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最後のひとりとなってしまったヴァーニー。
食べ物やお金があっても、誰かがいても、意識を通わせることがなければ、人は潰えてしまう。
しかしヴァーニーは、船で旅をし、残された世界中の図書館で新しい本を見つけ読むことが出来る。
このことが、最後のひとりに対する最後の唯一の希望だ。
声を発して会話はできなくとも、先人の記された言葉で思いを養うことができる。だから、もしヴァーニーがたった一人で死ぬことになっても、けっして見捨てられた孤独ではないのだ。「あなたのための物語」のサマンサ・ウォーカーのように。
この感想文の筆者は、全くの孤独でも明日死ぬのでもないが、今生きているうちに出来るだけの本を読んでおきたい。死ぬときに幸せであるために。そう思うのだ。
フランケンシュタインの作者、メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley)の作。
彼女は「フランケンシュタイン」「最後のひとり」以外にもたくさん著作があるのだが、主に訳されているのはこの2つだけ、日本語で読める伝記も少ないのが残念でならない。