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親会社の天下り人事が子会社をダメにする みんなのレビュー
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紙の本
タブー視されてきた「民の天下り」にメスを入れる
2008/09/15 20:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで「官の天下り」については厳しく批判されてきた。相変わらずの官僚バッシングだ。しかし「民の天下り」はタブー視され、おおっぴらに議論されることはなかった。本書は公然と日本経済を支えてきた大企業の天下りシステムのタブーに正面からメスを入れた本。
著者の二人の対談形式になっているが、佐伯氏は当の本人が天下りで子会社の社長になった方(現・神鋼電機会長)。当人だから天下りの問題点、弊害も分かる。しかし分からない人がほとんどらしい。天下りが成功した企業より失敗した企業の方が圧倒的に多いということがそれを表している。企業自体(社員も)への影響だけでなく、日本経済にもマイナスの影響があるのだから問題だ。天下り社長(または役員)が株主から預かった資本や従業員の労働力を非効率に使っていては背任行為だ。天下った本人の利益しか考えていない。
私には天下りとは官僚だけのものという思い込みがあったから、本書の内容は新鮮に感じられた。天下りを受け入れている企業の幹部や社員には切実な問題だろう。本書は企業改革のヒントになることだろう。
佐伯氏が天下った当時、その子会社は実質倒産に近い状態だったという。しかし社員の意識改革を強引にやった結果、一気に黒字化できたと言う。今では親会社に依存しない独立した会社となっている。本書では著者らが見た「民間版天下り」の実態が描かれ、天下り社長の佐伯氏自身が取り組んだ子会社の改革の成功談が語られている。
天下りの問題を自分のこととして捉えて改革に取り組んだからこそ、ダメな子会社を自立した企業に立て直すことができたのだろう。天下りトップがこうした意識の高い人なら天下られる側も幸せだが、そうでない場合はどうすべきだろう?座して死を待つのか?佐伯氏の場合はトップダウンで強引にやったが、きっとボトムアップのアプローチもあるはずだ。
当然、佐伯氏は今後も天下りを受け入れるつもりも、グループ会社に天下りさせるつもりもないようだ。連結経営が重視される今日では、天下りではなくグループ企業間の「横滑りの人事交流」もよいのではないかとも言っている。「親会社に人材が集中しすぎては社員同士が牽制し合い、もてる能力を出し切れていない可能性」があり、「有為な人材はグループ全体で平均的に活用する方が理にかな」う、というのはよく分かる。
人材は「人財」とも言われる。人材という資源の有効活用のためにも、民も官も天下り人事は廃止していくべきだ。国民全体がそういう意識を持てば、既得権益を守ろうとする一部の人々への監視の目も厳しくなり、悪しき慣習はなくしていけるだろう。
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