紙の本
戦争に向けた「正論」
2008/08/01 17:29
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、よくいわれているように、基本的には押井守の単著である。ひとりでしゃべっているというわけではなく、押井の発言にしか、あまり意味のある箇所がない。しかし、岡部がいることで、押井の発言が引き出されたのだとしたら、やはり共著としての意義もあるのかもしれない。
いずれにせよ、読むべきところの少ない本である。最初の章をのぞけば、ひたらすら押井の博識ぶり(マニアぶり?)が披瀝されていき、それ自体に興味を覚える読者はこの上なく楽しめるだろうけれど、「戦争のリアル」というタイトルに即して何事かを考えるに当たっては、たとえば、次の一説だけで十分ではある。
《押井──だから、僕はどちらかでいうと、現状を政治として語るとか、自衛隊そのもの語るとか、軍事レベルで日本の国防政策を語るとか、そういうことはとにかく置いといて、日本人が持っている戦争文化そのものを問題にしたい。そこから下ろしていって各論を語ると意外に正解に近づくんじゃないか、分かりやすいんじゃないかと思ってるんです。基本的にはそれが僕の立ち位置なんです。戦争文化に関わってきている張本人の一人だから。》
こうした発言に先立ち、押井は日本での戦争を巡る議論(の場)の欠如を嘆いているが、そのこともあわせて、押井の戦争に対するスタンスは、どこまでも「正論」である。しかもそれは、「つまらない正論」というよりは、その映画をはじめとした文化活動をふまえて改めて捉えてみる時、貴重な「正論」であるように思われる。「戦争文化」を考えることで、現在の、われわれにとっての「戦争」、さらにはその「リアル」を議論する、最初の一歩は踏み出されるだろう。
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銃器・戦争に多少なり興味があれば
楽しめる本だと思います
前半は 日本人にとっての戦争観
中盤 後半は 銃器のおたく対談となっています
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押井守さんと岡部いさくさんの対談。
自衛隊の小銃から戦闘機、アニメに登場する兵器まで様々な話題が飛び出す対談。
岡部いさくさんの語りを、もっと読みたかったかなぁ…語り手が嫌い時でなければ楽しめる一冊だと思います。
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押井守 VS 岡部いさくの武装論。押井が日本における妄想武装論を展開するのに対し、岡部は実際の観点から突っ込む。このやりとりが面白い。
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押井守氏と岡部いさく氏の軍事を中心とした対談をまとめた一冊。
軍事に興味があるのと押井氏の作品が好きなことが相まって、タイ
トルに惹かれて購入したが失敗だった。内容は二人の軍事オタクが
知っていることをただただひけらかし合うだけの雑談集。
そもそも戦争を体験したことのない押井氏が、「私は戦争のリアリテ
ィを理解している」といった体で話すことに違和感を感じるし、その
根拠となる話(RPG-7は凄いよ的な話等々)をひけらかせばひけらかす
程に違和感は広がり薄っぺらに見えてくる。あげく「サバゲーは嫌い」
とか言われると「お前が言うな」と突っ込みたくなってしまう。
押井監督作品は好きだが、彼自身と彼の独演は極めて好きになれな
いという事が理解できた一冊。
私のように氏の作品のファンで、軍事に興味があるから、という立
ち位置で読むと絶対に期待はずれなのでそういう方はご注意を。
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攻殻機動隊の押井監督と軍事評論家の岡部氏が戦争や兵器について自分たちの思いのたけを語った本。最近は保守層の間で自衛隊は本当は強いだの中国とやれば勝てるだの、デマ本が多く出版されているが、この本は題名の通り幻想に基づかない戦争を語ったものだ。日本にとって最も効果的な防衛とはどのような形か?とか空母の効果的な運用方法など興味深い話を聞ける。また、日本の映画やアニメは未だに第二次大戦の敗北を引きずり、そこから抜け出すことは不可能だ、など押井監督ならではの着眼点も面白い。ただ、監督の力説していた日本は経済的にも中国なしで大丈夫、経済人でも中国重視の幻想にとらわれているのが多い。との意見はうなずけない。既に対中貿易が対米を抜いているし、アニメ産業はどうか知らないが、普通の製造業は中国無しでは存続できないであろう。その中でアジア中に日本の護衛艦を売れば儲かるみたいな発言がしばしばあるが、いくら性能が良くても馬鹿高い日本の護衛艦を買ってくれる国は無いと思う。
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「日本は太平洋戦争の総括をしていない」
1章で興味深いことを言い出したのでそれでやってくのかなと期待を爆上げしたら、そんなことはなく。言ってみただけっぽい。
続く2~5章ではハリアーだ軽空母だと、ずっとそればっか言ってる。くどい。星1ですらなまぬるい地獄。
「第二次世界大戦では誰が得をしたのか」
戦争をしたほどの価値はあったのか。6章でまたそんな、アガるほどのことを言い出した。
ソ連の一人勝ちではないかと思っていたのだが、ソ連崩壊までを視野に入れると中国だけとなるらしい。そうかもしれない。
だが、オチの一言こそが本音で、基本、本書は著作に類するものではなくオタのダベりにすぎないことがわかる。わかってたけど、明言されると星1つ程度のがっかり感はある。