仕事はどこかへ飛び去ってしまう。
異種のものをまとめる優秀な合成薬が増えると、管理者、ライター、教師、プロデューサー、エディターが必要になる。いずれも説明を得意としている。複雑なものを見て、わかりやすく説明するのだ。
世界は数学の新時代に移りつつ有る。数学者とコンピュータ科学者が手を組んで、ビジネスの新たな領域へと突き進み、数学の効能は否応なしに増大している。
グローバルな能力を身につけることを学んで、現地のコミュニティのニーズに適合させる中小企業向けのビジネスは、今後膨大に増えるだろう。これがグローバルのローカル化で、我々はまだその入口にいるにすぎない。今後、大量の仕事を創出する可能性を秘めている。
フリーランサーが、衛星アンテナ、DSL回線、ブラックベリーのPDA、パソコン、幾つかの新しいソフトウェアの使い道を覚え、寝室に居ながらにして、本や映画の編集者になったり、eベイの起業家になったりする。それがグローバルのローカル化だ。
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ちょっと内容が古ですが、そこがおもしろいです。現在との比較が簡単にできます。
ドコモのiモードを絶賛してますが、今は見る影もありません。アップルに関しては、ipodやitunesに少し言及してるだけです。携帯端末やクラウドはまったく予測不能でした。
こうして見ると、今からほんの3,4年先も社会や技術がどう変わっているか分らない。
いまこれを書いていて、下巻もある事を知りました。文中に第8章で説明します、みたいな事が書いてあって、8章ってどこ?、と思ってました。
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世界がインターネットによって1つになったとはよく耳にするけど、それを筆者の経験した具体例で説明してくれる。
いやはや、インドおそろしす。
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ICTの発達により世界がグローバル化し、世界はフラットに近づくという話。
物事を考える際のベースとなる範囲の話であり、かつ非常に洞察に富んでいるので、これ以降色々と疑問に気がつくようになった。
クルーグマンやゲマワットの主張も押さえて理解を深めたい。
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「フラットな世界には「代替可能な仕事と代替不可能な仕事の二つしかない」。簡単にデジタル化、オートメーション化、外国に移転できる仕事は、代替可能な仕事だ。フラットな世界の最も顕著な特徴の一つは、たくさんの仕事が代替可能になったことだ。ブルーカラーの工場労働だけではなく、ホワイトカラーのサービス業もそうなった。サービス業の労働者はこれまでになく増えているから、影響を受ける人間も多い。現実を見つめよう。どんな物事でも外国とやりとりできるようになりつつある世界で、われわれは暮らしているのだ。」面白い!狭い世界で生きてる危機感を感じるな。
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ITやその他技術の発展によって経済の仕組みが変わっていくらしい。多くの仕事が安くできるところに集約されていく。2008年に出版されたのでTPPについては言及されていないが、関税の壁がなくなると集約の速度が増しそうだ。本書は集約に負けない無敵の民を目指すことを勧めている。
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『フラット化する世界』という著書は、2006年に出版されたようです。
2008年には増補改訂版(上・下)、2010年には普及版(上・中・下)が出版されました。
今回読んだのは、増補改訂版です。
その内容は、インドから始まります。
インドのバンガロールという都市のIT化・グローバル化。
続いて、3分の1の住民が高校で日本語を学ぶ中国の大連。
ラスベガスから遠隔操作するイラクの危険地域上空を飛ぶ無人機。
ミズーリ州のマクドナルドのドライブスルーで注文を受ける人は、1500km離れたコールセンターにいる。
後半になると、社会学のような難しい記述になってくる。
パソコンの歴史や、インターネットの出現など。
旅客機を製造するボーイングのアウトソーシング。
グローバル化する世界でどのように生きていくべきか、など。
全6章のうち、個人的には1章と2章は興味を引く内容で参考になった。
『フラット化する世界』という著書は、2006年に出版されたようです。
2008年には増補改訂版(上・下)、2010年には普及版(上・中・下)が出版されました。
今回読んだのは、増補改訂版です。
その内容は、インドから始まります。
インドのバンガロールという都市のIT化・グローバル化。
続いて、3分の1の住民が高校で日本語を学ぶ中国の大連。
ラスベガスから遠隔操作するイラクの危険地域上空を飛ぶ無人機。
ミズーリ州のマクドナルドのドライブスルーで注文を受ける人は、1500km離れたコールセンターにいる。
後半になると、社会学のような難しい記述になってくる。
パソコンの歴史や、インターネットの出現など。
旅客機を製造するボーイングのアウトソーシング。
グローバル化する世界でどのように生きていくべきか、など。
全6章のうち、個人的には1章と2章は興味を引く内容で参考になった。
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大学生の時に買って、5年くらい積ん読されてた。
今読んでみると、目新しいものはないこと、
当時は売れていた本と考えると、良書だったのだなーと思う。
その時読んで、どう行動してきたかに寄ってこの本の価値は変わったんだローなー
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2017年度のお正月休みに、名著 フラット化する世界 増補改訂版(上) 経済の大転換と人間の未来 /トーマス・フリードマン(著者),伏見威蕃(著者) (トーマス・フリードマン著)を改めて読んでみた。2016年度のBRIEXITやトランプ政権の予期せぬ誕生で、所謂グローバリゼーションに対する反感や大衆迎合主義(ポピュリズム)が俄かに台頭してきている。年末年始の報道番組でも、この話題で持ち切りといった感がありますね!そんな折、実に約10年も前の2007年に世に出された著作「フラット化する世界」では、グローバリゼーションの深化による世界の均一化と、その先にある「分断」を見事なまでに描き切っていたのだなあと改めて感じることが出来た。
本著は、インドのバンガロールのインフォシス・テクノロジーズというという会社を訪問した際に見た、衝撃的な光景から始まっている。そこでは天井にテレビ会議用のカメラが取り付けてられており、壁の一面を巨大なスクリーンが覆った会議室で、ニューヨーク、ロンドン、サンフランシスコを生映像で結びながら、アウトソーシングの事業を365日、24時間体制で休むことなく実施している光景が繰り広げられていた。今や、インドに居ながらにして、米国の税務申告の業務までアウトソーシングで請け負うことも日常なのだという。
正に、コンピューターとインターネットの普及と技術の向上で、サービズ業まで国境を越えて世界中のどこにでも、より安く質の高い所へと流れていく。正に世界はどんどん「フラット化」してきている。著者は、この「フラット化」が急速に広まった要因を、1989年のベルリンの壁の崩壊に始まって、その後のITテクノロジーの深化を通じて詳しく分析している。そして、この流れは決して逆流することはなく、「自由貿易」という概念が、従前の「もの・こと」から「サービス業」にまで急速にグローバルに拡大しているのだという。この流れの中で生き残っていくには「無敵の民」になるしかないのだという。「無敵の民」とは「自分の仕事がアウトソーシング、デジタル化、オートメーション化されることがない人」の事を言う。この意味は、決して代えがたい高度な知識や技術を有するという意味だけではなく、例えば地域に根差したなくてはならない存在になることも意味している。著作で紹介されていた、大リーグの球場でレモネートを販売している売り子の例が非常に分かりやすい。
大衆迎合主義(ポピュリズム)の背景にある問題は、グローバル化によって「移民が大量に移動してきて安い賃金で仕事を奪っている」とか「NAFTAのよって安い賃金のメキシコに自動車産業の工場が移転している」などが背景にあるとの報道が目立っているけれど、本著で語られている「世界のフラット化」によってもたらされている「階級格差」といいましょうか?「フラット化」にうまく適合してきた者、適合できなかった者、といった格差がより深刻な課題なのではないかと改めて感じたのであります。
「世界がフラット化しても、壁を設けようとせず、これまで通り自由貿易の一般原則を貫く方が、アメリカの国全体として大きな利益が得られる」というのが著者の一貫した主張であると思う。第二部では「アメリカとフラット化する世界」の更に詳細な考察が続いていく。非常に興味深いテーマだと思うのであります!!!
【Dance1988の日記】
http://d.hatena.ne.jp/Dance1988/20170103
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ふ~む。
ベルリンの壁の崩壊に象徴される共産主義国家群の消滅と、新たな情報通信手段等の出現 (インターネット・グーグル・ウィキペディア等々) によって、世界が急速に一元化しつつある状況を詳細にレポートした本。
ただし、世界のフラット化といっても、それはあくまでアメリカが中心。未来の世界のイメージも、現在のアメリカの延長で、それに暗い影を投げかけているのがビンラディン一派というおおらかな世界把握の仕方は、まるで60年代の健全アメリカSFみたいで、それはそれでアメリカらしくていいんだけれども、しかしそこは非常に住みにくい世界になるだろう。
インドもアフリカもアラブも日本も中国も、つるつるでピカピカな世界の住民。
もちろん実際はそうはならないだろうけど。
「ウィキノミクス」 は同じ世界観に立ってマーケティングを論じた本だったが、けっこう退屈だった。本書は世界中で売れに売れただけあって (オビによると300万部)、たしかに読みやすい。ベストセラーにはこの軽さと明るさが必要なんだろうな。(本は分厚いけど)