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文字、図版、色、紙、時間、空間、そしてそれらの重層的な構成によって、本は立体的な“もの”として立ち上がる。装幀家として経験豊かな著者が日々の仕事から紡いだ言葉には随所にブックデザインのエッセンスがちりばめられている。杉浦イズムとは別の潮流の確かな存在を感じる。
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2008.3.6 発行
発行所・白水社 印刷・三秀社 製本・青木製本所
著者の手がけた装幀についての解説。
装幀は人に謎を投げかけるものである、という論が興味深い。
これからの装幀についての考察も記されているので、自分用に、参考に。
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著者の菊地信義氏は2022年に78歳で亡くなった、日本の装幀家の第一人者。『サラダ記念日』を始めとする1.5万冊以上の装幀を手がけた。
本書に掲載されている彼の作品は、一見シンプルな文字だけのデザインが多い。しかし読み進むにつれ、文字や色、質感へのこだわりがすごいことがわかる。
曰く、本は手にとって読むものだから手触りが大切、紙の質感も重要な表現である。白にだって様々な白がある。同じ色でも使う紙の種類によって印象が変わる。またインクへのこだわりも強く、わざわざ同じ色を三度刷り重ねた装幀もある。
活版印刷からオフセット印刷になって変わったことなど、長く装幀家をしていたがゆえの含蓄が深い。
著者は最後までPCでデザインしなかった。PCでは原寸で一望のもとにデザインできないからだという。造形されたものの美しさや緊張感は、原寸でデザインされてこそ宿ると信じていた。
アナログでデザインしていると、消しゴムのカスさえ思いがけないヒントになるのだそう。PCでのデザインが当たり前になっている現在だからこそ、この本から参考になることが多くあるように思える。