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昨今の日本人の、弁護士アレルギーwを和らげてくれる信念の弁護士さん、今村核さんの著書。
昨年、亡くなってしまわれた。惜しい方は、短命で亡くなってしまう。
先日読んだ、今村さんの事を書いた”雪ぐ人”より、難しい。
前半は、実例を挙げて、説明してくださっているが、後半は同業を目指す?もしくは同業なりたて?の若年層に
向けた感じで、堅い専門用語が多く、ちょっと難しい。
最も、印象的だったのは、前書き。
引用した様に、儲からない弁護士であることを恥じる言葉だ。
弁護士以外の人間が、弁護士にこうあってほしいと思う様な弁護士さんなのに。
こういった事態を目にすると、資本主義自体が間違えたシステムなのではないかと思ってしまったりする。
後は、断れるということ。
今村さんは、時間が足りないということもあるけれど(えん罪は時間と労力がすさまじく、費用対効果が悪いそうな)、
ご自分が無罪だと信じられるケースを弁護している。
弁護士さんは、100%黒だろと思う残酷な犯罪者でも、量刑を減らしたり、弁護したりしなければならないのかと
因果な職業だと思っていたけれど、申し訳ないけれど受けれないと断れるのかと思った。
日本の現状の裁判制度の問題を知らしめたいと前書きであるが、よく考えると、裁判員制度がある国で、国民の殆どが裁判の仕組みを知らず、死刑決定もありえる裁判に参加しているというのは怖いことだと思った。
義務教育の間に、ダンスより教えておくべきではないかと思った。(今の子供は、ダンス以外に道徳などすべきことがたくさんあるとは思うけど)
そういう意味でも、読んでよかった。
怖かったのが、はめられた男という実例。
私が以前働いていた社員数1万を超える大企業。
みんなに給料いいでしょ?と言われながら、すごく安かったし、
業界的に夜中の3時まで勤務している部署もいた。。。
残業は時間を超えると調整され、翌月にまわすということを聞いたが、翌月に覚えてられたことはなかった。
私は幸い、基準時間を超えなかったが、部署内の残業時間を申請する業務も担当していて、
上司から命令されたが不愉快な気分で、本人にも訪ねたが、いいとのことだったので処理をしていた。
月数時間とはいえ、11時を超えて働くつらさを私も知っているので、嫌だった。
そんな会社には、労務局は来ない。。。
このはめられた男では、ブラックな建築会社の営業の部下を守るために戦っていた社員が、
邪魔に思った上司二名に、車を傷つける暴力を振るわれたと警察に言われたのだ。
結局、その時間にそこにいないというアリバイが証明されて、無罪放免となったのだが、怖い。
えん罪というより、そんな社員が働く会社が存在するという事実が怖かった。
最後に、財田川事件という事件にちらっと触れており、調べたら、
裁判官として立ち会った方が、えん罪だと思い、辞職をして弁護士として無罪を勝ち取った、そんな事件らしい。
それでも、納得はいくが、公務員として担当した事件を弁護士として取り扱う事を禁じる弁護士��に違反とのことで、懲戒処分を受けられたそうな。
それでも、無実の者を救わねばとの思いをもたれていたのか。
素晴らしい弁護士さんもたくさんいたのだけら、これからも日本にそんな弁護士さんが絶滅危惧種とならないよう祈って、感想を終えます。