紙の本
愛と癒し・・・
2008/03/08 23:29
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:めるる - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ただ忘れられなくて」でフランシスの友人として登場したアンのお話です。
アンは、未婚で息子のデイヴィッドを生み、女学校で教師をしています。
ある日、世話になっている友人のホールミア侯爵に誘われて一ヶ月、ビューカッスル公爵所有の別荘に息子を連れて行くことになりました。
そこで、一人の男性に出会います。
シドナムは、別荘の管理人で、ハンサムな容貌をもちながら戦争により右半分は火傷の跡におおわれ、目には眼帯をしており、右腕を失っていました。アン彼を見ておもわず逃げ出してしまいます。
しかし、再会した二人は互いに友情を感じるようになっていきます。その友情が徐々に愛慕に変化していくのですが、お互い自分にそんな感情をもってくれる人がいるとは思っていなかったのです…。
体や心に傷を負った二人は、そんな環境の中でも必死に生きてきました。しかし、ふとした瞬間に孤独を感じていました。
ただの男女として惹かれ合う二人と、互いの存在により癒されていく二人の姿が丁寧に描かれています。
過去を乗り越えようとする二人の成長と、夫婦として互いを支えようとする姿に胸が温かくなります。
アンの家族との対面の場面では思わず涙ぐんでしまいました。
アンの息子とシドナムの関係も読みどころのひとつです。
大事件が起こる訳ではありませんが、過去と向き合う二人の心の葛藤、互いを思う過程が切ない気持ちを起こさせます。
最後のハッピーエンドで幸せな二人をみることができると、こっちまで幸せな気分になりました。
難点は登場人物が多く、簡単な関係図でもないと、ときに混乱させらたところでしょうか。
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Simply Love by Mary Balogh:
シドナム・バトラー
アン・ジュウェル
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シドナム・バトラーという重々しい名前が似つかわしい
右目、右腕がないヒーロー。
ヒロインは、一人で子供を育てなくてはならなくて
決して幸せとはいえない・・・。
そんな二人が出会い、惹かれていく。
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お互いにトラウマを抱えながら、結婚生活で愛し合うふたり。
バログのいいところは、結婚でめでたし、じゃなく結婚生活を通してじわじわ深まっていくところ。
そのかわり結婚式がみじめだったりするけど。笑
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それまでに読んでいたロマンス本に比べると、ヒーローとヒロインの過去が重すぎてビックリした。
でもそんな重い過去がある二人だからこそ、ロマンスが必要なんだろうととても感動した作品。
手篭めにされて未婚の母となったヒロインと戦争で体の半分を損なったヒーロー。二人とも何も悪くないのにアウトロー的存在で、世の中で小さくなって生きていくしかない。
そんな二人が惹かれあって、寄り添い愛し合う姿に感動する。
お互いの家族の描写とか、愛を交わす時の変化など、繊細なタッチで綴られているのが良いです。
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顔に傷荘園管理人 × シングルマザー教師
登場人物が多く、その誰を取っても1冊本が書けるのではというぐらい、濃い本でした。
ヒーローもヒロインもかなりつらい人生を送ってきたが、逆境に負けず、日々を最善のものにしようとする姿勢がすばらしい。
描写が丁寧で、読み終わった後もはっきりと頭の中に映像が残るほどの印象を残した。
出会って恋して結婚してメデタシメデタシとは行かないのが本当の人生。
ロマンス小説というより人間ドラマというべきかも。
何度も胸が締め付けられたが、それも含めてすばらしい本です。
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タイトルどおり、恋愛ものなのですが
言葉の一つ一つが綺麗で、うるうるしちゃいました。
抜粋すると、くさいとか照れちゃうとか思うかもしれませんが、その前後の文章もすごく綺麗で、作家さんも訳者さんも言葉を吟味しながら、文章にされていったんだろうな、気をつけているんだろうなと思います。
「物事の真の意味は奥深いところに隠れている、物事の真の意味はつねに美しい。だって、あふれるような愛があるんですもの」(自然の美、人の見た目について登場人物が語る台詞)
「人は自分の人生をまわりの状況に順応させ、たとえ一瞬の幸せであろうと、その幸せをつかまなくてはなりません。それができなければ、神の恩寵を受ける機会を逃すことになります。いまがまさに幸せな瞬間ですわ。いつまでも忘れません」
(散歩をしながら、不幸な過去の事件が話題になり、その後、今は幸せかという質問がでたときの台詞)
台詞も綺麗ですが、風景の描写もこれまた綺麗です。
舞台である土地を知らないのに、文章を読むと、自分の記憶の中のきれいな景色が呼び出され、頭の中で構築されて、自分も一緒に見てきたような気持ちになります。
ああ、本を読む楽しさの一つが、こうして旅する気持ちになることなんだって感じました。
お話自体は、不幸な過去をもつ男女が出会い、惹かれるというものなんですが、不幸ぶりがもう・・・・・・
この二人はそれぞれ何て勇気があるんだろうと思います。
男性は、貴族の家柄で、画家ですが、戦争に参加した軍人で、敵の拷問にあい、片腕と片目をなくします。体の半分は、切り刻まれ、焼かれただれて、子供が見て、怯える姿になってしまいます。
それでも新たな生き方をというので、貴族の領地の管財人として成功。
女性は、家庭教師をしている教え子を襲おうとする輩から、教え子を守るのですが、自分がレイプされてしまい妊娠・出産。婚約者に去られ、家族から見放され、一人で教師をしながら赤ちゃんを育てて9年。
どちらも深い傷を負っていますが、恨み辛みを遠ざけて、自立して、友情をはぐくむ、文字通り大人です。
派手なアクションもなければ、悪人もいない恋愛もので、そうそう。でてくる人も、敵役がいないのが印象的です。
ヒロインの家族も、実際会えば、苦悩し、決断し、その結果を抱えきれずまた悩む姿が描かれていて、気持ちのかけちがいの悲しさが出ています。
主人公たちは結ばれますが、この先がおとぎ話のようにめでたしめでたしだけでは済まないことが、お互いよく分かっています。
特に、女性の子供と義父としての関わり。
子供はいつか自分の出生を知ってしまうというのもあるでしょうし。
でも、これだけ語り合える二人だから、問題解決しながら乗り越えていって欲しいと願うのです。
何気に読んだけど、もしかしてシリーズなのかな?