紙の本
世界最高の人脈術を極めた人々のカタログ
2009/08/25 00:19
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は「世界の政治・経済・金融に大きな影響を与えている」人々の最近の動向について解説した本である。そうした「世界を動かす」人々(キーパーソン)が世界的につながり、人脈ネットワークを築いている。彼らは「多国籍資本の企業活動をリード」し、「時には政治家や国家指導者とも連絡を取り合うことができ」、意思決定に影響を与える。本書では「グローバルエリート」とも呼んでいる。
そんなネットワークの一つの頂点にあるのが「ビルダーバーグ会議」という、欧米財界人や政治家たちが私的に集う会合である。序章にもあるように著者は、その会議の参加者が世界の動きに大きな影響を与えているという仮説に行き着き、彼らが「どのように世界情勢に関わっているのか」を本書であぶり出そうと試みている。彼らが「世界の支配者」と言えるかどうかは分からないが、彼らの経歴やつながりを概観することができる。世の中には「人脈術」を説く本も多くあるが、本書に書かれている人脈はスケールが大きい。
タイトルのにあるような「世界を動かす人脈」と聞くと、どうしてもロックフェラー、ロスチャイルドのような神秘的で、我々には近づくことも出来ないところで怪しげな動きをしている人たちという想像をしてしまう。本書でも上記の一族も登場するが、彼らだけで世界を動かせるほど単純ではなくなってきているようだ。
同じ序章にもあるように近年注目されているネットワーク理論に「スモール・ワールド」という概念がある。ハブ(中核)になる人物(キーマン)がいてこそ、この世界は「スモール・ワールド」となりえる。本書に登場する人物たちはハブとなる人であり、彼らは大きな資産やステータスを持っている。グローバリゼーションが進む現在であるから、登場人物たちとそのネットワークは欧米、ロシア、中国、中東など広範である。新聞・雑誌などでもお馴染みの人物もいれば、表立って存在感を示すことのない人たちもいる。
現在は情報をオープンにすることを良しとする時代ではあるが、一方では秘密主義で、一部の集団だけで情報を占有することで利益も占有している人々が存在することは容易に想像できる。情報公開することで価値を認められる企業の株価や業績が上がれば、そうした人々や企業は淘汰されていくことが期待できる。そうすれば真のオープンな社会が実現できるだろう。そのためにも投資家や消費者は厳しい眼でそうした人物や企業を見ていく必要がある。
また、「世界を動かす」人々は自分たちの利益のためだけでなく、その人脈を世界をよくするために活用してもらいたいものだ。それが「ノーブレス・オブリージュ(高貴な義務)」であろう。
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今さら言うまでもないが、世界はお金持ちで回っている。私のようなものは相当な偶然でもない限り、その輪には入れない。ビルダーバーグがあって、三極委員会があって、ロックフェラーやロスチャイルドがいる。自分に利益があること、というのが彼らの行動の基本にある。そして潤沢な資金がある。
この本はそんな世界のガイドブックだ。そして笑ってしまうのだが、日本人というのは世界を動かしているこの基本的な要素にはほとんど含まれていない。つまり、日本は世界の道具として機能している訳だ。三極委員会にはまあその性質上参加者はいるものの、ビルダーバーグには日本人は登場しないのだ。
サブプライム問題にしてもそうだ。アメリカの大手に被害が出そうだ、というところで、日本には話しかけない。中近東や華僑へ話しかける。日本は道具だから、後からツケを回すだけでいい。あの国はアメリカの言うなりだから。
…そんなことが話し合われ、半年後、1年後、2年後に実際に起こる。そんな会議が現実に開かれているのだ。
これは事実だ。陰謀でもなんでもない。そのくらいは今の日本人は知っておくべきだと思う。
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オルガルヒ 金融貴族 シロヴィキ
JPモーガンは1913まで中央銀行。1933 グラススティーガル法 投資銀行業務と一般銀行業務の分離 JPモーガンを商業銀行のJPモーガンと投資銀行のモーガンスタンレーに分離
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ABNアムロは、ABN銀行とアムロ銀行が一緒になった。アムロはアムステルダムとロッテルダムの銀行でアムロ。
世界を支配しているロスチャイルド、ロックフェラーの人脈が解説されている。ロックフェラーは日本に造詣あり。特にトヨタ。そしてロックフェラーはナチスの優生学研究を支持していた。
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▼評価
ABCD 4段階のC
▼感想
・結局小さなネットワークが強大な力をつかって利益を守ったり作ったりしているさまがよくわかって読み応えがあった。
・ただし、登場人物が多く散漫な部分はあったが。
・今後アメリカ一極主義ではありえないと思うが、アジアの国々がどのように絡まっていくのかが興味深い。
▼抜粋・メモ
・グローバル化によってワンワールドになりつつある地球が、実は限られた有力者たちのスモールワールドネットワークによってうごかされているということを解き明かす。
・取締役会や国際諮問委員会の結果として、兼任取締役たちは一つの財界共同体(利益共同体)のようなコンセンサスをもったコミュニティと化していくことになる。
・要するに、「クラブ」「同窓会」「取締役会ネットワーク」「国際諮問委員会」のような人脈ネットワークが織り成す網の目が、それに所属しているものと所属していないものの情報格差を生み出している。この種のネットワークで共有される情報こそ、本当のインテリジェンス(価値ある情報)と呼ばれるものである。これが権力の源泉になっている
・ビルダーバーグ会議(The Bilderberg Conference)
・世界経済フォーラム、通称ダボス会議(The World Economic Forum)
・ハブ的存在(キーマン)の集まり。1970年代から多様な民族を集めている。ハブになる条件のひとつが「資産規模」であり、もうひとつが重要なクラブなどに所属するという「ステータス」。
・ベルナール・アルノー。LVMHグループの会長。多様なブランドを所有。
・フランソワ・ピノー。PPR社。グッチを所有。
・複雑な持ち株会社の仕組み。
・ナチスドイツを、アメリカの共和党財界を育てたという黒い歴史はニュルンベルク裁判とともに闇に葬られた。
・ロスチャイルド家。ユダヤ系財閥。イギリスで金融業を中心に活動。「シティ」(シティオブロンドン)を支配するといわれる。
・ロックフェラー。米国の企業家・富豪の家系。ウォール街(NY)を支配するといわれる。
・三極委員会。三極とは米・欧・アジア。グローバル化を推進。ロックフェラー国際主義に賛同する者達でできる。
・80年代にむかえた途上国の債務危機は、ロンドンやNYで作り出されたものといえる。高利貸しは、最初は威勢よく貸して、やがて身ぐるみをはいでいくが、これと同じ。借主(途上国)に対する追い込みをかける役割を果たしたのがIMF(国際通貨基金)。債務猶予などの代わりに国営産業の民営化をつきつけた。スティグリッツなどが批判する「ワシントンコンセンサス」。IMFと世銀の利害は、欧米巨大銀行の利益と密接にむすびついていた。
・グローバルスタンダードの押し付けが、金融資本の力で第三諸国や先進国を搾取することになりかねない。リップルウッド(ロックフェラー系)が長銀を買収したように。
・地球規模での相互依存関係=われわれはみな国際主義者にならなければならない by デイヴィッド・ロックフェラー。国際金融資本家
・2001.9.11に破壊されたWTC(ワールドトレードセンター、世界貿易センター)ビルは、ロックフェラーが権力の象徴として建てたもの。
・欧米以外の対等。SWFなど。シティグループを救ったのはアブダビ投資庁からの75億ドル。
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なんで家にあるのかわからない本の一冊。著者の経歴を読まなくても副島学派(?)かと分かる内容。
ビルダーバーグ会議なんかを中心に世界を動かしている人脈がなんなのかをまとめた感じ。個人的にはあんま人脈自体には興味なかったけど、ウォールストリートや投資銀行なんかの歴史に触れれてよかった。
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[ 内容 ]
国境を越えて進行するM&A、EUのエネルギー再編、米大統領選挙、ロシア、中国、中東の台頭…。
ロスチャイルド、ロックフェラーからKKR、SWFまで。
ダイナミックに変動する世界を読み解く。
[ 目次 ]
序章 誰が本当に世界を動かしているのか?
第1章 欧州の中心部で今、起きていること
第2章 カナダの巨大金融産業を支配する“パワー・ブローカー”たち
第3章 欧州エネルギー共同体とビルダーバーグ会議
第4章 「新ロシア王朝」の樹立とそれを支える新政商たち
第5章 進化を続ける21世紀のロスチャイルド家
第6章 世界を一つにしようとしたロックフェラー家
第7章 ウォール街の支配者たちの興亡
第8章 グローバリゼーションに参入するアジア、中東の資本家たちと欧米資本
終章 スモール・ワールドの行方
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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なにやらいろいろな人脈の名前がつらつら出てくるが、客観的な記述が少ないので現実味がない。もう少し焦点を絞って欲しかった。電話帳的。
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300人委員会とかそういう話でもなく、普通に超エスタブリッシュメントの人脈がわかる本。持ち株会社なんかを利用した複雑すぎる会社支配をみてると日本の株式持合い(=系列)の何がいけないかったのかよくわからなくなる。
キャピタリズムの本家本元も結構クローニー(w)な現実。
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政治、金融、産業などを「牛耳る」人々。日本国内の閉じたメディアの中で生活していると一生知らないかもしれない人々たちの簡単な経歴と、つながりが紹介されている。
普通に生活していれば雑学以外の何者でもない。世界の中でビジネスをするようになって初めて活用できる知識。