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ちゃんと全部読めたぞ。と言う感想。
今まで「罪と罰」にせよ日本の夏目漱石にせよ、純文学系は最後まで読めたことが無かったのだが、小沢章友先生の勧めで再チャレンジ。私の読解力や忍耐力が上がったのか、本小説が読みやすい方だったのか。
町長の夫人とその子らの家庭教師との恋愛。その後、高貴な娘と立場を越えての恋愛。許されざる恋こそ盛り上がると言うことなのだろう。
最初は、背景を長々と説明読みづらい。家族・家柄が重要な時代だから事細かに書いているのか。
やはり、率直な感想としては、国も時代背景も違いすぎて感覚が分からない(ラテン語原文を訳したところが何だって言うのだ!)まあ、恋は盲目と言う事なのだろうかね。
最後の方は、よくもまあこの情熱を方向転換できるものだなと引く。
マチルド嬢のコロコロ変わる女心は、昔の経験が思い出されたりして、恋って苦々しくも良いよねとも思い、何かしらの示唆かなと思う箇所もあるが、結局は心に響かない。
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面白いけれども、恋愛が主題であり、ちょっと物足りなさもある。
後半の流れが支離滅裂だとサマセットモームは指摘していたけど、言われてみればそうかも。
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19世紀フランスの小説家・スタンダールの代表作の後半である。パリを代表する大貴族の知遇を得ることに成功し、社交界でそれなりに名前を知られるようになり、さらにはその大貴族の娘に求婚され、立身出世の会談を順調に歩んでいたジュリアン。ところがそんなある日、以前愛し合っていた夫人から届いた手紙がきっかけで、彼の運命は大きく狂い始める…。
この巻の読みどころは、ジュリアンに執拗に求婚する大貴族の娘である。ジュリアン相手に繰り広げられる恋愛の駆け引きは、ハラハラドキドキの展開でほほえましい。だがジュリアンが事件を起こして投獄されてからの彼女の動きは、はっきり言って狂気じみている。こんな行動をとられては、ジュリアンでなくてもひいてしまうだろう。最後の場面は、明らかに「サロメ」からヒントを得たに違いない。彼女は狂っているのか?イヤ、本当に狂ったのかも知れない。
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「恋と快楽に酔いながら、彼は我慢して口をきくまいとした。私に言わせれば、これこそは彼の性格でもっとも立派な点の一つである。自分をそこまで抑えられる人物は出世できるだろう、運命がそれを許すなら。」(下巻416頁)
翻訳者である野崎歓は、解説のなかで、主人公ジュリヤン・ソレルが作中で繰り返し「サンギュリエ singulier」と形容されていることに、注意を促している。このことばは、「特異な」「風変わりな」という異様さを表現すると同時に「単独の」「唯一の」個性といったポジティブな意味をもち、ジュリヤンはまさに二重の意味をもつ両義的な主人公なのだと評している(下巻603頁)。
私の育ちを同情するに足る部分を酌量しようともせずにhttps://booklog.jp/users/yutuki2tuki#、ひたすら私を罰したいと願う人たちがいることも私にはわかっています。そうすることで、下層階級に生まれ、いわば貧困によって虐げられながら、さいわい立派な教育を授けられて、金持ちたちが傲慢にも『社会〈ソシエテ〉』と呼んでいる社交界〈ソシエテ〉にあつかましく入りこもうとする若者たちを、とことん意気阻喪させてやろうと考えているのです。(下巻536頁)
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まさかの最後だった。
レナール夫人はあの手紙に書いたことを、真実として書いたのか、それとも・・・
主人公が穏やかな気分になれたことが、救いだと思った。
ナポレオン戦争に関する書物を読んで再読したい一冊。
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つわり中に読んだ。後半のお嬢ちゃんとの押し問答が若干メンドクセーって感じだったけど、最後さー主人公ないわ〜おじょうちゃんかわいそすぎるでしょ…お嬢ちゃんってあれね、お世話になった貴族の家のお嬢ちゃんね…名前忘れちゃった。さて今イギリスにおりますけど階級による差別の描写や会話内容の一部はかなり今に通じるものがある。この話フランスのではあるけど。
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(訳者解説から抜粋)
この本の表題、『赤と黒』の意味は様々な説がある。この2色に政治的、歴史的な意味があるという解釈が多くなされ、代表的なのは、「赤が軍服を、黒が僧服を表す」という説。そのほかにも、「共和主義・自由主義と宗教」の対比だとか、「情熱と死」の対比だとかいう説もあるが、いまだに真意は明確ではないのだそう。
また、上巻・下巻どちらの巻末にも英語で「To the happy few」というフレーズはスタンダールから読者へのメッセージであり、「最後まで付き合ってくださったあなたは幸福なる少数者なのですよ」という自負がみられる。
(感想)
我々の恋心、「こんな恋愛をしてみたい」という気持ちを刺激してくれる。
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家族には恵まれなかったけど、神学校の先生や侯爵、友人関係ではかなり幸運な人だったと思える。現代フランスでも40代の女性が1番魅力的と言われるだけあって年上のレナール夫人(ただし当時30歳前後)の方が侯爵令嬢より大分魅力的に描かれている。
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巻末の解説が充実しているので、フランス社会史的な部分もある小説を読み解く参考になった。
実際にあった事件をもとに小説を書くところは日本でいうと三島由紀夫さんのようなものか…。
自分のなかでは、赤は恋愛と血。
黒は社会的出世と死を意味しているように感じました。
前半がジュリアンが求めたもの。
後半がその結末。
ジュリアンのお相手として、前半は田舎の貴族である町長の奥さんであるレナール夫人、後半はパリの最高級貴族のマチルド嬢が登場するけれど、人間的に魅力的なのは断然キレっぷりが半端ないマチルド嬢だと思われます。
しかし、どちらも最終的にはジュリアンを通じて自分自身を愛しているように見え、若きジュリアンは彼女たちの人生の小道具でしかなかったように思いました。
ジュリアンにとっても同じでしょう。
結局は、自分自身がどう生きるか。
周りの環境、人物、社会のなかで、どう自分が満足できるのか、どう行動するのか、言葉は悪いけれど、どう利用していくのか、そこにどれだけのパワーを注げるかで人生は色々と変わっていくのだろうな…と思いました。
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なにやってんだか、この二人!という恋の駆け引き。こんどは伯爵令嬢のマチルド。「もうあなたなしでは生きていけない!」「ふん、なによ、平民のくせに。」この繰り返し。貴族っていうのは暇なのか?この人たちまだ20代前半。そんなものかもしれないが、ジュリヤンの野望はほぼ実現されつつある。ジュリヤンが何であんな事件を起こしたか、私はいまひとつピンとこないが、最後はみんながかわいそうでならなかった。「赤と黒」が服の色で社会的存在を現したというのは映画の影響の俗説だそうです。大作。古典は読んでみないとわからない良さがある
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とにかくめんどくさいやつらばっかり。本来だったら数十ページかけてやるだろうめんどくさい恋愛のあれこれが2ページくらいにぎゅぎゅっと濃縮されてどのページを見てもめんどくさい。名誉や義務のために人を好きになろうとする主人公のクズっぷり。義務のはずだったのに本気で好きになってたり、相手が自分を愛してないんじゃないかと不安になったかと思うと相手のことを軽蔑したりと登場人物全員が非常にめんどくさい。世の中の人はみんなこんな山の天気みたいな恋愛してんのか?でも悔しいことに愛の文句はまたこれ以上 なく熱烈。
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他の本を読むのも間に挟みながら、ようやく、ようやっと読み終わった…。読み切った自分を褒めたい笑。
子どもの時に「漫画で読む名作文学」的な本で読んだことあったが、その時は、ジュリアンの恋愛と出世の物語…というものだと思っていた。
それは物語の軸ではあるものの、小説で読んでみると、風刺画的な当時のフランスの情勢や貴族、市民の文化風俗がリアルに書かれていて、そっちが主題かなと思うほどだった。
上巻でもそうだったけど、そのせいで、ストーリーとして大事なところは簡単に書かれて、それ以外の時代の説明文やジュリアンの内心が長々と…。
この小説の価値は、表面的なストーリー(野心深く出世を目指したジュリアンが、レナール夫人とマチルドと恋愛をしながら、レナール夫人への殺人未遂により死刑を受ける…)というより、当時のフランスの政治や宗教を書き切ったことがすごいことなのだろうか。
それにしても、ジュリアンがレナール夫人を撃つところは、2行くらいだったか。
ジュリアンの死なんて、直接的記載はなかった。
事実の記載があっさりしすぎていて…。
ただ、マチルドがジュリアンの生首にキスするところは、漫画で読んだ強烈なグロテスクな印象よりも、さらっと書かれていて、むしろ爽やかで好感をもった。
キスも、口付けではなく額へのキスだったのね。
さらりと書かれた事実の中では、レナール夫人の最期が一番悲しかったかも。彼女こそ、どんなに苦しんで死んでいったのかと思うと、母として、同性として、悲しい気持ちになったのよ。
ジュリアンの女性に対する思いは、
レナール夫人に対する気持ちは「愛」。
マチルドに対する気持ちは「恋」だったのだろう。
マチルドの気まぐれに振り回されて苦しんで、でも美しい彼女から目が離せない…まさに恋の初期の感情だよね。
ジュリアンが貴族に教えられた通りに振る舞った結果、マチルドに不安や見捨てられる恐怖を感じさせ、マチルドの心を手に入れたところら、ジュリアンってすごく理性的な人なのね…と感心しました。
恋のさなかって、こういうこと言っては逆効果、こういうことやっては逆効果だと理解していても、感情や行動を抑えられない人が多いだろう。貴族からのアドバイスの通りに行動できるジュリアンは、理性的だし、それだけ出世のための行動が身についてしまっていたのか??
それにしては、ジュリアン突発的にかーっとなってレナール夫人殺しに行ったり、理性とはかけ離れたところもあるんだけどさ…。
マチルドとジュリアンは、生まれた家の格は全然違うけど、人間性は似てる。
ジュリアンもマチルドも、自分が周りからどう見られるか?どう評価されるか?ということを常に考えているんだよね。
レナール夫人のモデルは、著者のスタンダールの母とも言われているらしい。
スタンダールの母は、彼が7歳の時に33歳で亡くなっている。そういえばジュリアン自身の母も登場しなかったな。
ジュリアンがレナール夫人の手紙に激怒したのは、この手紙のせいで輝かしい将来が失われた!という思いもあるだろうけど、レナール夫人から裏切られた!という、絶対的に自分の味方であるはずの人からの裏切りに対する怒りだったのだと思う。
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下巻の後半は凄かった。
読んでいて思わず「えーっ!?なんで?嘘やん」って声が出る事、数回。あまりに劇的な展開の為、読む速度が加速した。エンタメ小説では?と思うぐらいだ。
ジュリヤンが、レナール夫人と別れた後、出会ったのが侯爵令嬢マチルダ。サロンの男達を従え、革新的な考えの持ち主。
ジュリヤンとマチルダ、
自尊心の高い者同士の駆け引きが、理解不能である。
うーん、恋なのか…?
ジュリヤンはレナール夫人の時と同じく、マチルダを落とす事に意義を感じていそう。マチルダも初めての恋に混乱し、言動が支離滅裂。でも、ラストに彼女が取った驚くべき行動により、ジュリヤンを本当に愛していたのでは?と感じさせられたり、王妃マルグリッタに自己投影しただけかもしれない、とも捉えられ、解釈が分かる。
レナール夫人のその後については、短い文章で書かれているだけなのに、だからこそ余計に悲しみを誘い、彼女の愛は本物だったと確信できた。
正反対の2人の女性から愛されたジュリヤン。激しすぎる人間であるがゆえに、自ら破滅へと向かう事になる。
彼の人生は一体、何だったのだろうか。
製材職人の息子に生まれ、金持ちを蔑み、成り上がろうとする野心にまみれる。一方で、頭脳明晰、美青年、周りの人に恵まれ、貴族社会の中で重宝される運も持つ。もっと上手く立ち回る事ができれば、十分に富と名声を得られただろうに、あまりにも不器用過ぎた。
ジュリヤンの人生にも赤(栄光)と黒(影)がある。
題名の持つ意味を読後にもう一度考えてみるが、
いろいろな捉え方ができそうだ。
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ミュージカルを見たので、原作を。
ソレルの内面が複雑かつ、揺れ動く様は、原作が圧巻。
どうしても単純な印象になってしまう舞台。
これを原作の魅力を活かして舞台化するのは、かなり難しいと思った。